週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

「とらや小形羊羹×スコッチ」試してみた

 

あ~やだ、オミクロンの大寒入り。今年は寅年ということをすっかり忘れていた。

 

なので、「ガオー」と虎のひと吠え、気持ちだけでも元気を出したい。

 

ちょっと出費がかさんでしまったが、寅年にちなんで、今回はスペシャルバージョンで行こうと思う。

 

虎屋の小形羊羹(5種セット)を買い、あのシングルモルトウイスキーロールスロイスとも言われる、スコッチ「マッカランをゲットし、寅年のスタートにこの究極の(?)マッチングを試してみたくなった。

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タネを明かすと、好きな作家のひとり、開高健(1930~1989)の不思議な楽しみ方を思い出したからだ。

 

師匠はこの組み合わせに独特のこだわりを持っていて、それはウイスキーは「マッカラン」、小形羊羹は「夜の梅」でなければならない、というもの。

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1年ちょい前の晩秋、とらや赤坂店地下で開催された「YOKAN展」の片隅でもそのことが紹介されていて、私もいつか試してみたいなあ、と思っていた。

 

フツーに考えたら、そんなのあり?と突っ込みたくなる。

 

和菓子とお酒のマッチングは「週刊あんこ」でもいくつか試しているが、組み合わせによっては舌の上に小さな天国が出現する(例えば浅草・徳太楼のきんつば×純米吟醸酒など=個人的な好みです)。

 

さて、今回はどうか?

 

相手はスコッチの頂上の一つ。喰うか喰われるか、それとも溶け合うか?

 

・今回の購入

マッカランエスト(700ミリリットル) 約6000円(税別)

②とらや小形羊羹 5種 1500円(税別)

 夜の梅(小倉羊羹)

 新緑(抹茶入り羊羹)

 はちみつ(蜂蜜入り羊羹)

 紅茶(紅茶入り羊羹)

 おもかげ(黒砂糖入り羊羹)

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【今週のセンター】

マッカラン×夜の梅」予想外の寝技勝負だった

 

開高健「必ずこの組み合わせでなければならない」と言ったことをいったん忘れて、賞味してみた。

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マッカランのキャップが驚くほど固くて、格闘約10分、ペンチを使ってようやく開ける。恐るべきガードの固さ。そう易々と辿り着かせないぜ、とテストされている気分になった。

 

私はワインや日本酒は大好きだが、正直に言うと、ウイスキーも大好きだ(笑)。

 

栓を抜いたとたん、百本のバラがいきなりこちらに向かって飛び出してきたような錯覚に陥った(オーバーではありませんぞ)。

 

しばし強烈な香りに圧倒されながら、まずはひと口。吹き上げるような刺激。とろりとしたコクの中に甘みさえ感じる。

 

脳が陶酔の予感に襲われる。これはちょっとすごい。アルコール度数は40度。

 

マッカランは古いシェリー樽を使って熟成しているせいか、ベースに残るシェリー酒の遠い薫りまで感じるが、素人なのでうまく表現できない。

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氷をひとかけら入れてオンザロックにしてから、主役の「夜の梅」をかじってみた。

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やや固めの「夜の梅」がやさしく感じる。

 

穏やかな小豆の甘さがマッカランの強烈な広がりに包み込まれていく。

 

なるほど開高健がこだわったのがほんの少しわかった気がした(ホンマかいな)。

 

マッカランを邪魔しないどころか、受け入れて、おだやかに包み込まれてる。

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日本の和がスコットランドの大きな渦に押し包まれている・・・。

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相撲で言うと、照ノ富士と遠藤のがっぷり四つのよう(スベったかな?)。

 

「夜の梅」の梅の部分(小豆)が以前よりも少なく感じた(ちょっと残念?)。

 

それでも確かに1+1=3以上の蕩け方だった。

 

お金はかかったが、これは意外な発見だった。オーパ!」な組み合わせだという他ないかな。

 

【他の4種類とのマッチングは?】

 

以下気に入った順に寸評してみた。

・はちみつ 白小豆、手亡、福白金時の白羊羹に蜂蜜を混ぜているので、ほのかな蜂蜜の風味が強烈なマッカランうまい具合に関係を結んでいるよう。個人的な印象では「夜の梅」に次ぐ相性の良さ。

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・おもかげ 黒砂糖入り羊羹なので、黒糖の風味がマッカランに小さく抵抗しているよう。そこが好みの別れるところかな。

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・紅茶 紅茶は英語でブラックティー。なので、色はほとんど黒。悪くはないが、個人的には紅茶のかすかな風味がマッカランの陶酔を少し邪魔しているように感じた(あくまで個人的な感想です)。

