あけましておめでとうございます。
能登地震から始まった令和6年辰年。龍が守る年になりそうです。
さて、本日は3日。スタートからミラクルと言いたくなる、凄い店(甘味処&だんご)をご紹介したいと思います。
あん子「私のルーツ、織物の町・桐生で見つけたのよね。街の裏通りを散策中に『焼きだんご』のノボリを見つけて、入ってみたら、凄い歴史の甘味処だったのよね」
編集長「今も興奮が冷めないよ。桐生は坂口安吾が終の棲家にした町で、その安吾さんが通った甘味処だった。その名も大野屋。びっくりしたよ。桐生は大好きな街で、何度も通ったのに、気づかなかった。この節穴め、と自分を罵ったよ。でも、遅まきながら今回訪問出来て、めちゃハッピー。今年はいい年になりそうだ」
あん子「節穴がバレた(笑)。早く本題行きましょう」
★今回ゲットした品書き
だんご(たれ、あん、のり)120円×3串
志るこ(つぶあん) 570円
ごぜん志るこ(こしあん)600円
※いずれも税込みです。
【センターは:ごぜん志る古】
4代目の手づくりこしあんと餅の驚き
〈アプローチ〉「焼きだんご」のノボリとレトロな店構えに「大野屋」の下看板。
これは凄い店か、ただのレトロ趣味か、判断に迷ったが、一歩足を踏み入れたら、別世界だった。もちろんいい意味で。
隅々まで磨き抜かれた、板テーブルと小上がり。本物の情緒。ご高齢の女将さんが「いらっしゃい」と板場から出てきた。
熱いお茶を出してくれて、少し話をしたら、とんでもない店だとわかった。
●あんヒストリー 創業が明治2年(1869年)。現在4代目。あんこは誰にも手を出させずに、自らで仕込み、大釜で煮詰めている。かなりのご高齢と推察したが、作業中をちらりとのぞき見したら、白衣姿の背筋がピンとしていて、鏡の国・・・いやあんこの国のアリスにでもなった気分に襲われた。
驚きはさらに。晩年の坂口安吾がこの店を愛し、夜飲みに行く前によく立ち寄って、だんごやおしるこを堪能していたとか。そのモノクロ写真(下の写真)まで置いてあった。
〈味わい〉
志るこ:蓋付きの赤いお椀。つぶあん(右)とこしあん(左)2つ並べる。
時空を超えて、タイムスリップした気分に陥る。
まずはつぶあんの「志るこ」からいただく。
蓋を取る瞬間が至福タイムのゴング。
湯気とともにつぶあん(北海道産×上白糖)の熱い海が現れ、焼き色強めな切り餅が2個浮かんでいた。
見事なつぶあん。
とろみと小豆の柔らかさ。
濃厚な、甘さと塩気が口の中に広がる。
4代目店主のこだわりが伝わってくる深い味わい。
幸せホルモンがにじみ出てくる。
続いて、こしあんの「ごぜん志るこ」。
甲乙つけがたいが、個人的な感想ではこちらの方が好み。
こしあんのとろみと深いコク。
雑味のないい小豆の凝縮が素晴らしい。
こちらは塩気がない。
こしあんのなめらかな粒子が舌の上で踊る。
焼き餅との相性も「絶妙」という言葉しか浮かばない。
私がこれまで食べたおしるこの中でも、間違いなくトップ5に入る、店主の年季の入った思いが底に流れている。
こしあんの美味さがマックスだと思う。
【セカンドは:あんだんご】
志るこ2種は編集長が独占したが、だんごはあん子さんが抱え込んだ。ドリップコーヒーも追加している。かなわん。
あん子「みたらしと海苔が杵つきの餅と見事に合ってて、とっても美味しい。あんこも店主の手づくりなので、その辺のおだんごとは比べものにならないわ」
編集長「煮詰め方が絶妙で、実につややか。濃厚な、こってりとした舌触りがたまらない。塩気がほんのり。あんだんごでこれだけのレベルはそうは出会えないよ。上新粉の餅も柔らかくてピュア」
あん子「編集長の声が裏返ってますよ(笑)。箸休めの柴漬けも悪くないわ。新年早々、すごい店に出会っちゃいましたね」
編集長「坂口安吾がここに座って、この味を堪能していたことを思うと、味わいもさらに格別になる。坂口あんこ、とダジャレをかましたくなるよ(笑)」
あん子「バチが当たるわよ(笑)。女将さんは私の女子高の先輩だとわかって、親近感もひと味違う。ご夫妻はご高齢だけど、娘さんが毎朝手伝いに来てるって言ってたから、そこも含めて、また来なくっちゃ」
編集長「その娘さんにもあんこづくりには手を出させないとおしゃってたね。凄いあんこ職人がここにもいる。こいつは春から縁起がいいや」
《小豆のつぶやき》
▼あんこの世界の奥の深さを改めて知らされた▼食べたものすべてに手抜きが見えない▼あんこのこだわりに最大の敬意を表したい▼市内にはうなぎ屋「泉新」やカレーの「芭蕉」など坂口安吾が愛した料理屋も残っている▼織物の町・桐生の和菓子屋のレベルの高さもまた。
「大野屋」