週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

あんこUFO⁉😎太郎焼き&冷やししるこ

 

東京・赤羽で昼飲み会議の後、夕暮れ時。

 

川口駅で途中下車した。

目的は「太郎焼本舗」

 

昭和28年(1953年)創業、主に関東周辺に存在する太郎焼きの親分みたいな存在。

 

一般的には今川焼き大判焼き、西日本では回転焼とも称される、小麦粉ベースの皮とたっぷりのあんこが勝負のシンプルな焼き菓子。

 

私はたい焼きも大好きだが、こちらの方にシンパシーを感じる。

 

発祥は江戸時代中期に神田今川橋付近で売られていたというのが定説だが、諸説ある。

 

たい焼きよりも歴史的に古い(たい焼きは明治以降)。

 

ここでは今川焼とは言わず、太郎焼きと称している。

 

個人的にはUFO型の今川焼、と呼びたくなる。

 

JR川口駅の真下がホームグラウンド。

酷暑の夕暮れが真っ赤に伸び始める。

 

彼方からあんこのUFOが出現しそう(外したかな?)。

 

そんなシチュエーションを重ね合わせたくなる。

 

★ゲットしたキラ星

 太郎焼き(従来の甘さ)  170円

 新太郎焼き(甘さ控えめ) 170円

 冷やししるこ       280円

 ※すべて税込み価格

 

【センターは?】

自家製つぶあんが濃淡2種類、その圧倒

 

甘さが二段階、2種類のつぶあんというのは珍しい。

 

・従来の甘さ

川口名物と銘打つだけあって、焼き印は川口市の市章(川をイメージ).

 

大きさは目測で60ミリ×60ミリほど。厚さは30~35ミリはありそう。

今川焼きは焼きたてが何といっても一番おいしいと思う。

 

なので、今回は駅のターミナルで味わうことにした。

こういう食べ方もクールではないか?

 

以前、京都「神馬堂」の焼き餅を同じ食べ方で食べたが、冷めてから食べるのとひと味違うのが面白い。

syukan-anko.hatenablog.jp

 

職人さんが目の前で焼くのを見ながら、幾分涼しい場所を選んで食べる。

味わい薄い皮のもちもち感と濃厚なあんこ

 

やや濃いめのきつね色。手で二つに割ると、艶やかなつぶあんがあふれ出そうで、口に運ぶと、確かに甘め。テカリがすごい。それらが柔らかな小豆を押し出すように迫って来る。いいね。

小豆は北海道産、砂糖はグラニュー糖を使用しているとか。

 

もちもち皮にほんのり焦げ目があり、それが濃厚なあんこを強調している。

 

塩気もある。

フツーに食べたら、秋口から冬にかけて、心までほっこり来そう。

 

だが、残暑がきついので、汗を意識しながらの賞味がやや重くなる。

 

れはこれであり、の楽しみ方だと雑踏の中の試食を楽しんだ。

 

・甘さ控えめ

こちらは「新太郎焼き」と表記してあり、甘さが3割ほど抑えてある。

 

表面の焼き色もどこか薄め。

味わい:手で二つに割ると、同じようにつぶあんがこぼれ落ちそうなほど詰まっている。

従来の太郎焼きよりもあんこが淡い。よりオーガニック感。

 

だが、口に入れると、こちらの方が北海道産小豆の自然な風味が広がった。

塩分も少ない気がする。

 

小豆の柔らかくてきれいな風味がここちよい。

 

何よりもあんこの美味さがドドと迫って来る。

 

濃厚(太郎焼き㊦)と淡麗(新太郎焼き㊤)。

私の好みは小豆の風味をより感じる新太郎焼き。

 

【サイドは冷やししるこ】

重さはプラスチック製の器込みで247グラムほど。

蓋を取ると、白玉が4個。ドロリとしたつぶあんの海に浮かんでいる。

 

あんこ自慢の店だけにつぶあんは濃厚で、塩気もある。

冷蔵庫で冷やしておいたので、スプーンで掬ってから舌にのせると、甘味処の冷やしぜんざいに負けない美味さ。風味。

 

素朴なつぶあん

 

白玉は少しだけ固くなっていたが、冷たさがその固さを和らげる。

結構なボリュームなので、フツーに考えれば、夕食前のデザートとしてはきついかもしれない。

 

だが、あんこ好きなら、これが無上の口悦となる。愛の変換(笑)。

 

酷暑のなかの太郎焼き2種類と冷やししるこのクロスプレー。

 

路上のあんこ、たまらん。

 