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・新緑 抹茶入り羊羹なので、抹茶の風味が単品で味わうよりもマッカランの遠心力と少しズレがある気がする。これも好みの問題だが、私はイマイチ乗れなかった。1+1=2のままそこで戸惑っている感じかな。

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とはいえ、マッカランと虎屋の異種格闘技戦は十二分に楽しめた。

 

「とらや赤坂店」

所在地 東京・港区赤坂4-9-22

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

座布団3枚!荻窪の別格「酒まんじゅう」

 

酒饅頭(さかまんじゅう)は皮とあんこのバランスが難しいと思う。

 

1+1が3になる酒饅頭と出会えることはそう多くはない。

 

私にとって、東京・荻窪「高橋の酒まんじゅう」(店名です)はその筆頭格の酒饅頭である。

 

平べったい形で、艶やかな表面から、店主のきれいな熟練の手の匂いのする、何とも言いようのない、心に刺さる外見。

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酒種のいい香りが半径60センチほどを花畑にするような(表現がヘンかな)。

 

よく見ると、一個一個微妙に形が違う。

 

オーガニックコットンのような皺(しわ)。しっとりともっちりの予感がなだらかな起伏となり、思わず手で触りたくなる(ン? スベってたらごめんなさい)。

 

艶の奥にうっすらとあんこが見える。見え方がたまらない。

 

手で二つに割ると、きれいな藤紫色のこしあんが現れ、ひと口ふた口いくと、これがめっちゃ美味い。

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口の中にふわりと広がる吟醸香とあんこの幸福感

 

淡い甘さと舌触りの質が他の酒饅頭とは明らかに違う(個人的な感想です)。

 

ピュアなまったり感。塩気は感じない。

 

酒饅頭の貴種、と言いたくなる。

 

小豆は北海道産です。砂糖はグラニュー糖。添加物を使っていないので、この季節は賞味期限は3日間です」

 

メガネをかけたマスク姿の女性スタッフがテキパキと教えてくれた。

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と思いきや、「三代目」だった。汗。

 

7~8年前に来た時は店主はイケメン中年男性で、確か「二代目です」と話してくれた。ルーツは姫路とおっしゃっていたと思う。

 

それを言うと、「あっ、兄ですよ。今は私が後を継いでます」。

 

7個入り1パック(税込み 840円)。

 

この店がすごいのは製造販売しているのは「酒まんじゅう」一種類のみ

 

浮気もせずに(?)、初代から続く昔ながらの製法(酒種を練り込んだ生地を3日間寝かせる⇒手包みなど)を守っていること。

 

秘伝なので、詳しい作り方は想像するしかない(当たり前だが)。

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きっかり正午で「本日終了」の木札がぶら下がるので、前日に予約して、午前中に大急ぎで店まで行かなければならない。

 

友人でもある酒蔵五代目(酒饅頭を研究している)への手土産としてもう1パック予約しておいてよかった(後で感謝された)。

 

なので、今回は選択の余地がない。

 

【本日のセンター】

35グラムの凝縮、なめらかな薄皮とこしあん

 

JR中央線荻窪駅北口から5分ほど歩くと、茶色いっぽいレンガの建物が見え、「高橋の酒まんじゅう」のシンプルな看板が視界に入ってくる。

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以前のまま。

 

和菓子屋という感じがしない。酒饅頭の小さな工房、といった感じ。

 

少し話を伺った後、夜遅く自宅に戻った。

 

昔ながらの蒸し籠でふかしているので、パックを開けると、どこか懐かしい、純朴な、それでいて洗練を感じさせる独特のオーラで「よ・う・こ・そ」とつぶやかれた気がした。空耳?

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手づくりなので、形も大きさも微妙に違う。

 

平均すると、65ミリ×50ミリ×厚さ22ミリほど。重さは約35~36グラム。

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すでに冷たくなっていたが、冒頭に書いたように、吟醸香が広がるなめらかな皮と甘さを抑えたピュアなこしあん絶妙なタッグで口の粘膜をくすぐり、混じり合い、いい余韻とともにどこかへと消えていく。そんな感じ。

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このどこかへと連れて行く感覚がたまらない。一体どこへ?

 

無濾過生原酒をチビチビ飲みながら、2個3個と食べ進み、あっという間に4個胃袋へと落ちていった。

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このある種の「親子マッチング」はあり、だと思う。

 

・2日後の味わいは?

