週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

あじさい餅のこし餡🚗あの岡埜栄泉の遺伝子

 

「岡埜栄泉」の暖簾は私にとって特別のものがある。

 

明治初期創業、東京・上野駅前の「岡埜栄泉総本家」が麻布十番に移転(「いろがみ」)し、今ではそこも閉店してしまっている。

 

8年ほど前のこと、ちょうど上野駅前から移転する時期に訪問して、希望に燃える6代目と和菓子談義したことが昨日のことのようだが、なぜその後低迷していったのか、その理由が今もわからない。

syukan-anko.hatenablog.jp

 

それでも都内に数軒、ビッグネーム「岡埜栄泉」の老舗の暖簾を守り続けている。原宿「瑞穂」もルーツは「虎ノ門岡埜栄泉」で、豆大福の名店としての地位は不動のもの。

 

東京・三鷹に住んでいた頃、相方が虎ノ門の音楽事務所で働いていた関係で、よく「虎ノ門岡埜栄泉」の豆大福を買ってきてくれた。

 

サイズが超ビッグで餅の柔らかさと赤えんどう豆、主役のこしあんの量と質がレッドゾーンを超えていて、今もその感動を超える豆大福には出会っていない(個人的な感想です)。

 

で、本題。

 

たまたま岡埜栄泉の暖簾分けを調べていたら、茨城・筑西市にも暖簾分けが存在していることを知り、好奇心がむくむく、大急ぎでクルマを走らせた。

 

確かにあった!

一軒家の店構えだが。白地の暖簾に「岡埜栄泉」の文字が沁みる。

 

いい職人がいる気配。

 

あんココロがときめいた。

 

★ゲットしたキラ星

 あじさい餅 180円

 こだますいか饅頭180円

 茶万頭  120円

 白万頭  120円

 どら焼き 180円

  ※すべて税込み価格です。

 

👟暖簾の奥 店内は狭いがこだわりの強さを示す和菓子がショーケースに並んでいて、奥が広い工房になっていて、そこから白衣姿の店主(三代目)が現れた。

豆大福がなかったので聞いてみたら「10月~12月の期間限定でつくってるんですよ」とか。残念だが、このひと言で店主が只者ではないことがわかった。

 

「あんこは自家製です。本当の小豆の風味を感じて下さい」

手書きの表示が目に入った。

こし餡まで手づくりにこだわっているのもレアになりつつある。

 

「そこは譲れませんね」ときっぱり。老舗・岡埜栄泉の遺伝子がここにも生きていることを確認した気分。

 

【センターは?】

あじさい餅:道明寺✖こし餡のピュアな味わい

塩漬け桜葉に包まれたあじさいの淡い色が道明寺餅にうっすらと浮かんでいて、小ぶりだが上生菓子の存在感を放っていた。

 

🧐実食タイム 

道明寺は柔らかなつぶつぶ感を残し、いいもっちり感。

中の自家製こし餡が上質で、舌触りがとてもいい。

 

桜葉の塩気がほんのりと伝わってくる。

 

漉し方がなめらかで、甘すぎない上質。

あんこへのこだわりの強さを感じる。

 

北海道産えりも小豆✖グラニュー糖。

 

正直に言うとまさか筑西市で「岡埜栄泉」の暖簾分けに出会うとは驚きではある(いい意味の驚きです)。

 

●あんヒストリー

創業は昭和22年(1947年)。現在三代目だが「もっと前からやっていたかもしれません」とか。初代の祖父は東京・上野「岡埜栄泉総本家」で修業し、暖簾分けされたという。素材選びから製法までこだわりがハンパではない。特にあんこは無添加手づくりを守り続けている。地場の素材を生かした和菓子づくりにも挑戦している。自家製のカステラも実においしかった。

 

【サイドは?】

こだますいか饅頭:白餡✖すいかの絶妙な味わい

筑西市はこだますいかの産地としても知られている。

 