《小豆のつぶやき》

今川焼きの中でも「御座候」(本社・姫路市)や「博多屋」(東京・町屋)はあんこの美味さが私の好み▼私にとってはコスパも含めて東西の両横綱、と言いたくなる▼「太郎焼き」は番付風に言うと東の大関格▼もちろん個人的なランク付けだが、たい焼きの人気に比べて今川焼の人気は低い▼なので「およげ! たいやきくん」からもうすぐ半世紀、次はあんこUFO「空飛べ! 今川焼きくん」と言いたくなる。▼宇宙人もあんこ好き。想像するだけで楽しくなる。

 

「太郎焼き本舗」

所在地 埼玉・川口市栄町3-7-1駅ビルキャスティ1F&3F

最寄り駅 JR川口駅すぐ

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚きのつぶあん🤩幻の田舎饅頭を追う

 

100の言葉よりも実物を見ていただきたい。

この炭酸まんじゅうを初めて見たとき、目が吸い込まれそうになった。

 

一見、フツーの田舎まんじゅうにも見えるが、そうではなかった。

 

最初のアタック:皮生地のもちっとした手触りと重さ。柔らかなつぶあんの予感。私のあんこハートがピコピコときめいた。

手で割ると、見事なつぶあんがぎっしり。青紫色のあんこ!

 

奥に芳醇な小豆色。その折り重なるような美しさにしばし息を吞む。あんこのかぐや姫かいな?

これはすごいな。

 

口に入れたら、実に柔らかな、香り立つようないい小豆の風味がビッグバン的に広がって来た(表現がとても追いつかない)。雑味がない。

 

オーバーだと思うかもしれないが、このレベルのあんこに出会うことはそう多くはない。私にとっては餡ビリーバブルな出会い。

 

事の発端:先月のこと。みなかみ町の温泉旅館に宿泊した際、女将さんから「これ、よかったら食べてみてください。たまたまうちのお客さんが持ってきてくれたもので、土日のみの販売で、すぐに売り切れちゃうらしいんですよ。詳しいことはわかりませんが、すごい人気みたいですよ」

 

私が大のあんこ好きで、暇にまかせてあんこ旅を楽しんでいると夕ご飯の席で話したことで、親切な女将さんが気を利かせてくれたという経由になる。

 

その段階では詳しい店名も所在地もわからない。

 

その数日後、渋川市周辺でつくっているらしいことなど数少ないヒントを追ってシャーロック・ホームズにでもなった気分で、ベールに包まれた幻の饅頭を探した。

 

で、先日。何とかその饅頭屋さんを突き止め、連絡を取り、クルマを飛ばした。

秘境と言いたくなるような場所。心細くなるほど細い山道を走る。「まんじゅう さちあん」の看板を見つけるまで、ちゃんとたどり着けるか不安だった。今が2023年9月であることを忘れそうになるほど。まさかの場所。

 

★ゲットしたキラ星

 炭酸まんじゅう 140円×2個

 金時塩まんじゅう 150円×2個

 おはぎ 140円×2個

 豆大福 140円×2個

 ※炭酸まんじゅう以外は少量生産。すべて税込み価格です

 

【センターは?】

手づくりつぶあん×皮生地のとろけ合い=小天国

 

編集長「多分、全国的には無名だと思うけど、こんなすごい炭酸まんじゅうが群馬・渋川市郊外の秘境みたいな場所で手づくりされていることに驚かされたよ」

 

あん子「ホント信じられない場所だったわね。オーバーに言うと、週刊あんこ史上に残る一つの発見、と言いたくなる(笑)。編集長の半音ズレた興奮がおかしかったわよ(笑)」

編集長「いいものに出会ったときは正直に興奮しなくっちゃ(笑)。田舎まんじゅうの分野では、東京・三ノ輪『おし田』に匹敵するくらいの驚きの美味さだよ。あくまでも個人的に、だけどね(笑)」

syukan-anko.hatenablog.jp

 

あん子「ドンピシャ好みだったわけね。『おし田』のつぶあんも紫色がかったすごいあんこだったわね」

 

編集長「取材交渉の過程はややこしいので省くけど、何度かアポを取って、仕事中に時間を少し取っていただいて、店主の幸子さんにお会いできたことは予想外の収穫だったよ」

サイズは手づくりなので少しずつ微妙に違っているが、以下の通りだった。

・75ミリ×75ミリ。厚みは40ミリほど

・重さ126グラム(もう一個は120グラムだった)

炭酸まんじゅうなので、生地は少し黄色みがかっている。

 