3日間が賞味期限なので、2日後、レンジで10秒(600W)チンしてから賞味してみた。

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味がほとんど落ちていなかった。

 

ほんわかと温かくなっていて、むしろ蒸かし立てに近い感覚。

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酒種とこしあん香りが増した感じさえある。

 

知人の元女子アナは茶会の席でこの「高橋の酒まんじゅう」をよく使う、と話していたが、抹茶にもよく合うし、コーヒーとのマッチングも合うと思う。

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残り1個。食い意地が張っているので、ついつい惜しむように見つめる。

 

すると、なぜか湯上り美女(?)がぼんやりと見えてきた・・・そんな気にさせてくれる酒饅頭はあまりない。

 

「高橋の酒まんじゅう」

所在地 東京・杉並区天沼3-1-9

最寄り駅 JR中央線(あるいは東京メトロ荻窪駅北口歩約5分

 

 

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初春のあんこ力「栗蒸しと豆大福」

 

編集長「ふふふ『週刊あんこ』令和4年のスタートにふさわしいものを用意したよ(笑)」

 

あん子「バレバレですよ。三ノ輪の花月堂本店』の豆大福でしょ? 群林堂、瑞穂、松島屋の東京三大豆大福に負けない、凄い大福だって言ってたでしょ?」

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編集長「あんこの地下王国、日本橋高島屋の『銘菓百選』にもたまに置いてあるけど、やっぱり店まで行かないとダメだね。大福が豆大福を筆頭に4種類、つぶしあんとこしあんがとにかく素晴らしい。『朝生なので、必ず本日中に召し上がってくださいね』と念を押される。初代が京都の流れを汲む、いい店だよ」

 

あん子「センターは決まりですね。つぶしですか、こしですか?」

 

編集長「待ちなさい、お若いの(笑)。ここで期間限定の凄いものを見つけてしまった」

 

あん子「じれったいです。北朝鮮のミサイルが飛んできますよ(笑)」

 

編集長「こわ~。栗蒸し羊羹だよ。竹皮に包まれて、残りが二つだけ。オーラを放ってたんだ。予算オーバーだったけど、一期一会かもしれない、と思い切ってゲットしたよ」

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あん子「わかりました。栗ということで新春スタートにふさわしいかも、ということにしときましょう(笑)」

 

・試食したキラ星たち

 栗蒸し羊羹 ひと包み 1404円(税込み)

 豆大福(つぶしあん) 216円(同)

 豆大福(こしあん)  216円(同)

 よもぎ大福(こしあん)216円(同)

 黒豆大福(つぶしあん)216円(同)

 

【本日のセンター】

こだわり方がクール、栗蒸し羊羹の傑作

三ノ輪「花月堂本店」の風情のある店構えがいい。かしわ手を打ちたくなる。

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創業は明治4年(1872年)。現在7代目が仕切っている。

 

京都の公家の出の和菓子職人明治維新とともに東京に出て、神保町に店を構えたのが最初のようだ。

 

三ノ輪に移転したのは明治44年(1911年)。

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現在も作り続けている最中が目玉だったが、いつしか「豆大福の美味い店」として、固定ファンが付いている。

 

京都の流れを汲むことからわかるように、生菓子は朝生(あさなま=朝作ってその日のうちに食べる)が一番美味しいというポリシーが息づいている。

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なので、「栗蒸し羊羹」もどこか京都の匂いがして、素材選びから製法までこだわり方がひと味違う、と思えてくる。

 

竹皮の包みを解くと、長方形(ほとんど四角)に切った栗蒸し羊羹本体が現れた。

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素朴で質の高そうな濃い小倉色に一瞬、目が吸い取られる。拝みたくなる。

 

包丁で切ると、蜜煮した栗がぼこぼこ入っている。

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ありそうでなかなかお目にかかれない代物、だと思う。

 

大きさは95ミリ×75ミリ×厚さ35ミリほど。重さは約287グラム(竹皮を入れて)。

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十勝産小豆の自家製こしあんと小麦粉の混じり方が絶妙で、こしあんのいい風味が豊かに口の中に広がる感覚。砂糖は白ザラメを使っているようだ。

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甘さがほどよく抑えられ、口どけの良さがとてもいい。

 

本場の吉野葛も加えているので、柔らかな食感に気品がある。

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蜜煮した栗(国産)のほっこり感とのマッチングも申し分ない。

 

職人の手触りを感じる、トップクラスの栗蒸し羊羹と出会った気分。こいつは春から縁起がいいや。

 

【サイドはこしあんの豆大福】

大福は4種類ともあんこのボリュームと風味が素晴らしい。

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定番の豆大福(つぶしあん)は東京三大豆大福と比較してもそん色がないと思う。

 

サイズは約70ミリ×60ミリ×厚みは36ミリほど。約110グラムとデカめ。

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たっぷりの餅粉。羽二重のような餅の柔らかさ。

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赤えんどう豆のふっくらした歯ごたえ。塩気。

 

あえて言うと、4種類の中で個人的に最も気に入ったのはこしあんの豆大福

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こしあんふくよかなしっとり感が尋常ではない。

 

甘さが抑えられ、雑味がない。

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粒子を感じるこしあんで、ほんのりと塩気もにじんでいる。

 

