意外な発見。函館には歴史のある和菓子屋、それも餅屋系が多いこと。
教会が多く、赤レンガ通りなどバタ臭いイメージの街だが、前回書いた「龍榮堂本店」(大正15年創業)の3代目店主と話すうちに「函館にはいい和菓子をつくる餅屋が多いこと」に目を見開かされた。
和菓子の主役・小豆の生産量が北海道が日本一であることもこの背景にあるかもしれない。

エリモショウズから大納言小豆まで、今や北海道は小豆の王国なのである。
とはいえ、ここ数年の異常気象などで生産量に変化が起きているという。
頭の痛い問題だが、ここはあんこの神様にお祈りするしかない。
という前置きはさておき。
今回ご紹介したい「栄餅本店」も函館あんこ界をリードする一軒。

創業が明治33年(1900年)の百年超老舗で、4代目が代々続く無添加づくりの暖簾を守っている。
見事な一軒家の和菓子屋さんで、「栄餅本店」の重厚な歴史を放射する看板が目に沁みる。

店内に一歩足を踏み入れると、朝ナマの餅菓子類やだんご類がキチンと並べられていた。

前々日に電話したら「朝の9時半には揃ってます」とのことだったので、一泊してその時間にたどり着いた。空気がすがすがしい。
★ゲットしたキラ星
三色大福 (よもぎ、白、赤)
各200円
串だんご
こしあん 160円
ごまあん 160円
きんつば 170円
※すべて税込み価格です。

【センターは?】
よもぎ大福:地場のよもぎ✖地場の小豆の合体

三色大福の中で最も惹かれたのがよもぎ大福。
多忙のなか4代目店主が春先に自分で摘んだよもぎ(冷凍保存)を見せてくれた。

春の薫りが私の鼻先までふわりと来た。
自分で摘む・・・なかなかできることではない。
「もともとが餅屋」とおっしゃるだけあって、杵つき餅の質がピュアでしっかりと伸びる。

柔らかすぎず固すぎず。絶妙な穏やかさ(と表現するしかない)。
岩手・紫波産ヒメノモチを使用、それに地場産のよもぎが濃厚にブレンドされていいる。

中のあんこ(自家製つぶあん)も秀逸な味わいで、北海道産エリモジョウズを自家炊きし、上白糖で丁寧に仕上げている。


北の函館ならではの濃厚で深いよもぎ餅の風味とつぶあんの合体。
塩味がいい具合に絡んでくる。
正直に言うと、まさか函館でかような上質な感動と出会えるとは思いもよらなかった(失礼)。
【サイドは?】
豆大福(赤):青豆の風味と餅の伸び+つぶあん

この店の大福は形が楕円で、一見そっけなく見えるが、ひと口でその深い味わいに驚かされる。次第に虜になる、と思う(私がそうだった)。
魔除けの色・赤い餅の中に青豆が練り込まれていて、それがいいアクセントになっている。
実食したのはホテルに戻ってから午後6時から。

無添加づくりなので今日中に食べなければならない。
手で千切ろうとすると、伸びが凄い。

中にたっぷり詰まったつぶあんが柔らかい悲鳴を上げる(そんな感じ)。
雑味のない、柔らかな美味さ。
青豆の豆大福は新潟などにも多いが、ひょっとしてここはその系譜かもしれない。
🧐あんヒストリー
明治33年創業の老舗餅屋さんだが、4代目店主は「函館は餅屋が多く、昔はもっと多かった」と話す。和菓子専門学校を卒業した後、札幌の老舗和菓子店で職人修業。その後、実家を継いでいる。無添加手づくりにこだわり、和菓子の歴史についても一家言を持つ。店の奥にガラス張りの広い作業場があり、道具類がぴかぴかに光っている。丁寧さが伝わってくる光景で、完璧主義者のよう。素晴らしいこと。

きんつば:昔の形(円形)の秀逸な味わい

だんごも素晴らしかったが、私のあんココロをとらえたのはきんつば。
京都⇒江戸の鍔形きんつばで、東京・日本橋「榮太樓総本舗」の名代きんつばを思わせる、昔のままのいぶし銀スタイルに引き込まれてしまった。
小さいが手で触るともっちり感が伝わって来る。

小麦粉ベースの生地が膜のように薄い。
何より中のあんこが素朴に美味い。素朴な洗練。
ほんのり塩気。思わず「うめえー」が出かかる。

よく見ると、小豆とこしあんを丁寧にブレンドしているよう。
地味だがいい仕事をしているのがわかる。
函館の和菓子屋さん、全国区ではないが、全国区を凌駕しいているかもしれない。
「栄餅本店」
所在地 函館市栄町5-13

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