賞味期限が無添加づくりなので、当日中」。なので、ゲットしてから約5時間後の賞味となった。

味わい:まず皮生地の美味さ。ふかふかともっちり感が見事に凝縮していて、噛んだ瞬間、素朴な小麦粉の風味が広がり、口の中でほどけるように溶けていく。

主役の濃い青紫色のつぶあんは渋切りや炊き方が絶妙で、その日の小豆の状態(希少な北海道産しゅまり小豆)や気温などを勘案して、一気に煮上げる。

 

空気に触れれば触れるほどあんこの味が落ちるんですよ」とか。砂糖はグラニュー糖。

 

甘さを抑えて、ほんのりと塩を利かせる。絶妙な塩梅。

仕上げたあんこは一日寝かせる

 

独特のこだわりと熟練の技。

 

その細心さによって、ふっくらとした粒と半透明の呉(小豆の中身)が絶妙に混じり合い、ほとんど爆発的な美味さにつながっていると思う。

 

●あんヒストリー 創業は平成6年(1994年)。試行錯誤しながら、理想のあんこづくりに取り組む。「あんこは赤くなければいけない」という固定観念を破り、「紫色こそ最高のあんこ」という境地に達するまで相当な年月がかかったそう。コアなファンの多さがその美味さを裏付ける。娘さんの夫(つまり義理の息子さん)とともに独自のあんこづくりと饅頭づくりに励んでいる。

 

【サイドは?】

金時塩まんじゅう:塩気が強めで、どろりとした金時豆の柔らかさが際立っている。定番のつぶあんとは別の醍醐味を生んでいる。こちらもめちゃウマ。少量生産なのでゲットできるのは限定的となる。

おはぎ:つぶあんの美味さともち米(新潟産わたぼうし)のマッチングがワンランク上質。つぶあんの豊潤がとてもいい。これも少量生産。

豆大福:こちらも少量生産。やや固めに、それでいてふっくらと炊かれた赤えんどう豆と搗きたての柔らかな餅、主役の見事なつぶあんが絶妙に支え合って、東京の豆大福の名店に負けない味わいを生んでいる。

 

《小豆のつぶやき》

▼もしみなかみ町の旅館で出会わなかったら、と思うと、運命のいたずらに感謝したくなる▼店舗を持たず、直売所中心の売り方(基本的に土日のみ)なので、ゲットしにくいが、ホームページから置いている店を探すことはできる。

 

「さちあん」

所在地 群馬・渋川市赤城町

●ホームページ(公式サイト)は以下の通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豆大福のオーラ😎北千住の隠れ名店

 

東京・北千住は下町の飲み屋街としても知られるが、実は隠れたいい和菓子屋が多い。

 

槍かけだんごの「かどや」、「ひので家」「たから家」などなど。

 

私が昔大好きだった最中の「なか井」は16年ほど前に後継者がいないという理由で廃業してしまった。いまだに惜しまれる。

 

今回ご紹介するのは、隠れた名店の中でも飛び切りの和菓子屋「和歌藤(わかふじ)」です。

うかつなことに、6年ほど前にふらりと入ったら、豆大福は売り切れていて、どら焼きが数点残っているだけだった。

 

まずまずの美味さだったが、その時はなぜか特出するものを感じなかった。

 

あまりにシンプルな店構え。のぼりが一本だけ。

どこか隠者のような、踏み込むことを拒否するような気配さえ感じる。

 

今回は時間が早かったせいもあり、見事な豆大福がオーラに包まれるように、いい具合に並べられていた。

種類も品数もそう多くはないが、そのほかの朝ナマ和菓子もいい景色で、その安さにも驚きつつ、二度三度と目をこすりながら、いくつか選んだ。

店主は寡黙でいろいろ聞いてもなかなか答えてくれない。冷たい汗が数滴。

 

★ゲットしたキラ星

 豆大福 110円

 水ようかん 130円

 かのこ 110円

 どら焼き(こしあん) 150円

 梅の実 150円

  ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

驚きのコスパ、名店を超える?豆大福

 

見た目:餅粉と赤えんどう豆の渋いオーラ。

 

賞味期限が「本日中」なので、他の用事を早めに済ませ、いそいそと自宅に戻った。

 

朝ナマの豆大福、かのこ、水ようかん(写真右から)を並べる。

取材記者の目であら探しを試みたが、スキがない。

 

唯一、水ようかんの底敷き桜葉がビニール製だったことくらい(それも時季と価格を考えると納得の範囲だと思う)。

 

この価格でこの存在感はあり得ない。

 