私の大好きな原宿「瑞穂(みづほ)」と比較しても十二分に美味しい。

 

よもぎ餅も黒豆(丹波産)も上質な美味さで、正午少しすぎに訪問したのに、売り切れ寸前だった。今回はぎりぎり間に合ったことになる。

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メディアの取り上げ方が東京三大豆大福のやや影に隠れているが、「三ノ輪根岸の花月堂本店」の存在は東京の和菓子屋のキラ星の中で、間違いなくいぶし銀の光を放っていると思う。

 

初空や根岸の里の豆大福

 

三ノ輪「花月堂本店」

所在地 東京・台東区根岸5-16-12

最寄り駅 東京メトロ日比谷線三ノ輪駅から歩約5分

 

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締めはうさぎや、どら焼きときんつば

 

編集長「デルタ株で明け、オミクロンで終わりそうな令和3年になったけど、週刊あんこ的にはあんこに明け、あんこに暮れた年になった」

 

あん子「いつものことでしょ? こんな時代にあんこ三昧なんて甘すぎます(笑)」

 

編集長「でも和菓子屋さんの状況を考えると、落ち着いてはいられない。ささやかだけれど、あんこの素晴らしい世界を地味に発信し続けるしかない。年内の発信は今日でお終い。なので、締めは『阿佐ヶ谷うさぎやにしたよ」

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あん子「別格のどら焼きね。うさぎや上野、日本橋、それに阿佐ヶ谷。みんなルーツは黒門町(上野)でしたね。確か初代の息子さんと娘さんが暖簾分けしてるのよね」

 

編集長「おっ、よく知ってるね。それぞれ独立していて、作り方も味わいも少しずつ違うんだ」

 

あん子「編集長の好みは確か日本橋、上野、阿佐ヶ谷の順だったですよね」

 

編集長「でも、今回、久しぶりに阿佐ヶ谷に行って、ちょっと見方が変わったよ。こだわりの強い上生菓子も作っていて、しかも対面販売にこだわってる。いい仕事、してるなあってね」

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あん子「どういう意味ですか?」

 

編集長職人さんのレベルがとっても高いと思う。目玉のどら焼きも日本橋や上野に比べてちょっぴり小ぶりだけど、きっちり作っていて、以前は感じなかった感動を覚えちゃった」

 

あん子「その他にもいろいろあるんでしょ? 早く食レポお願いいたしまーす」

 

・今回ゲットした」キラ星

 どら焼き5個(箱入り)1300円(税込み)

 きんつば 1個216円(税込み)

 栗むし羊かん 1個313円(税込み)

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【本日のセンター】

完成度にうるうる、どら皮とつぶあんの恋愛

 

うさぎやの創業は大正2年(1913年)。上野黒門町に初代谷口喜作が暖簾を下げたことから始まっている。うさぎや」の屋号は初代喜作が卯年に誕生したことからのようだ。

 

その長男(二代目)が跡を継ぎ、さらに三男が暖簾分けして日本橋うさぎやを開業。阿佐ヶ谷は娘さんが暖簾分け。黒門町の和菓子職人を招いて西荻窪⇒阿佐ヶ谷と繋いでいったようだ。

 

なので、阿佐ヶ谷うさぎやの歴史は一番新しい(昭和32年)。

 

だが、その分、江戸・京都の上菓子屋につながるような、こだわりの強い店づくりしたとも言えるのではないか。

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どら焼きはもちろんのこと、上生菓子や季節の和菓子をこじんまりと対面販売で作っている。

 

常連客が絶えることなく、いつも賑わっているのが素晴らしい。

 

まずはどら焼きから賞味してみた。

 

箱から取り出し、包みを取ると、いい香りとともに見事なきつね色(淡い)が現れる。

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縁が貝のようにぴったりと閉じられ、ふっくらしたどら皮。

 

大きさは直径約93ミリ、真ん中の厚みは約33ミリ。重さは113グラムほど。

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どら皮には小麦粉や卵、ハチミツなどの他に味醂(みりん)も隠し味にしていて、これは上野や日本橋にはない作り方。

 

しっとりしていて、しかももっちり感もある。

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中のあんこはふっくらと炊かれた大粒のつぶあんがたっぷり

 

甘さは控えめ。いい小豆の風味が口中に広がる感覚は得難いレベル。

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塩気がほんのり。

 

それらが口の中で絡み合い、溶けていく。

 

あんこ職人の腕とどら皮職人のレベルはかなりのもの、と思う。

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素晴らしきどら焼き。

 

以前よりも阿佐ヶ谷うさぎやに一目置きたくなった。

 

【サブはきんつば

きんつばの本流、江戸の鍔型のきんつば

 

これはちょっと驚いた。

 