それを薯蕷饅頭にしているのが面白い挑戦だと思う。

 

中は淡い赤色のすいか餡

口に入れた瞬間、すいかの果汁のさわやかな香りがふわりと広がってきた。

 

まさしく

奥から白いんげん豆の風味がゆっくりと来る。

 

目と鼻と舌が夏到来をじっくりと楽しむ。そんな感覚。

 

茶万頭:こし餡の美味さが引き立つ

黒糖生地はいいテカリで、もっちり感があり、手で割ると、中にぎっしり詰まった自家製こし餡が「ようこそ」と現れる。

こだわりがよくわかる、舌触りのとてもいいこし餡で、先代から受け継いだ製法を踏襲しているそうで、そのこだわりがどこか温かい。

甘さも抑えている。なので何個でも食べられそう。

 

先代のあだ名が「しょうちゃん」だったことから「しょうちゃん饅頭」と呼ばれていたそう。

 

白万頭:こちらは風味が立つつぶ餡

「小豆本来の味」にこだわっていることがよくわかる、つぶ餡の吹き上がりがすごい。

 

柔らかく炊かれていて、小豆の形はしっかり残っているのに、歯に引っかからない。

素朴な上質と表現したくなる。

 

こし餡の洗練とはひと味違う、力強く濃いめの味わい

 

淡白な白生地がその濃厚を引き立たせている。

 

東京の岡埜栄泉は饅頭は主役ではないが、ここでは十分に主役の座を射止めているようだ。

 

「豆大福」の季節にもう一度来たくなった。

 

「和菓子処 岡埜栄泉」

所在地 茨城・筑西市新治1993ー140

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行列店の横綱級茶饅頭😎北茨城市「やまみつ」

 

「北茨城にすごい饅頭がある。あんこのボリュームが規格外で、午前中それも早めにに売り切れることも多い。一度行ってみては?」

 

茨城に住む私のあん友からこんな情報を聞いたのはずいぶん前のこと。

先日、たまたま世界的にも評価の高い版画家・斎藤清の作品を買った縁で、画廊から「天心記念五浦美術館」(北茨城・五浦)で「斎藤清のパリ そして日本」展が開催されています、という丁寧な手紙をいただいた。

そのすごい饅頭屋さんが「やまみつ」だった。

 

クルマで行くにはかなり距離があるが、その魅力的な二つが重なったら、これは行くっきゃない。

 

多い時には一日3000個売れる、と聞いていたので、近くの磯原海岸沿いにホテルを取って、午前9時開店に合わせて餡ダイブする態勢を取った(ほとんどビョーキかも)。

 

★ゲットしたキラ星

 磯原まんじゅう4個 800円

 あんドーナツ(3個)360円

 栗蒸羊羹1本  150円

  ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

磯原まんじゅう:コスパ抜群のドデカ茶饅頭の素朴

 

平日だったこととたまたまなのか、行列は14~5人程度だったが、それでも人気ぶりがわかった。

黄色いモダンな店構え。「やまみつ」の大きな木製看板が目立つ。

 

かなりのデカさなので、4個購入した。1個140円。蒸かし立てもいただきたいので、1個だけ別包みにしてもらった。

 

店内は広く開放的で、奥が板場になっていて、このデカまんじゅうをつくっている最中だった。数人の職人さん。水蒸気が餡コロロをそそる。

饅頭のいい匂いが鼻腔に侵入してくる。いい光景。

 

🧐実食タイム

〈1R 蒸かし立て〉イートインコーナーはないようなので、店の外で出来上がったばかりの「磯原まんじゅう」をフウフウしながら味わうことにした。

ふつうの饅頭の優に2倍はある。

 

手で割ると、中はこしあんが横たわっていた。

生地の美味さがまず印象的。

 

もっちり感としっかりした密度。黒糖の風味が穏やかに来た。塩味もほんのり。

こしあんはなめらかな舌ざわり。甘さはむしろ控えめ。

 