豆大福のサイズは約55ミリ×55ミリ。重さは92グラムほど。やや大きめ。

味わい:赤えんどう豆はやや固めで、塩気がほどよい。

 

5時間ほど経っていたので、柔らかな餅が少し固くなり始めていた。

本物の搗(つ)きたて餅。

 

伸びやかで、もち米のいい風味がふわりと来た。

 

何よりも驚かされたのはぎっしり詰まった自家製つぶあん。その柔らかな質。

見事な藤紫色で、ほおばった瞬間、小豆(北海道産)のきれいな風味がそよ風となって、口の中で小さく渦を巻くような。

素晴らしきあんこと唸りたくなる。

 

この美しい色のあんこを炊くには、渋切りを含めて、かなりの技術が必要と思う。

控えめな甘さと、ふっくらと炊かれた小豆の皮が歯にかすかに引っかかる感触が、寡黙な店主の腕を裏付けている。

 

餅×赤えんどう豆×あんこ=∞。

 

個人的な評価ではすべてが「松」クラス。

 

寡黙な口からようやく引き出したのが「砂糖はグラニュー糖」という短い言葉だった。

 

天国の門は実に狭い?

 

●あんヒストリー 

話を聞くのに苦労したが、店の創業は「30年くらい前」とか。先代から居抜きで店を引き継いで、店名の「和歌藤」もそのままだとか。よほど見込まれたに違いない。製菓学校を出てから大阪の老舗で修業したことも何とか教えてくれた。「聞かれるのは苦手で」とも。言外に「作ったものがすべてですよ」と言われた気がした。その通りなので、悪い感触ではない。沈黙はいぶし銀なり。

 

【セカンドは?】

水ようかん水ようかんも藤紫色で、店名の「和歌藤」は藤色から来ているかもしれない。

こしあん(自家製)と寒天の配合がとてもいい。なめらかに舌の上で溶けていく感触とかすかな塩気が絶妙と言いたくなる。

 

かのこ外側の大納言(多分北海道産)と寒天の膜、それに中のこしあんが素晴らしい。

小豆のふくよかな風味が立ってくる。こしあん粒子を感じるしっとり感で、店主の繊細な手まで感じる。

きれいな余韻がしばらく続く。

 

絶妙なかのこ、とため息が出る。

 

北千住の片隅に凄腕の和菓子職人が確かに生息している。

 

《小豆のつぶやき》

▼こうした出会いは格別なものがある▼京都を頂点とした和菓子の世界がいかに広くて深いか▼表面的なところからは見えない裏通りにも、未知の和菓子職人が潜んでいること、改めて思い知らされる▼それゆえに探す楽しみもある▼調べることが私の仕事の一部でもあるが、聞きながら心苦しさもある▼以前、浦和の老舗和菓子屋さんでご高齢の女将さんに「そんなことよりも早く食べてみて」と一喝(?)されたこともある▼おめーん一本、「和」の意味を考える▼あんこの超能力が欲しい(笑)。

 

「和歌藤」

所在地 東京・足立区千住旭町22-12

最寄り駅 北千住駅東口から歩約5~6分

 

              

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コスパに驚く😋上生菓子と味噌まんじゅう

 

うだるような猛暑の中、隠れた名店を探す。

 

今回ご紹介するのは、埼玉・春日部郊外(旧庄和町)で出会った、宝石のような小さな和菓子屋さん

シンプルな店構えがシャレていて、白地の暖簾がどこかメルヘンチックで、私のあんこころが小躍りした。

 

8色のシャボン玉? 小さく「美乃屋」(みのや)の文字(花火をイメージしたそう)。

季節の上生菓子「煉り切り」が推しで、後で調べてみたら、インスタグラムのフォロワー数が1・7万人という和菓子屋さんだった。びっくりあんこ。

物は試しと美しい2種類だけ(上の写真㊧夏菊、㊨花火)ゲットしたが、私の目は数種類のまんじゅう類に釘付け

自家製カステラや新食感くずバーまである。

 

びっくりするのはまだ早い。

 

まんじゅう類は1個100円(税込み)がベースで、あんだんごなどは一串60円(税込み)と表記してある。

上生菓子からまんじゅう類まで、一品一品にこだわりの強さが窺える。

 

ここの店主に興味がわいた。

 

★ゲットしたキラ星たち

・みそまんじゅう 100円

・しそまんじゅう 100円

・レモンまんじゅう 100円

・麩まんじゅう 150円

・特大栗まんじゅう 250円

・煉り切り2品 280円×2

   ※いずれも税込み価格

 