幕末から続く日本橋榮太樓の名代金鍔(なだいきんつば)とほとんど同じ、江戸前のきんつばの形。

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手焼きの焼き色がどこか凸凹していて、一目で「こりゃあ、うめえだろうな」と思った。

 

日本橋榮太樓よりも色が淡い。

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中のあんこは潰しあんで、サラッとした食感。

 

塩気が強め。

 

寒天の気配はないが、ひょっとして葛粉を加えているかもしれない。

 

口どけの良さに粋を感じた。

 

【おまけは栗むし羊かん】

これも上質の栗蒸しで、濃い藤紫色の蒸し羊羹に蜜煮した栗が砕かれた状態で閉じ込められている。

 

表面に寒天の膜。

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上質のこしあんと小麦粉(葛粉も?)がいい具合で溶け合い、そこに栗がきれいな歯ごたえで、「どうでありんすか?」と迫ってくる感じ。

 

塩気が強めなのは江戸⇒東京の流れを感じさせる。

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大きさは左右50ミリ×40ミリ×厚さ35ミリほど。

 

全体的に東京の粋を感じさせる、うさぎや3系統の異端とも言えそうだ。

 

令和3年の終わりに、またしてもあんこの神様に感謝。

 

今年一年、コロナ禍の中、読んでくださった皆々さまにも改めて感謝いたします。

 

「阿佐ヶ谷うさぎや

所在地 東京・杉並区阿佐ヶ谷1-3-7

最寄り駅 JR中央線阿佐ヶ谷駅から歩約3分

 

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青柳正家の「うば玉」と菊最中

 

こしあんのしずくが凝縮すると、こうなるかも?

 

いやいや、こしあんの宝石・・・表現が追いつかない(トホホ)。

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天と地を結ぶ東京スカイツリー周辺をあんこ行脚していたら、「珠玉のあんこ玉」に出会ってしまった、という感じ。

 

浅草・向島の老舗和菓子屋さん「菓匠 青柳正家(あおやぎせいけ)」の暖簾をくぐったときのこと。

 

ここの目玉でもある「栗羊羹」をゲットしようと訪問したつもりが、上生菓子や豆大福などが並ぶ中に、きらりと光るあんこ玉を見つけた。

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「うば玉」と表記してあった。

 

京都の超老舗「亀屋良長」(かめやよしなが)の「烏羽玉(うばたま)」や仙太郎の「老玉(うばたま)」と見た目はほとんど同じ。

 

ひらがな表記にしただけかな、と思ったが、よく見ると黒糖の気配がない。

 

しかも一回りほど大きい。

 

あんこ玉好きとしては、これは見逃せない。

 

浅草・向島まさかの出会いとなった。

 

「青柳正家」の創業は思ったよりも古くはない。

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「正家」を名乗るきっかけは昭和24年(1949年)、第一回全国銘菓奉献結成式典でのこと。明治~昭和にかけて活躍した貴族院議員・一条実孝公爵がこの向島「青柳」の初代が作った和菓子を大変気に入り、「青柳正家」と命名したことからスタートしたようだ。

 

宮家につながるお方が「正家」とお墨付きを与えたことになる。

 

えらいこっちゃ。

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グレーが印象的なモダンで荘厳な店構え。スカイツリーの喧騒もここまでは届かない。

 

現在3代目。店に漂う雰囲気から凄腕の和菓子職人の一人と見た。

 

・今回ゲットしたキラ星

 うば玉 1個(税込み216円)

 菊最中 3個(税込み972円)

 栗羊羹(半棹) 税込み2160円

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【本日のセンター】

賞味期限が本日中「うば玉」vs驚きの菊最中

 

向島には長命寺桜餅」や「言問だんご」「志”満ん草餅」など私の好きな和菓子屋さんが暖簾を下げているが、この「青柳正家」は少々趣が異なる。

 

庶民的というより、むしろ敷居が高そうな店構えと品揃えで、「宮家献上」という文字もどこか別世界の雰囲気がする(勝手な思い込みかもしれない)。

 

実際、一品一品がそう安くはない。

 

だが、自宅に戻ってから賞味したら、こだわり方や技術の高さが舌の奥まで入ってきてくすぐられる・・・そんな感じかな。

 

まず感心したのは「うば玉」

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こしあんがとにかく素晴らしい。

 

賞味期限が「本日中」というのも上生菓子ゆえか。

 

食べるとわかるが、藤紫色のきれいな、雑味のないこしあんで、表面を覆う薄い寒天の膜とケシの実だけのシンプルな構成だが、どこか「塩瀬総本家」の本饅頭を思わせる。

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絶妙なこしあんだと思う。

 