素朴だが、吸引力のある茶饅頭(黒糖饅頭)。

 

口の中で合体⇔融合すると、唾液がどんどん出てくる。

素朴に「うめ~」声が漏れそうになる。

 

その昔、北茨城市は炭鉱労働者(常磐炭田)が多かったことで、彼らの好みに合わせて、この大きさとがっつりとした味わいになったようだ。

 

ひょっとして昔の方がさらに巨大だったかもしれない。

 

〈2R 翌日午前中〉

賞味期限は約2日なので、自宅に戻って翌日午前中に2回目の実食。残り3個。

サイズを測ったら直径約70ミリもある。厚さは約35ミリ。手づくりなので、一つ一つ微妙に違うのがうれしい。

 

こしあんの厚みは約22ミリはある。

全体の重さは約101グラム。おっと。

 

有名な薄皮饅頭より二回りはデカい。

 

黒糖生地のもっちり感とこしあんの美味さがとてもいいバランスで、一日経っても美味い

絶妙な合体で、食べながらほっこりしてくる。口の中の広がり方がとてもいい。

 

一個140円というコスパの良さ。

 

なるほど行列店なのがわかるなあ、と幸せホルモンに包まれながらこの素朴な横綱級の味わいを噛みしめる。

 

●あんヒストリー

創業は昭和25年(1950年)。現在3代目(4代目も修業中)。伝聞によると、創業者の山縣よし子さんは下駄屋を営んでいたが、火事で店が焼失してしまった。途方に暮れていた中、たまたま出会った行商の饅頭売りから饅頭づくりを習い、新たに饅頭屋を始めたそう。やがて口コミで「磯原に安くて美味い大きな饅頭がある」と広がり、メディアでも取り上げられるようになっていった。

 

【サイドは?】

あんドーナツ:手が止まらなくなる素朴な味わい

饅頭に比べてこちらはサイズ感はフツーだが、生地とこしあんの美味さが絶妙としか表現しようのない、後の引く美味さ。

 

表面には砂糖がまぶしてあり、一日経過したのでそれが生地に沁み込んでいる。

歯がすっと入る。

 

生地の素朴な美味さと中のほんのり塩味を感じるこしあんとの合体がとてもいい。

口の中で蕩けるよう。ちょうどいい甘さ。

 

食べ始めたら手が止まらなくなった。

 

栗蒸羊羹:しっかりとした本格的な美味さ

長方形でサイズは90ミリ×30ミリほど。重さは約83グラム。

 

饅頭を食べた後に見ると小形だが、それでもこのサイズ。

 

小倉色のいい蒸し羊羹で、蜜煮栗がいい具合に入っている。

あんこと小麦粉・片栗粉の混じり方がいい。塩味もほんのり。

 

フツーに美味しい。きれいな味わい。

 

「やまみつ」

所在地 北茨城市磯原町2-197

 

         



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼くるみの絶品レア羊羹😎会津特別編

 

4月に行ったばかりなのに、またも私のルーツ会津若松へ。

 

今回の主な目的は世界的にも評価の高い版画家・斎藤清の作品を購入するため。雪の会津や秋の会津など独特の視点で切り取った作品が有名だが、フランスやメキシコなどを舞台にしたモダンな作品も多い。

私が気に入ったのは「ブックストア セーヌ パリ」(1960年作)。以前から目を付けていた作品。安くはないので、オーバーに言うと、清水の舞台から飛び降りるつもりで買ってしまった。

 

むろん目的はそれだけではない。

文政元年(1819年)創業、東山温泉の老舗和菓子屋さん「松本家本店」で買い忘れたもの。

 

4月に行ったときはここのめちゃウマの名物「水ようかん」をゲットしたが、その時にいぶし銀の羊羹類がいくつか見え、買うか買うまいか迷ったが、予算と胃袋の関係でうかつにもスルーしてしまった。

 

