2023-01-01から1年間の記事一覧
令和5年の最終号は日本のブラジルタウン、群馬・大泉町で出会った原石のような朝ナマ中心の和菓子屋さんを取り上げたい。 「和菓子処 田中菓子店」の暖簾。「みかん大福」のノボリが寒風にはためいていて、温かいオーラを放っていた。 クルマ(お客)が次々…
師走のぽかぽか。 こそばゆい話ですが、個人的にまずはビックリの餡ハッピーなニュースから。 現在発売中のマガジンハウス刊「&プレミアム2月号」で、私めがあんこマニア対談に出演しております。ウソみたいですが(笑)。 これが表紙です。 全体のテーマ…
新栗を使った栗蒸し羊羹の季節がそろそろお終い。 熱烈なファンが多い泉岳寺「松島屋」の栗蒸し羊羹は予約を終了していて、悲しいかなすれ違いに終わった。ぐすん。 だが、やっぱりあんこの神様はいる? 今回はそんなミラクルを書きたい。 松島屋で17年修…
紅谷(べにや)の驚き、と素直に表現したくなった。 正直に告白しよう(カッコつけすぎだ) 青山紅谷には何度か行っているのに、「池袋紅谷」の存在を深くは知らなかった。穴があったら入りたいよ、ホント。 池袋というより雑司ヶ谷、と言った方が地理的にも…
夏からいきなり冬。さぶ~。 たい焼きの季節、到来!である。 なので、今回は「泳がないたい焼きくん」食べ比べと行きたい。 舞台はディープなファンが多い、たい焼きの隠れメッカ、下高井戸である。 1軒目:小倉庵下高井戸店 2軒目:鯛焼き たつみや たま…
旧日光街道・杉戸宿で出会った、宝石のような和菓子屋さんを取り上げたい。 たまたま権現堂の道の駅で「創作シベリア」が置いてあり、そのときはほとんど素通りしかかったが、その後、春日部方面にしばらくクルマを走らせたら、白をベースにしたモダンで瀟洒…
「ブルータス」(マガジンハウス刊)は愛読誌の一つだが、特にあんこ特集はほとんどかかさず目を通している。 約10年前(2013年)発行の「あんこ好き。」が秀逸で、その表紙に載っていたのが、探索したら、目黒ちもとの草だんごだった。 そのビジュア…
先々月のこと、「あんこラボ」のトークショー(和菓子を楽しむイベント)に呼ばれて、主催のエンドーさんとあんこ談義を楽しんできた。 その際、通の彼女が取り寄せてくれた一つが、極めて珍しい和菓子(棹菓子)だった。 和菓子の3大エリア、京都・金沢・…
江戸時代は東海道五十三次・戸塚宿だったエリアで、すごいあんこ菓子を見つけてしまった。 大粒あずきがびっしり詰まった重量級の小倉蒸し羊羹。 そのあでやかなお姿を見ていただきたい。 もとはと言えば、ネットのあんこ旅を楽しんでいたら、たまたま出会っ…
シ・ベ・リ・ア。 宮崎駿監督「風立ちぬ」でも注目された明治⇒大正⇒昭和にかけて一世を風靡した、不思議な和洋菓子だが、もともとはパン屋さんが作って売っていたようだ。 パン焼き釜の余熱を利用してカステラ生地を焼き、間に羊羹を挟んだ、というのが誕生…
会津・柳津町(人口3300人ほどの山間の町)にしか存在しない超レアな「あわまんじゅう」、私の大好きな饅頭(まんじゅう)です。 日持ちしないので、現地に行って味わうのが一番、というのも私の好みに合っている。 これまでも何度も食べているが、今回…
茨城・下妻市(しもつまし)。 深田恭子(ファンです)の出世作「下妻物語」(2004年公開)の舞台にもなった田舎町だが、室町から戦国時代は多賀谷城が威光を放った歴史のある町でもある。 今では往時の面影はほとんどない。 こういう町にはいい和菓子屋…
ようやく酷暑から秋の気配へ。 和菓子の世界では「栗蒸しようかん」の季節到来、ということになる(一年中売ってる店もあるが)。 栗蒸し好きのおなかの虫が騒ぎ始める。 これまでも栗蒸しの名店をいくつか食べ歩きしているが、東京・富ヶ谷の「京菓子 岬屋…
福島・楢葉町(ならはまち)「玉屋菓子店」(たまやかしてん)の存在を知ったのは、3.11後、双葉町から埼玉・加須市に避難してきた中に老舗和菓子店「森製菓店」の主人・森さんがいて、懇意にしていただいたことがきっかけだった。 しばらくの間、支援セ…
東京・赤羽で昼飲み会議の後、夕暮れ時。 川口駅で途中下車した。 目的は「太郎焼本舗」。 昭和28年(1953年)創業、主に関東周辺に存在する太郎焼きの親分みたいな存在。 一般的には今川焼き、大判焼き、西日本では回転焼きとも称される、小麦粉ベー…