しっとりとした上品なあんこで、色・風味・味わい・余韻・・・が球体となってそこに正座している。そんな感覚は希少だと思う。

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北海道産厳選小豆を使い、砂糖は「企業秘密です」(女将さん)と教えてくれなかった(残念😢)。つまり「門外不出」ということになる。

 

淡白な甘さとかすかな塩気が気品すら感じさせる。

 

さらに驚いたのは「菊最中」

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見た目もあんこもこちらの方がむしろインパクトが強い。

 

菊の形の皮に挟まれたあんこは、こちらも見事な濃い藤色で、しかもだんご状に重なっている。おおお、と声が出かかる。

 

横からの写真を見ていただきたい。

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小ぶりだが、こんなユニークな形の最中は見たことがない。

 

青柳正家のオリジナル。

 

賞味期限は約3日間と短い。

 

水飴と寒天も加えているようで、それが上質なこしあんに独特のねっとり感を与えている。

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二つに割って食べる。「うば玉」より甘さはあるが、甘すぎない

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藤色の濃い深味がどこか儚げ(はかなげ)で、光を当てると透明感すらある。

 

皮は固めだが、時間が経つと少ししっとりしてくる。

 

パリパリ好きには少し物足りないかもしれないが、上品で淡白な味わいが潔い。

 

 

【サブは栗羊羹】

大栗と藤色の煉り羊羹のコラボ

 

宮家献上の文字がプライドを感じさせる。半棹(ハーフ)で2160円(税込み)はそう安くはない。

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だが、包みを取り、銀紙を切り分けると、藤色の濃い煉りと大粒の蜜煮した栗に圧倒されそうになる。

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光を吸い取るように、内側から外側へと、透明度が増してくる感じ。

 

そこにボコボコと大きなお月様が浮かんでいる。

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あん子藤色の夜とお月様、・・・優雅ですねえ」

 

編集長「食感はむしろあっさりしていて、歯にくっつかない。上品な栗羊羹と言えるね」

 

煉り羊羹の賞味期限は約2か月が一般的だが、これは「1か月」とやや短い。

 

編集長「つまり砂糖の量を抑えて、淡く凝縮したような煉りに仕上げている、ということではないかな?」

 

あん子「蜜煮した大栗のほっこりした美味さとのコラボ感がいい感じですね」

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個人的な印象では虎屋より歯切れがいいので、濃厚こってり系好きには少し物足りないかもしれない。

 

それは単に好みの問題だが、この店のルーツが東京なのか、京都なのか、あるいは大阪なのか、時間があったら掘り下げたくなった。

 

菊最中も栗羊羹も初代からのもののようだ。

 

訪ねたとき向島の料亭の手土産としても重宝されている、と女将さんは話してくれたが、昔昔、景気のいいころ、私が仕事で使った料亭では長命寺の桜餅」「徳太楼のきんつば」が多かった。

 

コスパの問題かな? それにしても花街でもある向島奥座敷は奥が深い。

 

「菓匠 青柳正家」

所在地 東京・墨田区向島2-15-9

最寄り駅 東京スカイツリー駅から歩いて約15分

 

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驚きの小倉ホットケーキと栗まん

 

意外かもしれないが、中央線沿線にはいい和菓子屋が多い。

 

かつて三鷹に住んでいたので、私的にはなつかしい「スイートあんこライン」(笑)。

 

今回ご紹介するのは阿佐ヶ谷の和菓子処&喫茶室「とらや椿山」

 

ここで食べたあんこの雪崩れ(と表現したくなる)「小倉ホットケーキ」に度肝を抜かれ、「大栗まんじゅう」(つい手土産にしてしまった)のデカさにタメ息が出てしまった。

 

創業が大正14年(1925年)。現在3代目。

 

京都にルーツを持つ御所御用だった「赤坂とらや」とはおそらく別系統の虎屋で、江戸⇒東京の和菓子屋の系譜の一つだと思う。関東には別系統の「虎屋」や「とらや」がいくつかある(ひょっとして伊勢屋などと同じようにある種の人気の屋号だったかもしれない)。

 

まずはあんこ好きにはたまらない、和菓子屋の小倉ホットケーキをちらりとご覧いただきたい。

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ではではゆるりと行ってみよう。

 

・本日のラインアップ

 〈店内〉小倉ホットケーキ 単品800円(税込み)

 〈持ち帰り〉大栗まんじゅう 1個400円(税込み)

 

【センターは?】

まるであんこの温泉「小倉ホットケーキ」

 

コロナ下、甘味処を備えている和菓子屋さんは少なくなっている。

 

阿佐ヶ谷南口アーケード商店街(パールセンター商店街)中ほどにある「和菓子処 とらや椿山」はその希少な一つ。

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老舗の立派な店構えに見入ってからふと見ると、昭和なメニューケースに「小倉ホットケーキ」の文字と写真が見えた。

 

3~4年ほど前、吉祥寺サンロードをブラ歩き中に「甘味処 吉祥庵」で食べた小倉ホットケーキを思い出した(驚きのあんこの海だった)。そこも吉祥寺虎屋だった。

 

ひょっとしてここも同じ系列かな?