そのリベンジ(?)もある。

 

ゲットしたキラ星

 みに羊羹5種

 ①煉り(460円)②小倉(460円)③栗(620円)

 ④挽茶(460円)⑤くるみ(620円)

 ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

くるみ希少な鬼くるみ✖練り羊羹の味わい

 

「みに羊羹」と言っても小さくはない。

 

それぞれがシャレた紙のパッケージに収められていて、それと取ると銀紙に包まれた本体が現れる。

 

どれもが深い味わいで、羊羹専門店・松本家が水ようかんばかりでなく、本格的な羊羹づくりのプロフェッショナルであることがわかる。

 

なので、この一品をセンターに選んだのは鬼くるみ(国産)と練り羊羹の合体が素晴らしくて、さらにに私の好みでもあったからです。

サイズは58ミリ×38ミリ、高さは40ミリほど。重さは約136グラム(包装込み)。

 

🧐実食タイム

鬼くるみは自生の和くるみで、輸入のくるみよりも味わいが濃く、風味も強めと言われている希少なくるみ。

 

銀紙を解くと本格的な練り羊羹の中からぼこりぼこりと誘うように浮かび上がっていて、それだけで期待感が膨らむ。

甘すぎない、本煉りの絶妙な舌ざわりに「おっ」となり、続いて鬼くるみのカリッとした歯触りと広がる風味に思わず目をつむりたくなる(ホントです)。

 

正直に言うと、私は昔から水ようかん一本やりだったので、松本家の羊羹がこれほどの質だったことを見落としていた。

 

会津の奥座敷・東山温泉には宝が埋まっている?

 

【サイドは?】

挽茶:抹茶と白煉りの絶妙な合体

 

サイズは同じだが、重さは約143グラム。

 

ごらんの通り色が深い抹茶色。テカリがたまらない。

九州・八女の抹茶を使用しているようだ。

 

上質な羊羹独特の絶妙な舌ざわりの中から抹茶のいい風味がすっくと立ち上がってくる。

これも甘すぎない。

 

手が止まらなくなる。

 

このなめらかな味わい、コーヒーとも合いそうだ。

 

👟あんヒストリー

創業は文政元年(1819年)。現在7代目。2代目が水ようかん(当時は田舎羊羹と称していたようだ)を売り出したところ、湯治客を中心に美味いと評判を呼び、東山温泉に松本家あり、となっていった。「湯の花羊かん」もサイドメニューとしてファンも多い。煉り羊羹はその後に売り出している。

 

栗:国産栗が丸ごと一個の重量感

5種の中では一番人気のようだ。

 

重さは約143グラム。

 

ごらんの通り、蜜煮栗(国産)が丸ごと一個お月様のように入っていて、本煉りの背景を得て、そのビジュアルが素晴らしい。

栗はやや固めで、それが歯に吸い付くような本煉りの密度と相まって、「これはいい栗羊羹だなあ」としみじみつぶやきたくなる。

 

本煉り:極上の密度と舌ざわり

 

表面を蜜がうっすらと走り、鈍い光沢がとてもいい。

小豆の粒子の濃密な色合い。なめらかな凝縮。

 

寒天(多分信州産)の入り方も「秘すれば花」のような、何とも表現しにくいアート感もある。

しっかりと煉られた深い味わいで、甘すぎないのも好感。

 

本煉りの王道をいく一品だと思う。

 

小倉:より小豆感が立ち上がってくる

「夜の梅」と同じカテゴリーだが、もっと素朴な食感

 

煉りよりも少し明るい色。それゆえに小豆の歯ざわりがグイっとくる。

少しシャリッとした感触も一部で感じた。

 

本煉りよりも素朴な印象。

 

これも悪くない。

 

「松本家本店」

所在地 会津若松市東山町大字湯本居平123

あし JR会津若松駅からバス約10分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃない方」の凄味🧐銀座「空也」6種

 

