「岡埜栄泉」の暖簾は私にとって特別のものがある。
明治初期創業、東京・上野駅前の「岡埜栄泉総本家」が麻布十番に移転(「いろがみ」)し、今ではそこも閉店してしまっている。
8年ほど前のこと、ちょうど上野駅前から移転する時期に訪問して、希望に燃える6代目と和菓子談義したことが昨日のことのようだが、なぜその後低迷していったのか、その理由が今もわからない。
それでも都内に数軒、ビッグネーム「岡埜栄泉」の老舗の暖簾を守り続けている。原宿「瑞穂」もルーツは「虎ノ門岡埜栄泉」で、豆大福の名店としての地位は不動のもの。
東京・三鷹に住んでいた頃、相方が虎ノ門の音楽事務所で働いていた関係で、よく「虎ノ門岡埜栄泉」の豆大福を買ってきてくれた。
サイズが超ビッグで餅の柔らかさと赤えんどう豆、主役のこしあんの量と質がレッドゾーンを超えていて、今もその感動を超える豆大福には出会っていない(個人的な感想です)。
で、本題。
たまたま岡埜栄泉の暖簾分けを調べていたら、茨城・筑西市にも暖簾分けが存在していることを知り、好奇心がむくむく、大急ぎでクルマを走らせた。
確かにあった!


一軒家の店構えだが。白地の暖簾に「岡埜栄泉」の文字が沁みる。
いい職人がいる気配。
あんココロがときめいた。
★ゲットしたキラ星
あじさい餅 180円
こだますいか饅頭180円
茶万頭 120円
白万頭 120円
どら焼き 180円
※すべて税込み価格です。

👟暖簾の奥 店内は狭いがこだわりの強さを示す和菓子がショーケースに並んでいて、奥が広い工房になっていて、そこから白衣姿の店主(三代目)が現れた。

豆大福がなかったので聞いてみたら「10月~12月の期間限定でつくってるんですよ」とか。残念だが、このひと言で店主が只者ではないことがわかった。
「あんこは自家製です。本当の小豆の風味を感じて下さい」
手書きの表示が目に入った。

こし餡まで手づくりにこだわっているのもレアになりつつある。
「そこは譲れませんね」ときっぱり。老舗・岡埜栄泉の遺伝子がここにも生きていることを確認した気分。
【センターは?】
あじさい餅:道明寺✖こし餡のピュアな味わい

塩漬け桜葉に包まれたあじさいの淡い色が道明寺餅にうっすらと浮かんでいて、小ぶりだが上生菓子の存在感を放っていた。
🧐実食タイム
道明寺は柔らかなつぶつぶ感を残し、いいもっちり感。

中の自家製こし餡が上質で、舌触りがとてもいい。
桜葉の塩気がほんのりと伝わってくる。
漉し方がなめらかで、甘すぎない上質。

あんこへのこだわりの強さを感じる。
北海道産えりも小豆✖グラニュー糖。
正直に言うとまさか筑西市で「岡埜栄泉」の暖簾分けに出会うとは驚きではある(いい意味の驚きです)。
●あんヒストリー
創業は昭和22年(1947年)。現在三代目だが「もっと前からやっていたかもしれません」とか。初代の祖父は東京・上野「岡埜栄泉総本家」で修業し、暖簾分けされたという。素材選びから製法までこだわりがハンパではない。特にあんこは無添加手づくりを守り続けている。地場の素材を生かした和菓子づくりにも挑戦している。自家製のカステラも実においしかった。

【サイドは?】
こだますいか饅頭:白餡✖すいかの絶妙な味わい

筑西市はこだますいかの産地としても知られている。
それを薯蕷饅頭にしているのが面白い挑戦だと思う。
中は淡い赤色のすいか餡。

口に入れた瞬間、すいかの果汁のさわやかな香りがふわりと広がってきた。
まさしくす・い・か。

奥から白いんげん豆の風味がゆっくりと来る。
目と鼻と舌が夏到来をじっくりと楽しむ。そんな感覚。
茶万頭:こし餡の美味さが引き立つ

黒糖生地はいいテカリで、もっちり感があり、手で割ると、中にぎっしり詰まった自家製こし餡が「ようこそ」と現れる。

こだわりがよくわかる、舌触りのとてもいいこし餡で、先代から受け継いだ製法を踏襲しているそうで、そのこだわりがどこか温かい。

甘さも抑えている。なので何個でも食べられそう。
先代のあだ名が「しょうちゃん」だったことから「しょうちゃん饅頭」と呼ばれていたそう。
白万頭:こちらは風味が立つつぶ餡

「小豆本来の味」にこだわっていることがよくわかる、つぶ餡の吹き上がりがすごい。
柔らかく炊かれていて、小豆の形はしっかり残っているのに、歯に引っかからない。

素朴な上質と表現したくなる。
こし餡の洗練とはひと味違う、力強く濃いめの味わい。
淡白な白生地がその濃厚を引き立たせている。
東京の岡埜栄泉は饅頭は主役ではないが、ここでは十分に主役の座を射止めているようだ。
「豆大福」の季節にもう一度来たくなった。
「和菓子処 岡埜栄泉」
所在地 茨城・筑西市新治1993ー140


































































































