週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

2018-01-01から1年間の記事一覧

「湯島スイートロード」の至福

東京・上野御徒町から湯島にかけてはいい甘味処、和菓子屋さんが多い。 湯島スイートロード。私流の言い方だと、「あんこのGスポット」。 この場合のGはグレイト、と思ってほしい。 私の好きな渋くていい店が「おいで」と暖簾を下げている。 みつばち、つる…

天空の隠れ家「青山紅谷」の二品

「御菓子司 紅谷(べにや)」の名前はディープな和菓子好きの間では知らない人はいない・・・はず(と断言してしまおう)。 南青山のビルの最上階に小さく暖簾を下げている。 いつかは行きたい店の最上位のどこかにランクされる、隠れ家のような名店だと思う…

こしと粒の合体「松本の老松」

こしあん×粒あんの切ない恋愛=老松(おいまつ)。 そんなジョークを言いたくなる、あんこの和菓子と信州・松本市で出会った。 御菓子司「開運堂」の開運老松(かいうんおいまつ)である。1本税込み1101円。大きいので思ったほどは高くはない。 まずは…

「おまん」のミラクル、玉英堂「玉饅」

京都で「おまんやさん」と言えば、饅頭(まんじゅう)などを売っている町の和菓子屋さんのこと。愛すべき下々の世界。上菓子屋とは一線を画している。 私が大好きな世界だが、この饅頭にもヒエラルキー(階級)がある。その最高峰(エベレスト級?)に位置す…

常陸太田の奇跡「笹だんご」

和菓子好きの知人から面白い情報が入った。 新潟の笹だんごそっくりの餅菓子が茨城にある、というのである。 しかも由来があの水戸黄門(徳川光圀)にまでさかのぼる、という。 かつては十軒以上が地元の名物として作っていたが、今では一軒だけ。それも元祖…

京都の粋「しぐれ傘」

京都の畏友が持ってきてくれた手土産は面白いものだった。 メディア仲間の懇親会でのこと。 いつものように「はい、これ」ポンと手渡すだけ。説明はない。 これが曲者で、京都のすごさと奥の深さを感じさせるものばかり。 家に持ち帰ってから、きれいな包み…

浅草きんつば界「張出横綱」

東京・浅草はきんつばの聖地だと思う。 何といっても、私が大好きな「徳太楼(とくたろう)」がいぶし銀に光っているし、合羽橋には「江戸昔菓子」の「梅源(うめげん)」がある。どら焼きの「亀十(かめじゅう)」などもまずまず美味い。あの大行列はいただ…

信州「栗の町」の純栗かの子

「純栗かの子」はたまらない。 私的には信州・小布施町(おぶせまち)が天国に近い場所。 頭に描いただけでヨダレが出かかる(失礼)。 人口1万人強のちいさな町に栗菓子屋の老舗が5軒ほどある。 桜井甘精堂(さくらいかんせいどう)、小布施堂、竹風堂が…

日光「湯沢屋」の酒まんじゅう

酒種で発酵させた酒饅頭(さかまんじゅう)の歴史は古い。 あまりに古い。 鎌倉時代、南宋に渡った聖一国師(円爾)が中国から伝えたとされる。 気が遠くなる話ではあるが、これが実に美味い。 古くて新しい。本物なら、まんじゅう界の頂点だと思う。 私は職…

虎ノ門岡埜栄泉の「栗饅頭」

このところ栗饅頭(くりまんじゅう)にハマっている。 きっかけは友人の編集者Y君のメール。最近結婚したばかり。ワイン好きの酔っ払いで、スイーツ類とは無縁な無粋な男。それがどうしちゃったの?と心配になる内容だった。 「和菓子は苦手でしたが、先日…

浅草あんこ界の隠れ王者

あんこ好きにとって、京都が西の横綱なら、東の横綱は浅草だと思う。 上菓子屋より庶民的な餅菓子屋が多い、というのもちょっとうれしい。 梅園の粟ぜんざい、亀十のどら焼き、徳太樓のきんつば、舟和のあんこ玉、長命寺桜もち、言問団子・・・と指折りきて、つ…

梅ヶ枝餅「あんこ比べ」

福岡・太宰府天満宮まで足を延ばした。 目的はむろんのこと、梅ヶ枝餅(うめがえもち)! 「かさの家」が最も有名だが、あんこマニアとしては、ひまわりではなく月見草を探したい。本物は陰に隠れている、と思うからである。 で、地元の情報をかき集めた。そ…

蒸し菓子の到達点?「栗若瀬」

京都つながりで、蒸し菓子のちょっとビックリの逸品と出会ってしまった。それがこれ。 これまで食べた中で、蒸し菓子の一つの到達点は私の中では萬年堂の上菓子「御目出糖(おめでとう)」だった。それは今でも変わらない。 別名高麗餅(こうらいもち)。こ…

饅頭界の奇跡「粟まんじゅう」

粟饅頭、ひらがなで書くとあわまんじゅう。 これがほっぺたが落ちるほどうめ~、と知っている人はまだ少ないと思う。 粟(あわ)をもち米と混ぜて皮を作り、手作業でこしあんを包み込む。それを蒸し籠で蒸したものだが、この美味さは私にとっては格別である…

8代目が作る驚きの栗菓子

「あんこを求めて三千里の旅」で、信州・飯山市に足を延ばした。 「雪国の小京都」とも呼ばれるお寺の多い、人口2万人ほどのちいさな町だが、和菓子屋が多い。 たまたまここに300年の歴史を持つ「御菓子処 京香屋(きょうこや)」の存在を知り、電話して…