100の言葉よりも実物を見ていただきたい。 この炭酸まんじゅうを初めて見たとき、目が吸い込まれそうになった。 一見、フツーの田舎まんじゅうにも見えるが、そうではなかった。 最初のアタック:皮生地のもちっとした手触りと重さ。柔らかなつぶあんの予…
東京・北千住は下町の飲み屋街としても知られるが、実は隠れたいい和菓子屋が多い。 槍かけだんごの「かどや」、「ひので家」「たから家」などなど。 私が昔大好きだった最中の「なか井」は16年ほど前に後継者がいないという理由で廃業してしまった。いま…
うだるような猛暑の中、隠れた名店を探す。 今回ご紹介するのは、埼玉・春日部郊外(旧庄和町)で出会った、宝石のような小さな和菓子屋さん。 シンプルな店構えがシャレていて、白地の暖簾がどこかメルヘンチックで、私のあんこころが小躍りした。 8色のシ…
その歴史も含めて広く深い饅頭の森のなかでも、きわめて異色なのが上州の「焼きまんじゅう」。 甘味噌だれを付けて、竹串刺しにして焼き上げるという、およそ饅頭のイメージとはかけ離れたスタイルが群馬県民以外には「これってホントに饅頭なの?」と驚きを…
今回のあんこ旅は北関東の隠れた和菓子エリア、群馬・沼田市です。 北にみなかみ、北東には尾瀬沼が控え、かつては歴史の舞台にもなった小さな城下町。 私のあんこセンサーが「絶対に行くべきだよ」と指し示した場所。 ここで出会ったのが「御菓子司 かねも…
あんこ旅の醍醐味の一つは、全国的にはあまり知られていない隠れた名店を探すこと。 今回ご紹介したいのは、川越や佐原と並んで、小江戸とも蔵の街とも呼ばれる栃木市で出会ったあんドーナツである。 巴波川(うずまがわ)沿いを何軒か訪ねてから、期待半分…
「酢まんじゅう」と聞いて、「えっ?」と聞き返したくなった。 約5年前のこと。 秩父で和菓子屋巡りをしていて、たまたま入った店で「酢まんじゅうは食べましたか? 秩父独特のまんじゅうで、まあ酒饅頭の一種です。酒種が酢になりかける寸前の状態で使う。…
今回は煉り羊羹(ねりようかん)のミラクルについて書きたいと思います。 本物の煉り羊羹はめっちゃおいしい。 寒天を使った煉り羊羹(それまでは蒸し羊羹が主流だった)は、江戸時代寛政年間に日本橋で誕生した、というのが定説だが、今回ご紹介したいのが…
江戸・明治から続くみちのくの伝統駄菓子屋さん。 その存在が今、とても希少なものになっている。 和菓子界のレッドリスト、と心配する人も多い(私もその一人)。 数年前までは東北4大駄菓子(盛岡、鶴岡、仙台、会津若松)がこの世界では知られる存在だっ…
炎天下、東京都立美術館で「マティス展」を堪能した後、いい余韻のまま「御菓子司 一炉庵」(いちろあん)まで足を延ばした。背中が妙にこそばゆい。 約4年半ぶりの訪問。小さな店構え。 日本の和菓子界の中でも有数のプロフェッショナルな老舗で、四季折々…
みちのくあんこ旅が長すぎたので、ここで箸休め。 今回はあの(!)東京・日本橋の老舗蕎麦屋「室町砂場」の「そばぜんざい」を取り上げたい。 以前から一度食べてみたかったメニューだが、これだけを注文するのは気が引ける。 本当なら純米酒の冷やかぬる燗…
今回のあんこ旅の収穫の一つが、青森市の老舗「甘精堂本店」(かんせいどうほんてん)で見つけた、見かけは地味系だが、渋い度数(こういう度数もある?)マックスに近い創作和菓子たち。 素通りしたら気がつかない、和の中に洋が星屑のように詰まっていて、…
みちのくあんこ旅で立ち寄ってみたかったスポットの一つが青森・浅虫温泉「永井久慈良餅店」(ながいくじらもちてん)。 くじら餅だって? 鯨餅、くじら餅、久持良餅、久慈良餅・・・エリアによって表記が少しずつ違うが、ほとんど同じものと考えていいと思…
今回のみちのくあんこ旅は予想を超えて、実り多いものとなった。 中でも津軽半島の城下町・弘前市「大阪屋」はその歴史とともに私のあんこハートに突き刺さった。今も抜けない。 創業がびっくりの寛永7年(1630年)。現在13代目で、ルーツは豊臣家に…
今回はみちのくあんこ旅であんココロを揺さぶられた盛岡駄菓子のパート2、です。 駄菓子というと、どこか安っぽい、雑なイメージがあるかもしれないが、盛岡で出会った「関口屋菓子鋪」(せきぐちやかしほ)の駄菓子は「駄」を「上」と書き換えたいほど、こ…