【センターは?】

麩まんじゅう味噌饅頭vs特大栗饅頭

 

麩まんじゅう:夏限定の涼菓で、みずみずしい笹にくるまれた麩まんじゅう生地には希少な四万十川青のりを使用している。

味わい 冷蔵庫で十分冷やしてから食べる。最初のアタックは笹の香りと清冽な青のりの香りが麩まんじゅう独特のつるんとしたもっちり感とともに押し寄せてくる。

その直後になめらかな自家製こしあんの波

 

淡く上質なこしあんで、かすかに塩気もある。

店主のこだわりを感じる美味さ。

 

味噌まんじゅう:1個税込み100円が信じられない。中は手亡豆の白あん(下の写真㊨)。

皮生地にぽつりぽつりと味噌が練り込まれていて、手で持つと、自然でふわりとした食感。口どけのいい白あんのたっぷり感が「人気№1」を裏付ける。

ほどよい甘さと味噌の塩気がたまらない。

 

特大栗まんじゅう:フツーサイズと特大サイズがあり、迷うことなく特大サイズをゲットしたが、期待を裏切らない味わいでした。

蜜煮した栗が丸ごと1個入っていて、その周囲をたっぷりの白あんが包み込み、さらに小麦粉ベースの皮生地が薄く全体を覆っている。

見事な濃いめの焼き色。卵黄のテカリ。

 

店主の熟練の手が見えるよう。

 

崩壊の歯ざわりと舌の上で溶けていく感覚が上質。

栗のほくほく感と素朴な白あん、生地の三位一体がとてもいい。

 

栗まんじゅうの名店に引けを取らない、見事な栗まんじゅうだと思う。

 

●あんヒストリー

昭和38年(1963年)ごろ、初代が埼玉・戸田で創業。その後、現在の地(旧庄和町)に移転。現在2代目。「製菓製パン」(発行元・製菓実験社)などで和菓子職人修業。伝統とチャレンジ精神に富んだ和菓子づくりに取り組んでいる。

 

【サイドは?】

煉り切り2品:季節ごとに上生菓子(煉り切り)をつくり続けているが、今回ゲットしたのは「花火」(右)と「夏菊」(左)

和菓子職人としての腕が試される煉り切り。

 

ごらんの通り、とても美しい。

 

ベースの白あんをアートなまでに着色、中はしっかりとしたこしあん

自然な甘さで、口どけが素晴らしい

 

京都のいくつかの上生菓子は別格だが、関東のローカルでこれだけ高いレベルの煉り切りが存在していること、それを味わえたこと。

syukan-anko.hatenablog.jp

 

280円という価格も驚き、ではある。

 

店は初代の女将さん、2代目店主、それにきれいな娘さんで切り盛りしているようだ。

 

敷居の低さと志の高さ、隅々にまでさり気ない気配りが見て取れる。

いい和菓子屋さんに出会ったこと。

 

あんこの神様はローカルでこそ光る気がする。

 

《小豆のつぶやき》

▼店構えからしてセンスの良さを感じた▼だが、場所が遠いので、さほど期待せずに暖簾をくぐったが、びっくり、プロフェッショナルがいた▼2代目は気さくな物腰で、話しているうちにどんどんシンパシーを感じた▼和菓子屋の現在は玉石混交だが、あんこ旅でこういう店に出会うとうれしさも倍増する。

 

「美乃屋」

所在地 埼玉・春日部市米島1008-54

最寄り駅 東武アーバンパークライン南桜井駅下車

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天空の蜜会😎元祖あん入り味噌饅頭

 

その歴史も含めて広く深い饅頭の森のなかでも、きわめて異色なのが上州の焼きまんじゅう

 

甘味噌だれを付けて、竹串刺しにして焼き上げるという、およそ饅頭のイメージとはかけ離れたスタイルが群馬県民以外には「これってホントに饅頭なの?」と驚きを与える。

特に「秘密のケンミンショー」などテレビで取り上げられてからはいじられネタになったりもした。恥ずかしながら私もその一人でした(反省)。

 

だが、実際に味わってみたら、これが実にうまい!

