江戸時代中期から上質な「白味醂(しろみりん)」の産地として江戸・大坂・京都にまで名をはせた千葉・流山で、すごい和菓子屋さんに出会った。
タイムスリップしたような、木造の建物。
旧流山街道沿い、すぐ裏手(西側)には江戸川が流れ、この地がかつては水運の町としてにぎわった町だとわかる。
今は往年のにぎわいはない。
知る人ぞ知る「清水屋本店」。明治35年(1902年)創業。その屋号とセピア色の店構え、それに春風にはためく幟(のぼり)が、今もこの店が現役であることを知らせている。
「いい店、見っけ!」の気分。
少し気圧されたが、ピコピコハートのまま店内に入ると、驚きはさらに広がった。
年季の入った木枠のガラス棚に並べられた生菓子と半生菓子、それに焼き菓子類など。
古くからの菓子型がさり気なく置かれていて、どこか古都の老舗を思わせる、いぶし銀のオーラが見えた。
★ゲットしたキラ星
・さくら餅(季節限定) 200円
・旧街道(つぶあん) 189円
・陣屋もなか(大納言) 235円
・陣屋もなか(栗入り) 235円
※すべて税込みです。
【センターは?】
二つの焼き菓子:旧街道&赤城山
季節限定のさくら餅のなめらかなこしあんと塩漬け桜葉、手焼きの薄い皮にもあんこころが持っていかれたが、4月後半からは柏餅になるので、今回は2種類の半生焼き菓子をセンターにした。
旧街道 菓銘も姿も京都の老舗の焼き菓子のようで、サイズは直径50ミリほど。重さは約30グラム。
表面の濃厚なテカリがすごい。卵黄と流山特産の白味醂(しろみりん)を使っていて、中央にはクルミがちょこんと埋まっている。クルミのへそ?
中は大納言小豆。手で焼いているのがわかる、ザクっとした歯ざわり。
焼き菓子の風味が口の中で絡み合い、しばらくすると溶けていく。
上質の焼き菓子。
赤城山 山の形の半生焼き菓子で、旧街道よりもしっとりしている。
中はこしあん。黒糖を使っていて、塩気が絶妙に全体を仕上げている。
サイズは旧街道よりも少し大きく、約40ミリ×40ミリ。重さは32グラムほど。
黒糖入りの皮の香ばしさとしっとり感がこしあんとマッチしていて、口どけもとてもいい。これは特に気に入った。
●あんポイント
代々続く和菓子づくりのベース「あんこ」について。
「今も薪(まき)であんこを炊いてるんですよ。薪を使って餡づくりしている店は少ないと思います」(5代目女将さん)
小豆は北海道産、砂糖は主に上白糖。銅鍋と木べらでじっくりと煮詰めているという。こだわり方が希少だと思う。
【サイドは?】
陣屋もなか2種類:大納言と栗入り
大納言 大きさは高さ約72ミリ×屋根幅55ミリ。重さは約54グラム。蔵の形の最中で、サクッとした皮種は香ばしく、中はふっくらと炊かれた甘めの大納言粒あん。上質な最中だと思う。
栗入り こちらはややねっとりとしたこしあん。つぶ栗が入っていて、甘めのこしあんとのマッチングはやはり上質。ほんのり塩気がいいアクセントになっている。
「清水屋本店」
所在地 千葉・流山市流山2-26