きんつば界のシーラカンス

東京・日本橋というより、江戸・日本橋と言った方が正しいと思う。 ここに徳川の時代から暖簾を下げ続けているのが「榮太樓(えいたろう)総本舗本店」。 和菓子が好きな人でなくても、名前くらいは聞いたことがあると思う。 ここの金鍔(きんつば)が凄すぎ…

「箱根元祖」皮とあんこ

饅頭(まんじゅう)の中でも温泉まんじゅうは格別である。 たまに行く箱根で、気が向いたときにお土産に買うのが「元祖温泉まんじゅう」。 数多い箱根温泉まんじゅうの中でも、ここは外せない。 それが箱根湯本駅から目と鼻の先の「丸嶋(まるしま)本店」。…

古都の手巻き「豆大福」

古都にはいい餅菓子屋さんが多い。 京都を筆頭に奈良、金沢、博多、仙台・・・ときて、ハタと思い至った。 いざ鎌倉、である。 その一つが鶴岡八幡宮の近くに暖簾を下げる、「旭日屋本店」だと思う。 ここの豆大福の形が面白い。手巻き豆大福で、京都「出町ふた…

官庁御用達「栗饅頭」さま

栗饅頭(くりまんじゅう)は正直、苦手だった。 どこにでもあり、その食感に大差はないと思っていた。 あんこ好きとしては番外に位置する和菓子。 だが、出版社の敏腕編集者が「虎ノ門岡埜栄泉(とらのもんおかのえいせん)」の栗饅頭を食べたら、「めっちゃ…

黒糖どら焼き「黒松」に並ぶ

東京三大どら焼き、と称されているのが、 上野うさぎや(日本橋うさぎや)、浅草亀十、東十条草月である。 個人的には、これは違うと思う。 うさぎや、亀十はいいとして、もう一つは人形町清寿軒では?と小さく声を上げたくなる。 と言いつつ、私は東十条草…

「口福堂」のジャンボおはぎ

「おはぎ」と「ぼた餅」。 あんこ好きにとって、この三文字は格別なものがある。 漢字で書くと、お萩餅と牡丹餅。 秋に食べるか、春に食べるかの違いでしかないが、つぶしあんに包まれたお姿を想像するだけで、オーバーではなくよだれが出かかる(失礼)。 …

「玉ようかん」元祖の凄味

これほど面白い羊羹(ようかん)はそうはない、と思う。 玉羊羹(たまようかん)、である。 ゴムの容器に詰められ、輪ゴムでぎゅっと縛られた、球状の羊羹。ピンポン玉より一回りほど小さい。 ツマヨウジ(敬意を表して日本橋「さるや」のもの)でチョコンと…

「づんだ」本場の大関格

づんだ餅を無性に食べたくなる、ときがある。 疲れて落ち込んだ時やヨイショッと四股でも踏みたくなったとき。 そんな経験はありませんか? あんこの親類だが、小豆あんとは別な美味さ。例えて言うとしばらく会わなかった懐かしいおばさんみたいな。しかもデ…

パリ発「あんぱん」の味

「あんぱん」は日本のオリジナル、とばかり思っていたが、意外なあんぱんに遭遇した。 東京・半蔵門にあるちょっと有名なブーランジェリー(こだわりの強いパン屋さん)で見つけたもの。正確にはブーランジェリーパティスリー(菓子パンも作っているので)。…

柴又より古い「草だんご」

草だんご、と言えば「柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)」がすぐに連想される。 その老舗の名店「高木屋」は映画「男はつらいよ」の舞台にもなり、いつ行っても観光客でにぎわっている。寅さんが「よっ、元気かい?」と言いながら出てきそうな気になる。…

神保町の豆な「豆大福」

豆大福の名店と言えば、西は京都「出町ふたば」、東は護国寺「群林堂」があまりに有名だが、その他にも「おっ」と言いたくなる豆大福が探せば結構ある。 東京の古本街・神田神保町の和菓子処「文銭堂(ぶんせんどう)」の豆大福もその一つだと思う。 有名ど…

水ようかんW杯「一枚流し」

サッカーW杯が盛り上がり、日本が熱い。猛暑とツートップ。 こういう時は、冷たい「水ようかん」に限る。 で、埼玉・深谷の老舗和菓子処「菊寿童(きくじゅどう)」の絶妙な水ようかんを、先発右サイドに抜てきすることにしよう。 その名も「一枚流し」(税…

ルーツの謎、箱根「湯もち」

箱根湯本の老舗和菓子屋「ちもと」は好きな店の一つ。 ここの名物「湯もち」は面白い。 最初にこれを食べたとき、その食感に違和感を感じた。 竹皮に包まれた純和風・・・のはずが食感が不思議だった。 餅というより、まるでマシュマロ。 メレンゲの香りもする…

甘酒横丁の「とらやき」

どら焼きではなく、とらやき。 冗談かと思ったら、正式には「虎家喜(とらやき)」が正解。縁起のいい寅年生まれが三代続くことを願ってこの名前にしたという由来を持つ。 東京・人形町の甘酒横丁に小さく店を構える「京菓子司 彦九郎」の目玉商品である。 …

新しい古典「黒豆金つば」

改めて老舗和菓子屋の底力を感じさせられた。 岡埜栄泉総本家の「黒豆金つば」である。 これまでの金つばの常識から一歩踏み出し、それが見事に伝統の延長線上に位置している、と思う。 丹波産の黒豆を使い、北海道産大納言小豆と融合させている。切ってみる…