 

以来、前言撤回。焼きまんじゅうのファンになった。

 

レアなあんこ入りもある。

 

これがまたたまらない。これまでの常識が反転する。

 

今回ご紹介したいのは、その元祖とも言われる、群馬・沼田市「東見屋」(とうみや)の「味噌まんじゅう」です。

すぐに硬くなるので、店先で焼き立てを味わうのがベストだと思う。

 

★今回ゲットしたキラ星

味噌まんじゅう(1串4個) 240円

あん入り(1串3個) 390円

  ※いずれも税込み価格

 

【センターは?】

生地は酒種で発酵、自家製こしあん入りの絶妙度

 

たまたま夏祭りの真っ最中だったので、店先の木のテーブルで心地よいミストシャワーを軽く受けながらの試食となった。

昭和的な情緒がジンと来る。

 

先祖代々の作り方を受け継ぎ天然酵母(酒種)でじっくり寝かせた小麦粉ベースの生地に秘伝の濃厚な甘味噌だれをたっぷり付け、炭火で焼き上げる。

香ばしい匂いに食欲中枢が鷲づかみされる、そんな感覚。

 

●あん(こしあん)入り

1串3個があん入り(下の写真右側)。直径約70ミリほどのほぼ円形で、少し大きい。厚みは20~25ミリほど。竹串は基本的に店でしか味わえない。

生唾がどんどん出てくるのがわかった。

 

独特の竹のフォークで一個ずつ外して、かぶりつく。

水飴やザラメを加えた代々の味噌だれが、もっちりとした酒種の生地とタッグを組んで、これだけで十分美味しいのに、中のピュアなこしあんと一緒になって、1∔1=3の花園あんあん状態を脳内に出現させるよう。

 

こしあんは甘すぎない、小豆のいい風味がしっかりと残る。気品さえ感じる。

濃厚な甘味噌だれの生地に一瞬だけ負けそうになるが、しなやかに主張する。

 

あんこ造りにも手抜きが見えない。

 

見かけは野暮ったいが、中身は洗練を感じる。

「発酵に糀(こうじ)を使ってじっくりと造っている店は少ないですよ。こしあん小豆も北海道産です」(女性スタッフ)

 

酒饅頭に甘味噌だれを塗って、炭火で焼き上げたもの、と考えると、これは隠れた、進化系酒まんじゅうとも言えると思う。

一歩下がってよく見ると、味噌だれをよく使う京都にも通じるような、上用まんじゅうの発展形・・・と言えなくもない(京都は白味噌が多い)。

 

あの千利休も茶会で出す麩の焼きに味噌だれを使っている。

 

京都ー沼田の点と線。粋と野暮の点と線。

 

個人的には沼田は「天空の城下町」なので、「天空の蜜会」と表現したくもなる。

 

●あんヒストリー

創業は何と文政8年(1825年)とか。現在7代目。群馬の中でも指折りの老舗。焼き場には店主の娘さん(?)が手慣れた手つきで注文を受けてから焼き始める。継ぎ足しの甘味噌だれにくぐらせる。おもしろいのは群馬の地域によって焼きまんじゅう(前橋、太田、伊勢崎など)と表記したり「味噌まんじゅう」(主に北部)と表記したり。沼田は「味噌まんじゅう」。「元祖」が付くのも店で味わうと実感できる。

 

【セカンドは?】

定番の味噌まんじゅう(一串4個 あんなし)。

形は楕円で、あん入りよりも少し小さい

 

だが、酒種でじっくりと発酵させたふかふか生地と甘味噌だれのコラボが絶妙というほかはない。小麦粉の風味。素朴でシンプルな味わい。

 

《小豆のつぶやき》

▼今回は食べれなかったが品書きに「京まんじゅう」(1個売り 120円)もある。▼京都から伝わったという酒饅頭で、これを食べ忘れたのが悔やまれる。▼だが、あん入り(1串3個)はこれに甘味噌だれを付けて焼いたものなので、その上質な美味さは想像できる。▼「天空の城下町」沼田がただの城下町ではないことがわかる。

 

「東見屋」

所在地 群馬・沼田市下之町875-7

 

              

                






 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猛暑の甘雨😎創作生菓子「清流」

 

今回のあんこ旅は北関東の隠れた和菓子エリア、群馬・沼田市です。

 

北にみなかみ、北東には尾瀬沼が控え、かつては歴史の舞台にもなった小さな城下町。

 

私のあんこセンサーが「絶対に行くべきだよ」と指し示した場所。

ここで出会ったのが「御菓子司 かねもと」

 

中心街の路地裏を歩いていてたまたま出会った店で、老舗だが、モダンな店構え

こういう出会いはとくにうれしい。

 

明るくて清潔な店内には季節の上生菓子や洋菓子もきれいに並べられていた。

中でも、これはこれは、と私の視線を釘付けにしたのが、鹿の子をアレンジした創作生菓子、その名も「清流」(せいりゅう)でした。

 

猛暑が一瞬だけどこかへと消えてしまいそうな、凝った涼やかな小世界。きらり感。

 

お・い・で。

 

まずは目が泳いだ。

 

甘雨の清流?