 

どら焼きや栗饅頭、豆大福、上生菓子などが並ぶ奥が喫茶室になっていて、お客が少ない(時間帯のせいか)。

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たまたまややご高齢の3代目が忙しく働いていて、メニューを見てから、小倉ホットケーキにプラス紅茶(計1150円=税込み)で注文した。

 

吉祥寺虎屋との関係を聞くと、「あっ、あそこは昔、ウチで修業していた和菓子職人が開いた店です」とのこと。つまりルーツということになる。

 

注文してから奥の板場で作り始めるのがわかった。

 

なので待ち時間は約20分ほど。長いが、期待感がある。

 

2枚の焼き立てホットケーキにつぶあん(ゆるめ)が湯気を立てながらたっぷりかかっていた。

 

温暖化であんこの雪崩れ?

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というより、つぶあんの温かい海にホットケーキ島が浮かんでいる?

 

いやいや、これはつぶあんの温泉にホットケーキが入浴しているの図?

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小倉ホットケーキをメニューにする店は珍しくはないが、ここまであんこがドドドと前面に出て来るホットケーキは珍しい。

 

このゆるめのつぶあんは店主によると「北海道十勝産大納言小豆」で、上白糖でじっくりと炊いている。

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ホットケーキ自体は普通にホカホカで、特筆するものは感じないが、つぶあんは甘さがかなり抑えられていて、ほんのり塩気も漂い、確かに大納言小豆のいい風味が口の中に広がる。

 

小豆は皮まで柔らかい。

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ふかふかのホットケーキにあんこがじわじわと滲んでいく。

 

ほっくり感がとてもいい。

 

不思議なのは黒蜜やバターなど余分なものがないこと。

 

例えば吉祥寺「吉祥庵」で食べたものには生クリームが添えてあった。

 

個人的にはバターがあった方が好みだが、このシンプル、あんこのストレート勝負は多分、店主のポリシーなのだろう。

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発案したのは30年ほど前。「和菓子屋なので」フツーのホットケーキの他にメニューに加えたとか。どら焼きをアレンジしたそう。

 

つぶあんだけなので、愛想がないと言う人もいる。だが、別の見方をすると、シンプル・イズ・ベスト

 

個人的には生クリームや黒蜜やメイプルシロップは甘くなりすぎるきらいもある。

 

なので、ここは大納言小豆のボリュームと質に敬意を表して、座布団1枚を献上したい。

 

【サブは大栗まんじゅう】

フツーの栗饅頭の4~5個分はある? 巨大栗まんじゅう

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これは一目でびっくり。1個400円は安くはないが、大きさからみて納得できる。

 

自宅に帰ってから、翌日、賞味してみた。

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あん子「デカすぎて、何だかあんぱんみたいですね(笑)」

 

編集長「確かに。でも見た目は見事な栗饅頭だね。栗色のテカリ(卵の黄身?)とケシの実がいい絵柄になっていて、この店の名物だというのがわかるよ」

 

あん子「中はたっぷりの白あんですね。栗は丸ごと1個だけ」

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編集長「手亡のしっとりとした白あんで、甘さが控えめ。蜜煮した栗が1個だけど、全体が大きいので、ここは3個くらいは欲しい気がする」

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あん子「好みの問題ですね。それだと値段も上がっちゃうし、私はこのままで十分だと思います」

 

編集長「栗饅頭もここまで来ると、ほんとびっくりだよ。びっ栗まんじゅう(笑)」

 

あん子「お引き取りください・・・」

 

「和菓子処 とらや椿山」

所在地 東京・杉並区阿佐ヶ谷南1-33-5

最寄り駅 JR中央線阿佐ヶ谷駅から歩7~8分 

 

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「松島屋の豆大福」3兄弟食べる

 

なぜか縁のなかった「東京三大豆大福」の一角、泉岳寺「松島屋」へ。

 

何度か電話し、3回目にようやく繋がり予約が取れた。

 

三大豆大福の残りの2店(護国寺群林堂」、原宿「瑞穂」)も行列覚悟で行かないとゲットできない(特に群林堂)。

 

並んだ末に目の前で打ち切りの経験もある。

 

さて、今回は「松島屋」

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正午前、京急線泉岳寺駅で下車し、伊皿子坂(いさらござか)をエッチラオッチラのぼって行くと、右手に8~10人ほどの行列が見えた。

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ここが高級住宅街、高輪エリアとは思えない、どこか昭和の下町のような、そこだけセピアの小世界。

