今回は蔵出し編です。
取材して蔵にしまっておいたつもりが、アップする時期を間違えてしまった(ドジです)キラ星の生菓子たちを、もったいないので、ご紹介したいと思います。
実はこうした取材済みのストックが多くて、いつかまとめて書きたいと思いますが、春限定(直近)のいくつかを書こうと思います。
今回は埼玉・春日部の老舗和菓子店「青柳本店」での出会いです。
私の好きなローカル店の一つで、今回が三度目の訪問(4月初旬)。
〈あんヒストリー〉
春日部「青柳本店」の創業は明治33年(1900年)。現在4代目。初代は東京・新橋の名店「青柳本店」(今はない)で修業後、暖簾分け。季節の和菓子を中心に朝ナマの伝統を守り続けている。地場の素材を使ったこだわりのある商品にも力を入れている。
●今回ゲットしたキラ星
花餅 172円(税込み)
赤米道明寺 165円(同)
うぐいす餅 165円(同)
草餅(つぶ、こし)165円(同)
※いずれも取材時の価格です。
【センターは?】
レアな赤米道明寺の粒々感とつぶあん
これだけいい季節の生菓子が揃っていると、センター(基準は私のあんこセンサー感度です。時々狂います)にどれを置くか迷う。
春日部の美しい郷土生菓子「花餅」にも心を動かされたが、桜餅のとなりにお顔が見えた「赤米道明寺」に目が釘付けになった。ン?って感じ。
道明寺に春日部産赤米(玄米の一種)を加えた、渋い粒々(オーガニック)が「おいで」とささやいた気がした。
自宅に持ち帰ってすぐに賞味。
着色はしていない。自然な赤。
日持ちしない朝ナマの上生菓子(賞味期限は当日)。
底に敷いた塩漬け桜葉と赤米道明寺のいぶし銀の美しさ。
重さは約65グラム。小ぶり。
中は自家製つぶあん(北海道産小豆使用)で、ふっくらと炊かれていて、甘すぎない。スッキリした、余韻のきれいな、いいあんこだと思う。
砂糖は多分白ザラメかグラニュー糖ではないか。
赤米道明寺は赤米を加えた分、普通の道明寺よりも粒々感があり、それがいいアクセントになっていると思う。
桜葉の香りが口の中を撫でていく。
赤は魔除けの意味もある。
温故知新の逸品だと思う。
【サイドは?】
草餅:つぶあん(右)とこしあん(左)2種類。よもぎの香りは強くない。もっちりした皮とあんこが上質で、つぶあんは自家製、こしあんは製餡所から生餡を仕入れて、それを自家で仕上げているようだ。
よもぎの香りは強くない。どちらかというとつぶあんの方が気に入った。甘さ控えめで余韻がすっきりしている。小豆の皮まで柔らかい。
うぐいす餅:羽二重餅のようなやわらかな生地。中は甘さを抑えたこしあん。きな粉の香ばしさと口の中で溶け合う感覚がいい。
花餅:春日部にしかない郷土生菓子で貝殻状の餅(上新粉)は若草色と桜色が美しい色どりを付けている。中は濃いめのこしあん。4月8日の「花の日」までの短い季節限定品。
〈編集長のつぶやき)▼季節の生菓子は掲載時期のタイミングが難しい▼前にするか中にするか後にするか▼今回は後になってしまった▼「青柳」の屋号は全国に見られるが、江戸時代に流行した「伊勢屋」ほど多くはない▼ルーツは名古屋のようだが、群馬など関東に多い▼店名の由来もいつか調べてみたい。
「青柳本店」
所在地 埼玉・春日部市粕壁東一丁目2-5