 

★今回ゲットしたキラ星

清流 280円×2個

小倉かのこ 180円

京かのこ 180円

 ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

ベースは大納言小豆、アートフルな和の宝石箱?

 

利根川上流、片品川など清らかな川に囲まれるような沼田盆地。戦国時代から上杉・真田など有力武将たちの奪い合いの舞台となり、天空の城下町と呼ばれることもある。

 

地味だが、美しい町でもある。

 

さて、この「清流」は楕円形のアルミカップに盆栽のように盛られている。

蜜煮した大納言小豆がたっぷり、それにうぐいす豆、栗、求肥餅などのレイアウトがクールだと思う。

 

青もみじ(練り切り)までさり気なく配置されていて、初夏の渓流をイメージしているようだ。

その下には大地を思わせるこしあんと葛(くず)の層がひそんでいる。

 

凝り具合にちょっと驚かされる。

 

サイズは70ミリ×65ミリほど。全体の重さは105グラム(カップ含む)。

 

●味わいは?

冷蔵庫で冷たくしてからいただく。

 

影のメーンはやはり大納言小豆(北海道産)で、しっかりと粒々感がある。

ほどよい甘さ。

 

寒天の薄い膜がちょっとしたアクセントになっていて、噛むたびに大納言のいい風味が広がる。

 

そこにうぐいす豆の独特の風味が加わると、甘納豆好きにはたまらない。

栗のほっこり、求肥餅の柔らかさ、目と舌が同時にくすぐられる。

 

ほのかに塩気も感じる。

 

個人的にはその下に横たわる地層(こしあんと葛)が気に入った。

しっとりとしたなめらかな食感が合わせ技で官能をくすぐってくるような感覚。

 

こしあんの存在が強めなのも好み。

 

沼田の和菓子文化の実力の一端を垣間見る思い。

 

★あんヒストリー

「かねもと」の創業は大正13年(1924年)。現在4代目(3代目もご健在)。女優の故・夏目雅子(今もファンが多い)と縁戚関係だそうで、ひょっとしてあの美貌は水源に囲まれた沼田の地と関連があるかもしれない。創作生菓子「清流」は3代目の作品とか。3代目女将さんによると、「まだ赤ちゃんですが、5代目もいるんですよ(笑)」。餡ハッピーな話。

 

【サイドは?】

大納言かのこ:サイズは40ミリほどの球形で、艶やかな大納言小豆が寒天の透明な膜に包まれていて、中のこしあんは甘さ控えめでしっとりと舌にささやくよう。フツーに美味しいかのこ。塩気がかすかにある。

京かのこ:手亡豆のかのこで、京都の気品を感じる。しっかりとした粒々感と中の白あんが福々と広がる。甘さは控えめ。

《小豆のつぶやき》

▼じっくりと沼田を歩いたのは今回が初めてだが、おだやかで情緒のある街並みに強く惹かれた▼盆地の城下町ということもあるのか、あるいはたまたまなのか、出会った人はどこかたおやかで、これほどの文化的なテロワール(土壌)があるのに、知名度が低いと思う▼いい和菓子屋さんも多い▼尾瀬沼の入り口、というイメージが強いが、北関東の隠れたあんこシティ、と言いたくなってしまった。

 

「御菓子司 かねもと」

所在地 群馬・沼田市坊新田町1233

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超絶あんこ😎8代目の「あんドーナツ」

 

あんこ旅の醍醐味の一つは、全国的にはあまり知られていない隠れた名店を探すこと。

 

今回ご紹介したいのは、川越や佐原と並んで、小江戸とも蔵の街とも呼ばれる栃木市で出会ったあんドーナツである。

巴波川(うずまがわ)沿いを何軒か訪ねてから、期待半分ほどで古くから地元客に愛されているという和菓子屋さんへと足を運んだ。

 

中心部からは少し離れている。

 

創業が明治9年(1877年)。驚きの歴史。

 

あまりに質素で、あまりにシンプルな、昭和の香りが色濃く残る店構え。

余分なものがない。

 

ガラス戸に水ようかんや麩まんじゅうなど生菓子類の品書きがレトロに張られているだけ。赤い郵便ポストが沁みる。

 

「御菓子司 金桝屋(かねますや)」の看板もどこかセピア色に見える。

 

私のあんこハートがときめくのがわかった。

 

★ゲットしたキラ星

 あんドーナツ 150円

 田舎まんじゅう 130円

 お米のまんじゅう 160円

 麩まんじゅう 190円

 水ようかん 220円

 栗まんじゅう 150円

 ※すべて税込み価格です

 