 

「餅菓子 だんご 松島屋」と染め抜かれた朱色のやや煤けた暖簾が、この地で100年以上続いている歴史を想像させる。

 

大福好きにとってはある種、極上の風情。

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餅とあんこのいい匂いが建物全体から立ち上がってくるよう。

 

編集長「フツーなら本日のセンターは豆大福だけど、この時期は草大福ときび大福も作っているんだ。大福3兄弟、揃い踏みってところかな」

 

あん子「ひねくれ者の編集長のことだから、センターは草かきびか・・・ズバリ草大福!」

 

編集長「惜しいなあ(笑)。共通しているのはあんこで、つぶしあんだけど、餅の違いが微妙にあんこの味わいに変化を付けている気がしたよ。当日と翌日(冷凍後)、2回に分けて食べてみたら、これが意外や・・・」

 

あん子「うーん、じれったい。早くしないと、舟が出ちゃいますよッ」

 

・今回ゲットしたキラ星

 豆大福(2個) 1個190円(税込み)

 草大福(2個) 同 190円

 きび大福(2個)同 190円

 

【本日のセンター】

豆大福vsきび大福、当日&翌日の味わいは?

 

「添加物を使っていないので、本日中に召し上がってください」

 

搗(つ)き立てが一番美味いとは思うが、数時間後にコロナ明けの飲み会が控えていたので、考えた末に、ゲットしたその足で、思い切ってオープンカフェに飛び込み、まずは看板の豆大福を食べることにした。残りは家に帰ってから冷凍保存して、翌日賞味することにした。

 

苦肉の策(笑)。

 

ほぼ出来立て、当日の豆大福(午後2時)。いわば長男でしょうね。餅粉がたっぷりかかり、素朴な見た目は群林堂の豆大福に近い

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餅はさすがに柔らかい。

 

赤えんどう豆はふっくらと固めで、群林堂ほど多くはないが、フツーのものよりも多い。

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中のつぶあんがかなりのボリュームで、赤紫色の、素朴なあんこ

 

甘さが抑えられていて、塩気が強い。

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赤えんどう豆のキリっとした美味さがとてもいい。

 

ただ個人的な好みを言えば、三大豆大福の中では原宿瑞穂が一番で、次に群林堂、今回の松島屋の順になる。

 

・翌日の豆大福ときび餅

冷凍しておいた豆大福を解凍して、レンジで温めてから賞味した。

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餅と赤えんどう豆は昨日よりも少し鮮度が落ちていたが、それでも十分に美味い。しっかりと搗かれた餅。

 

不思議なのは、あんこ。色も深みを増し、あくまで個人的な感想だが、一日置いた方が風味が増し、おいしく感じた。

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ふくよかでいい小豆(北海道産えりも小豆)の香りが口いっぱいに広がった。

 

甘みと塩気がほどよく熟成したような、「これは美味い!」と言葉が漏れたほど。

 

渋切りを抑えた、小豆自体の甘みがジワリと来るような感触。

 

最も気に入ったのは「きび大福」だった。いわば三男にあたる?(写真一番右)。

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やや癖のある、きびの香りが柔らかな餅の中で凝縮していて、中のつぶしあんがのびのびしているような(笑)。

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同じあんこのはずなのに、こちらの方がなぜか雑味を感じない、しっとりとしていてふくよかさがほんの数ミリ広がる感じがした。

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不思議な舌の時差感覚

 

豆餅ときび餅の違いが、たまたま私の好みに合ったのかもしれない。

 

【サイドは草大福】

草大福(写真中央)の美味さも秀逸で、よもぎの香りがひと足早い春を連れてきた感じ。これは次男かな。

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餅の中によもぎがそのまま混じっている光景がたまらない。

 

つぶしあんもボリューミーで、幾分塩気が強めに感じた。

 

大福が3種類(今の時期)というのは、「群林堂」や「瑞穂」にはない、多分和菓子屋「松島屋」の特徴だと思う。

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創業が大正7年(1918年)、初代は宮城・松島の出で、そこから「松島屋」の屋号を掲げた。

 

裏手が高松宮(旧東宮御所)だった関係で、若き日の昭和天皇もこの「松島屋」の大福を愛したようだ。

 

昭和天皇大の豆大福好きだったようで、「原宿瑞穂」のものも好みだった、という話も伝わっている。

 

皇族と餅菓子の縁は京都の「川端道喜(かわばたどうき)」にまでつながる。

 

あまりに素朴な松島屋の大福3兄弟を味わいながら、そんな時空を超えた甘い想像を楽しむ。

 

あんこの神様は意外と身近にいる、と思う。

 

「松島屋」

所在地 東京・港区高輪1-5-25

最寄り駅 泉岳寺駅から歩約5~6分

 

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