サッカーW杯が盛り上がり、日本が熱い。猛暑とツートップ。
こういう時は、冷たい「水ようかん」に限る。
で、埼玉・深谷の老舗和菓子処「菊寿童(きくじゅどう)」の絶妙な水ようかんを、先発右サイドに抜てきすることにしよう。
その名も「一枚流し」(税別 650円)である。
冷蔵庫に冷やしてから、紙箱(内側が銀紙)を開け、切り分けて、冷たい麦茶をぐいと飲んでから、口中へ。
ため息が出るほどのなめらかさ。
ババロアのようなぷるるん感。舌の上でスーッと溶けていく。
きれいなこしあんと寒天の配合が絶妙で、京都を感じさせる上質な水ようかんだと思う。
やや強めの甘さ。ほんのりと塩気もある。
創業が文化8年(1811年)。現在の店主は9代目というから首都圏でもノレンの古さはトップクラスだと思う。
「一枚流し」という表現が面白い。羊羹は昔から「枠流し」で、熱いうちに木枠に流し込み、それを十分に冷ましてから包丁で切っていく。
その伝統を受け継ぐ「一枚流し」ということかもしれない。
たまたま先代の女将さんがいて、少し話を聞くと、小豆は北海道十勝産のえりも小豆を使い、砂糖はグラニュー糖とか。賞味期限は冷蔵庫で3日間。
「東京から来たお客さんが『日光の水ようかんにも負けない』って言ってくれて。うれしいですね」
店は上菓子から餅菓子まであり、さらに洋菓子やコッペパンも自家製で作り、地元客ばかりでなく、首都圏からのお客も集めている。
8年ほど前に駅近くから現在地に移転、コンクリートを生かしたモダンな店構えになった。
確かに上質の水ようかんだと思う。水ようかんのW杯があったら、決勝トーナメントに行けそう。
だが、私は小豆の素朴な風味がもっとあった方が好み。濃厚あんこ好きのサガだが、きれいすぎるのも「ちょっとなあ」である。PK戦になったらどうか。むろん個人的な好みの問題ではある。
所在地 埼玉・深谷市国済寺403