●あんヒストリー

創業が明治9年という栃木市でも指折りの古さ。「御菓子司」の小さな表記に矜持(きょうじ)を感じる。開放的な店内の奥から和菓子職人の活気が流れてくる。現在8代目。明治期から同じ製法で作っているという「かりんとう(黒糖)」が目玉の一つだが、饅頭類から生菓子まで木枠のケースに並べられたあんこ菓子の種類(ほとんどが賞味期限は本日中=朝生)に驚かされる。

 

【センターは?】

究極か、あんドーナツの生地とつぶ餡

 

手づくりの和菓子がキラ星のごとく並んでいる。私的にはワオな小世界。

どれもこれも全部食べたい。

 

胃袋の規制が憎い(笑)。

 

大いに迷うところだが、センターに置きたいのは昔ながらのあんドーナツである。

 

見た目 円盤状で、濃いきつね色、まぶされたグラニュー糖(てん菜)。

サイズは左右約65ミリ×厚さ約30ミリほど。重さは80グラム。

手づくりなので形が微妙に違う。そこがクールでもある。

 

手で割ったら、中は見事な小倉色のつぶあんがぎっしり。

見かけは素朴だが、渋抜きをしっかりしているようで、柔らかく炊かれた小豆の皮と呉(中身)がきれいな陰影をつくっている。

 

味わい まずは生地の美味さに驚く。素朴な歯触りと口の中でホロホロと崩れ落ちる瓦解感がこれまで食べたあんドーナツとはワンランク違った。

 

妙にふかふかしていなくて、小麦粉の美味さをストレートに感じる。

そのすぐ後に甘さを抑えたつぶあんの波がどっと押し寄せてきた。

 

ほんのりと塩気もある。

 

口の中で、舌の上で、混じり合いながら蕩けていく。

 

一発でやられてしまった。

小豆は北海道産、砂糖は主にグラニュー糖(種類によっては上白糖)を使用しているようだ。

 

油のこだわりも「一度も使っていない大豆白絞油」で毎朝揚げている。

 

なので、きれいな油感。

私にとっては衝撃的なあんドーナツ

 

店によると「昔から作っている」とか。

 

【サイドは?】

麩まんじゅう:季節限定の夏菓子で、みずみずしい笹に包まれた青海苔入りの麩餅と中のこしあん(自家製)の相性がとてもいい。

もっちりとつるん。なめらかなこしあん

 

ほんのりと塩気も感じる。

 

笹と海の香り。柔らかな冷たさ。レベルの高い生菓子があんドーナツや田舎まんじゅうなどの素朴系あんこ菓子と別枠で並んでいる光景は、くすぐられる。

この店の昔からのポリシーを感じる。

 

敷居の低さと志の高さ。

 

水ようかんカップ入り。冷蔵庫で冷やしてから食べる。こしあんと寒天の配合がお見事で、なめらかなあんこの粒子がそよ風になってとろけるようにフェードアウトしていく、そんな感じかな。

淡いこしあん感が気持ちいい。

 

こちらもほんのりと塩気を感じる。

 

田舎まんじゅう:このエリア独自の「お米のまんじゅう」(中はつぶあん)も気に入ったが、私はむしろ「田舎まんじゅう」に惹かれた。

三温糖を使った昔ながらの小麦まんじゅうだが、中のつぶあんの量と美味さがやはりハンパではない。

手に少しくっつくようなしっとりフワフワの薄皮。

 

赤紫色の雑味のないつぶあんが噛むたびにほとんど爆発的に広がる。

う・め・え。

 

食べながら何度もその3文字が心の中で漏れる。

 

予想外の場所(失礼)で、こういう名店と出会えたこと。

 

エアコンの効いた自宅に帰ってから、ゆっくりと味わえること。

 

猛暑も酷暑もあんこの神様にはやっぱりかなわない(笑)。

 

《小豆のつぶやき》

▼店主(8代目)は作業中でお話は聞けなかったが、遠目から筋金入りの和菓子職人と感知できた▼余分な飾りがない、シンプルな店内だが、隅々まで清潔な空気が流れているよう▼ディープなファンが多く、特にかりんとうやあんドーナツなどは売り切れが早いようだ▼晩秋には栗蒸し羊羹も期間限定で売り出す予定▼今回は早すぎて届かなかったが、次回は再チャレンジしたい。

 

「金桝屋(かねますや)」

所在地 栃木県栃木市薗部町3-2-19