久しぶりに東京・銀座並木通りに渋い紺地の暖簾を提げる老舗「空也(くうや)」に立ち寄った。

「空也もなか」であまりにも有名な店だが、今回は「じゃない方」の生菓子(上生菓子)をゲットするため。

 

「空也もなか」は予約しないと買えないほどの定番で、最近は予約すらスムーズにいかないことも多い(個人的な体験です)。

 

なので、方針を変更。

 

「季節の上生菓子」(6種入り)をゲットすることにした。

正直に言うと、何度かアタックするうちにようやく電話がつながったが、「空也もなか」は数日後しか予約できないと言われ、うーん困ったと戸惑うと、「季節の生菓子ならございますが」と助け舟をだしてくれた。

 

ひと昔よりも敷居が高くなった気がするが、いい店なのでそれも仕方がない。

 

★ゲットしたキラ星

 季節の生菓子(6種入り)

   税込み1640円

 

【センターは?】

草求肥:究極のよもぎ餅✖こしあん

季節の生菓子6種は季節によって内容が変わる。

 

今回の6種はすべての完成度が高く、どれをセンターに持ってきてもおかしくはない。

 

なので単に好みと気分で「草求肥」を据えてみた。

球形の見事な草餅で、直径は約40ミリ。重さは約50グラム。

白玉粉とよもぎの練り込み方がほぼ完ぺき。

 

包丁を入れる。

 

中のこしあんが色といい食感といい余韻といい文句のつけようがない。

北海道産のオーガニックな小豆×白ザラメの絶妙な餡づくり。

よもぎの風味が鼻腔をくすぐる。

 

控えめな甘さと口中に広がる繊細な旬の味わいがワンランク上。

 

空也もなかの陰に隠れているが、この店の上生菓子のレベルの高さがこの一品だけでも十分にわかる。

 

「じゃない方」は「である方」かもしれないぞ。

 

🧐あんヒストリー

創業は明治17年(1884年)。上野池之端で空也上人を尊敬していた初代が店を出し、夏目漱石や林芙美子など著名人も贔屓にしていた。ひょうたんの形の「空也もなか」や「空也餅」が評判を呼んだ。東京大空襲で店が焼失し、戦後の昭和24年になって現在の銀座6丁目に移転。現在5代目。

 

【サイドは?】

空也双紙:小豆羹をカステラ生地でサンド

艶やかなつぶあんの小豆羹を凝縮したカステラ生地で上下からサンドしていて、和洋の合体ともいえる半生焼き菓子。

一辺が50ミリほどの正方形で、表面には「空也」の刻印があり、つぶあんの小豆羹のふくよかな美味さがここでも発揮されている。

 

重さは約49グラムだが、質感があるので、食べ応えがある。個人的にはコーヒーがとても合うと思う。

 

これは通年商品でもあるようだ。

 

羊羹:大納言小豆を配した極上羊羹



見るからに深みのある本練り羊羹で、よく見ると、断面に大納言小豆が夜の梅状にぽつりぽつりと練り込まれている。

長方形で一片の長さは45ミリ×30ミリほど。厚みは35ミリもある。

 

重さは約60グラム。

 

歯ざわりがしっくりと来る。

 

舌ざわりの良さに一目置きたくなる。

小豆のいい風味が奥からすっくと立ち上がってくる。

 

添加物など使っていない、本物の味わいを愉しむ。

 

口どけも素晴らしい。

 

ホメ言葉ばかりになってしまったが、この深い上質は空也がただの最中屋ではないことを改めて知らしめてくれる。

 

羊羹好きだった夏目漱石は「空也餅」が好きだったようだが、当時の品書きにこの羊羹があったら、きっと虜(とりこ)になっていたに違いない。

 

蕎麦饅頭:蕎麦粉✖こしあんのピュアな合体

自然な蕎麦粉の薯蕷饅頭で、見るからにそそられる(写真左)。

 

