週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

ブラジルタウンで😎絶品あん草餅と出会う

 

令和5年の最終号は日本のブラジルタウン、群馬・大泉町で出会った原石のような朝ナマ中心の和菓子屋さんを取り上げたい。

「和菓子処 田中菓子店」の暖簾。「みかん大福」のノボリが寒風にはためいていて、温かいオーラを放っていた。

クルマ(お客)が次々と止まる。

 

今年のあんこ旅の中でも心ときめいた店の一つ。

 

ローカルの和菓子屋さんの秘めた力を改めて思い知らされた。

 

と前置きが長くなってしまった(冷や汗たらり)。

 

ここの草餅が絶品だった。

 

★今回ゲットしたキラ星

 草餅(つぶあん) 175円×2個

 同 (こしあん) 175円×2個

 生菓子「つぼみ」 190円

 かのこ(白あん) 200円

 くるみどら焼き  290円

 あんぴん餅(塩あん)240円

  ※価格はすべて税込みです。

 

【センターは?】

〈草餅〉よもぎ餅とあんこのバランスにシビれる

 

地元客が次々とやって来る。なので、早めに売り切れることも多い。

 

お姿:大きくもなく小さくもない。店主の手を感じる、やや楕円の丸形だが、よもぎの自然な濃さに目が吸い込まれそうになる。

春の薫風が立ち止まっているよう。

 

サイズは約55ミリ×45ミリ。重さは73グラムほど。

手で触れると、もっちり感とほどよい柔らかさが指先に来る。

 

味わい:個人的に特に気に入ったのは風味とボリュームマックスの自家製つぶあん

いい小豆の風味が口の中でふわりと広がる。

 

自然な甘さで塩気も後からほんのりと来る。

 

いい草餅のすべてを兼ね備えている、と思う。

 

北海道産小豆をじっくりと炊き、実に穏やかな、深みのあるあんこに仕上げている。

 

柔らかなよもぎ餅とのマリアージュがとてもいい。

口に入れた瞬間、つぶあんと合体してぐんぐんと押し寄せてくるよう。

 

1∔1=3の小世界。目をつむりたくなる。

 

砂糖はオーガニックな調整糖を使っているとか。

 

続いて。

惹かれるように、こしあんの草餅に手が行く。

こしあんも自家製ということに、店主の強いこだわりを感じる。

 

こちらも滑るようになめらかなこしあんで、つぶあんの素朴に対して、気品すら感じる。

 

いずれも無添加づくりで、ゆえに「本日中にお召し上がりください」

 

自宅に戻ったのは夜7時過ぎだったが、夕ご飯を後回しにして、しばらくの間、至福の時間となった。

遠くからサンバのリズムが聞こえてきそうだが、このつぶ&こしの草餅タッグの前では存在が霞む。と言いたくなってしまった。

 

●あんヒストリー

創業は昭和42年(1967年)。現在2代目。和菓子修業は「父から教えてもらいました」。初代直伝のワザというのが、今どきの製菓学校⇒後を継ぐ、という定番コースではない。初代はかなりの和菓子職人だったと思われる。

朝ナマ中心の店だが、上生菓子から饅頭類、お赤飯・のり巻きなどまで、驚くほどの種類を毎朝並べている。先代からの教えは「手を抜くな」。年季の入ったガラス張りの渋い作業場が素晴らしい。「お客さんに見てもらいたいから」とのこと。暗いうちから仕込みに入って、朝ナマをつくり続けている。太田、館林、足利にも支店があり、息子さんがそれぞれ暖簾を守っている。

【サイドは?】

上生菓子「つぼみ」:花びらのつぼみをイメージした上生菓子(下の写真㊧)。淡い桃色の花びら(白餡ベースの羊羹)が3枚、真ん中にはクチナシで色付けした花芯がちょこんと顔をのぞかせている。凝った作り方。

見た目も美しいが、中のこしあんとのマリアージュがとてもいい。

 

花びら部分の歯触りと中の塩気を含んだなめらかなこしあんが上質で、二つの食感が合体し、やがてとけるようにフェードアウトしていく。

余韻が舌の上にしばらく残る。

 

単に生菓子というより上生菓子と言った方が近いと思う。

 

かのこ:珍しい、中が白あんのかのこ

 

外側は大納言小豆の甘納豆。艶やかに煮詰められていて、隙間から白あんが顔をのぞかせている。眼福。

秘すれば花という言葉が頭をよぎるような。

 

大納言小豆の粒々感と白あんのなめらかな舌触りがいい対比を生んでいて、ここにも塩気が絶妙に伴奏してくる

2代目店主に「これはもうアートですね」と言うと、「いえ、たまたまですよ」と白い歯をのぞかせた。

 

いい職人に共通の実直さが垣間見えた。

 

《小豆のつぶやき》

▼町の和菓子屋さんの庶民性を基本に据え、新しい生菓子づくりにも挑戦する▼令和5年の最後を飾るにふさわしい、ローカルの名店と出会えたこと▼今年はうれしいニュースが多かった▼だが、ハズレもいくつかあった▼和菓子の世界は玉石混交だと思う▼最後になりましたが、読んでくださったすべてのお方に▼この甘い「週刊あんこ」にお付き合いいただき、深くふかーく感謝いたします。ではみなさん、よいお年を!

 

「田中菓子店 本店」

所在地 群馬・邑楽郡北小泉3-18-12

 

          

 

《お知らせ》令和6年のスタートは1月3日(水)発行からです。さらに。新しく、毎週日曜に増刊号「今週のはみ出しあんこ情報」を小さく始めます。「金星あんこ」「NGあんこ」などなど。ゆる~い新企画、どうぞよろしくお願いいたします。