東京三大どら焼き、と称されているのが、
上野うさぎや(日本橋うさぎや)、浅草亀十、東十条草月である。
個人的には、これは違うと思う。
うさぎや、亀十はいいとして、もう一つは人形町清寿軒では?と小さく声を上げたくなる。
と言いつつ、私は東十条草月の「黒松」(1個税込み 105円)を愛している。
小ぶりだが、黒糖入りのスポンジ皮の美味さ。
しっとり感とふわふわ感が実にいい。黒糖とハチミツの風味が絶妙で、あんこの美味さを邪魔していない。うさぎやより亀十に近い食感。
あんこはつぶしあん。北海道産小豆を使用、濃厚な甘さで、全体のバランスを崩さない。あんこの量は皮の量に準じて、ほどほどの量。あんこ好きとしてはもっとあってもいいと思うが、甘みが強いので、これくらいがちょうどいいのかもしれない。
あまりの人気に電話で予約しようとしても「本日の分は終了しました。後はお並びいただくしかございません」と素っ気ない。
大行列はこのあたりの風物にもなっているほど。
三度目の正直。1時間近く並んで、ようやくゲットすることができた。
「どら焼き、10個ください」
「どら焼きではありません。うちでは黒松と呼んでます」(女性スタッフ)
は? 目が点になる。黒糖を加えて焼いているため、焼き目の黒松模様(虎の模様にも見える)がその名の由来らしい。
なので、店が言うようにこれはどら焼きではなく、「黒松」としたい。三大どら焼きから外す理由でもある。
何よりもその安さの哲学は筋金入り。20年以上も値段をほとんど変えていない。
そうそうできることではない。
創業が昭和5年(1930年)。老舗だが、人形町清寿軒や上野うさぎやほどの歴史はない。
どら焼き・・・じゃなかった、「黒松」は初代と二代目が創業からしばらく経った昭和33年に考案したようだ。
煉り羊羹や最中、だんご、季節の餅菓子なども丁寧に作っているが、「黒松」目当てのお客がほとんど。
「黒松」が黒字の松の略、ということはないのだろうか?
所在地 東京・北区東十条2-15-16
最寄駅 JR東十条駅南口すぐ