中はやや濃いめのこしあん。

蕎麦粉生地のピュアな吹き上がりが素晴らしい。

 

大きさは直径約40ミリ。重さは48グラムほど。

 

黄味瓢:黄味餡のこなしと白餡の絶妙

形が瓢箪(ひょうたん)形でこれは空也のシンボル形でもある。

 

外側が黄味餡のこなしになっていて、中は大福豆の白餡。重さは約49グラム。

どこかひょうきんな上生菓子で、二つの上質なあんこを楽しめる。

 

しっとりとした食感。甘さが上品。

 

浮島:二層の蒸し生地+大納言

おしゃれな上生菓子で、浮島生地(カステラ状の蒸し生地)が二層になっている。

 

よく見ると、一つには大納言甘納豆、もう一つには大福豆が組み込まれている。

しっとりとした生地のくちどけが凄い。

 

二層の色味の違いはメープルシュガーと白ザラメの違いかも。

 

空也の進取の気性も感じる6種の生菓子。

 

美味しゅうございました。

 

「空也」

所在地 東京・銀座6丁目7-19

 





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペナンの絶品あん菓子😎食道楽の天国

 

クアラルンプールからマレーシア第二の都市・ペナンに移動した。

 

ここは実は娘一家が住む街で、今回のマレーシア旅行の大きな目的の一つ。

 

男の子二人の育児に奮闘しながら、夫とともに仕事と趣味(ユーチューバー)をギリ楽しんでいる様子が見れて、いい旅となった。

高層コンドミニアムから眺める景色の素晴らしさ。

 

マレーシアの食文化は実に多様で、食道楽にとってはある種の天国と思えるほど。

クルマの量が多いのに信号が少ない。

 

なので近くの市場やレストランに行くにはクルマの隙間を縫うように歩かなければならない。忍者さながら、この感覚は悪くない。

世界遺産のジョージタウン(旧イギリス領だった)を散策。有名なウオールアートの前で立ち止まり、イタリアンレストランで食事をし、堪能し、ペナンの食文化の多様さとレベルの高さにタメ息が出っぱなしの日々だった。

このジョージタウンで出会ったあんこ菓子を最後にご紹介したい。

 

入った店は巨大なマーケットの一角にあった「MINGXANGTAY」(名香泰餅家)。

 

ペナンを本拠地とする中華ペストリーの専門店のようだ。

温かい明りの下、バラエティーに富んだ中華菓子が私に微笑みかけて来た(気がした)。

 

あんこ狂のデザートにふさわしいものはないか?

 

エッグタルトにも惹かれたが、思案の末、私のあんこセンサーにヒットした二つを選んだ。

 

🧐その一 表面に白ゴマが点々とかかった焼き菓子

中華とマレーシアが融合したような、卓球ボール大の焼き菓子だが、中に半生のあんこが入っている予感。当たりか?

割ってみると、重層的な凝ったつくりだった。

中心部に塩漬けにした卵の黄身(アヒルの卵?)があり、その周りを栗色の餡(蓮の実の餡)がぐるりと囲んでいた。栗餡に見えなくもない。

 

表面の生地はパイ生地のような、サクッとした食感。

 

これが絶妙な組み合わせで、全体的には甘いが、黄身の塩気が栗色の餡といい関係(マリアージュ)をつくっている。

表面のサクサク感と中の重層的なしっとり密度のバランスがとてもいい。

 

🧐その二 表面にココナッツ⇔緑色の餡

これも卓球ボール大の焼き菓子で、表面には白い点々(砂糖かと思ったが、ココナッツだった)。

 

中を割ると、3層構造になっていて、核の部分は塩漬けした卵黄(燻製?)で、その周りを緑色の餡が覆っている。

まるでうぐいす餡のようだが、調べてみたら、蓮の実の餡に東南アジアのハーブ(緑色)をブレンドした中華✖ペナンの合体餡とか。

 

生地は小麦粉にバター、ラードなどを練り込んだパイ生地。

 

これが実に美味しい。

 

目と鼻と舌が深いところでくすぐられる。

 

ペナンの中華菓子、すごい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苦戦のあんこ探し🧐マレーシア⇔日本の点と線

 

羽田からクアラルンプールに到着して、モノレールで中心街のブキッ・ビンタンに入ると、高層ビルが乱立し、クルマが隙間なく交錯し、様々な人種・宗教が行き交っている。

 

まずはその活気に圧倒される。経済成長ぶりが私の予想を超えていた。

日本が夕暮れに向かう国なら、ここは朝陽が昇る国かもしれない。

 

渋谷のスクランブル交差点のような、無秩序の秩序とでも表現したくなる、ここはひょっとして近未来都市ではないか、とすら思えてくる。

 

1980年代にマハティール首相(当時)が掲げた「ルック・イースト」(主にイースト=日本をお手本に、という政策)の成果かと考えると、袋小路に陥りつつある今の日本のようにはなってほしくない・・・とつぶやきたくなる(勝手な感想です)。

 

という前置きで、本題のマレーシアのあんこ菓子探し(苦戦続き)に移りたい。

ホテルの朝食(ビュッフェスタイル)で面白い餅菓子(?)を見つけた。

 

その一:笹に包まれた餅菓子

 

マレー系・中華系・インド系・・・様々な料理や菓子類の中でマレーシアの伝統菓子クエ・コチ(笹などに包まれた、一口サイズの餅菓子)に目が行った。

まるで見た目は日本の笹餅。笹の葉なのか、あるいは別の葉(バナナの葉?)なのかもわからない。

 

しっとりと濡れた、みずみずしさ。蒸し菓子の一種だと思う。

 

中があんこだと私にとっては素晴らしい出会いとなるのだが。

 

ワクワクしながら、笹を取る。

中からつややかな褐色の柔らかそうな餅菓子が現れた。

 

大きさはピンポン玉くらいか、ヤシ糖(パームシュガー)の気配がある。

 

触れると、指先からプルルンともっちり感が伝わってくる。

 

日本の白玉の笹餅とかわらび餅に通じるような、官能的な手づくり感。

 

😎味わい 真ん中を切ってみたら、中の餡はココナッツとヤシ糖をブレンドしたような、オーガニックで素朴な餡で、いい風味が立ち上がってくる。

ひと口で気に入ってしまった。掛け値なく美味しい。

 

調べてみたら中の餡はヤシ糖とココナッツフレークを炒めた甘い餡で、ココナッツの風味が穏やかに詰まっているもの。

あずき餡ではないが、これもあんこ菓子の一種と言えなくもない。

 

ひょっとして和菓子のルーツの一つかもしれない。

 

マレーシアから中国を経てヤポネシア(日本)への点と線がどこかでつながっている、と感じるような(単なる空想?)。

 

その二:ういろう状の二層仕立て

見た目は白と茶、二層のういろうのよう。

 

そそられる色気。

 

上段がミルク(ココナッツミルク?)のようで、下段が小豆餡のようにも見える。

 

食感も上質なういろうのようで、蒸し菓子の一種だと思う。

餅粉と米粉、あるいはタピオカ粉を混ぜ、素朴で上質な味わいに仕上げているようだ。

 

小豆色の部分はひょっとしてレッドビーンズ(小豆)かもしれない。

 

黒糖の風味はあまり感じなかった。

 

甘すぎない。もっちり食感➥口どけがとてもいい。

マレーと中華が融合したミックスな郷土菓子ではないか(このジャンルは今後の課題)。

 

マレーシアの餅菓子クエ・コチが「=食えごち(御馳走)」と勝手な文字変換遊びをしばしの間、楽しむことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豆大福とよもぎ大福😎マレーシア編

 

突然、なぜかマレーシアへあんこ旅!

と書きたくなる随分久しぶりのマレーシア旅行となった。

パックツアーではなく自力(?)の、約10日間の比較的長い日程の・・・と見栄を張りたいところだが、実際は弥次喜多珍道中に近い、右往左往のなりゆき旅となった。

 

種を明かすと、娘ファミリーが約1年前にマレーシアに移住して、子育てと仕事で頑張っているようなので、ちょいと陣中見舞いに行ってみっか、ついでにあんこ道楽の取材もしてみっか、と甘くもくろんだ次第です。

 

首都のクアラルンプールは高層ビルが林立し、クルマにあふれ、食べ物があふれ、多様な人種(主にマレー人、中国人、インド人など)が行きかい、ヒジャブ姿のモスリムがカラフルに歩いている、私にとっては予想以上の発展(もちろん取り残された裏道も見えた)を現在進行形で遂げているミステリーな巨大都市だった。

活気と雑多が入り混じった大都市なのに私が滞在している間はパトカーのサイレンは少なく、騒乱の気配もない。ある種不思議な秩序。日本より平和すら感じる。

 

マレーシアの歴史を語れるほどの知識もないので、私が見たのはごくごく表面的なものにならざるを得ない。あんこ菓子の取材も言葉と文化の関係で深くは切り込めない。

 

第一期待通りの和菓子屋があるかどうかもわからない。

 

娘の情報によると、日本人が始めたレアな和菓子店が今も存続しているかさえわからない。

 

仕方なく中心街のブキッ・ビンタン周辺をあんこセンサーを頼りに歩き回ることにした。

探し物は見つからない。猛暑のなかを冷や汗が歩く・・・なんてね(笑)。

 

「ISETAN」があったので、思わず飛び込んだら、びっくり。

 

「十勝あんこのサザエ」の日本語が見え、そこに豆大福やおはぎ類が並んでいた。

スタッフは男性のマレー人が一人。あんこの神様はクアラルンプールにもいらっしゃった?

 

価格は円ではなくRM(リンギット)表示(トーゼンだが)。

最近の円安で、日ごとに実質購入価格が上がっているのが残念。

 

豆大福とよもぎ大福、それにごま大福などを何とか買い、近くの休憩スペースで実食することにした。

 

見た目は日本のものと変わらない。

 

価格は円に換算すると、ちょっと高め。

 

豆大福で1個8・8RM(約360円)。

 

たまたまなのか私の他に買っている人は見当たらなかった。

 

生の餅菓子なので現地製造しているのか、あるいは日本から冷凍保存したものを販売しているのか、そのあたりは不明だが、味わいは思った以上にそのままだった。

つまり、フツーに食べて美味しい。

 

豆大福:餅粉がたっぷりとかかった餅は少し固くなりかけていたが、赤えんどう豆はまずまずの固さ。

中のあんこは日本とほとんど同じ素朴なつぶあんで、たっぷりと詰まっていた。

 

私の舌が暑さで微妙に狂ったかもしれないが、95%の精度で豊潤を感じた。

渋抜きがひょっとして足りないかな、とも思ったが、わざとそういう素朴さを出しているのかもしれない。

 

マレーシアのスイーツは全体にかなり甘めだが、これは甘すぎない、

 

餅の一部からあんこが少しはみ出ていたが、これもここがマレーシアだと考えると、範囲だと思う。ここではおおらかさが重要。

 

よもぎ大福:よもぎの風味は強くはない。ほんのりと鼻腔にくる感じで、少し物足りない気もしたが、これも範囲内だと思う。

餅の柔らかさはまずまず。

 

中のあんこはこちらもつぶあん。それもぎっしりと詰まっている。好感。

目隠しテストをしたら、ここがマレーシアのものとはたぶん思わない。

 

まさかの右往左往の後、マレーシアで「十勝あんこのサザエ」に出会えるとは、行き当たりばったりのあんこ旅の最初の結末としてはまずまず、と思うことにしたい。