週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

水運の町の大親分まんじゅう

 

編集長東京オリンピックの次は饅頭オリンピックだよ。あんこ好きはゆるーくこの指に止まってほしい」

 

あん子「そんなオリンピック、聞いたことない(笑)。ここんとこ饅頭が多いから変だと思ってたけど、編集長の頭の中ではオリンピックのつもりだったのね」

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編集長「あんこワールドに休みはない。で、今日はいい和菓子屋さんを見つけた。饅頭が5~8種類、それも添加物ゼロ、昔ながらの蒸籠で蒸かした、めちゃウマの饅頭を取り上げたい。茨城県代表にしたい」

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あん子江戸崎まんじゅう、ね。確かに見た目も味わいもメダルを上げたくなるわ」

 

編集長こしあんのボリュームと美味さがレベルを超えてる。それに皮のしっとりもっちり感。ヘンな言い方だけど、牢名主(ろうなぬし)のような、ちょっと他では見ない饅頭だと思うよ」

 

あん子「牢名主って・・・ホメ言葉? 店の人が聞いたらどう思うかなあ。大親くらいがいいと思うわよ。でも、確かに(笑)。小判形で大きい。黒糖を使ったような色・・・テカリ方、中のこしあんの美味さ、ぎっしり感。編集長が興奮するのもわかる気がする」

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編集長「今回はその江戸崎まんじゅうと他に品のいい、おきゃんなレモン饅頭、吹雪饅頭、茶饅頭(利休)、塩気の強い麩饅頭も並べてみた」

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あん子利根川水運で栄えた江戸崎町(現在は茨城・稲敷市)のもうすぐ創業約百年の和菓子屋さんね。よく見つけたわね、そんな場所で。蛇の道は何とか(笑)」

 

編集長「地元では昔から人気の店なんだよ。現在3代目。この3代目が伝統と進取を取り入れたいい仕事をしてるんだよ」

 

あん子「能書きより中身でしょ? 船が出るわよ~。早くしないと、無観客になるわよ~(笑)」

 

【本日のセンター】

江戸崎まんじゅうvsレモンまんじゅう

 

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江戸崎は霞ヶ浦の南に位置し、どうやら戦国時代は城下町で、江戸時代以降は利根川水運で栄えた、歴史のある地名。江戸へと通じる物流の拠点だったために「江戸崎」という地名になっていたようだ。

 

今では過日の面影はないが、この由緒ある「江戸崎」という地名を饅頭に冠したのが「青木菓子店」。本日の主役。

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創業は昭和4年(1929年)。現在3代目。紺地の長暖簾が印象的な和菓子屋さん。

 

饅頭類のラインナップが素晴らしい。

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目玉は「江戸崎まんじゅう」で、創業当時からの作り方を頑固なまでに続けている。

 

昭和37年には農林水産大臣賞を受賞している逸品で、1個の舌代が105円(税込み)とコスパ的にも庶民的。

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添加物ゼロなので、賞味期限は短い(2~3日ほど)。

 

1個の重量は52グラムほど。大きさは85ミリ×50ミリ×25ミリほど。

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小判の形で、裏側から見ると、中のあんこのあまりの透け方にそそられる。あんこ好きにとっては拝みたくなる濃密な世界。

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茶色なので、黒糖を使っているのかと思ったら「いえ、使っていません。昔からの蒸籠でじっくり蒸かしてると、こういう色になるんですよ」(店のスタッフ)。

 

饅頭は蒸したその日に食べるのが一番おいしい。自宅に帰ってからすぐに賞味した。

 

皮のしっとり感ともっちり感に軽く驚く。

 

中のあんこはこしあんで、この量が半端ではない。

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なかなか出ない深い藤色。

 

北海道産小豆を銅鍋で毎日炊いていて、こしあんも自家製というのは暖簾の力かもしれない。つまり365日手間ひまを惜しまない。

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皮のもちもち感と雑味のないこしあん絶妙という言葉を通り越していると思う。

 

とても素朴だが、とっても洗練された美味さ。

 

「こりゃうめえ・・・饅頭オリンピックならメダル級だぜ」と江戸弁でつぶやきたくなった。

 

伝統と進取。その進取代表として「レモンまんじゅう」(1個 105円)をマットに上げてみた(何のマットだ?)

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レモンまんじゅうなんて、あまり聞いたことがない。

 

きれいなレモン色を割ると、白あんが現れた。

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レモンの酸味と風味が新鮮で、これは生レモンを使っているのかもしれない。

 

中の白あんは北海道産インゲン豆のこしあん。円形で重さは55グラムほど。結構大きい。

 

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しっとりとしたきれいな白あんで、江戸崎まんじゅうのような「うめえ」は漏れないが、これは単に好みの問題かもしれない。

 

上品できれいな饅頭。

 

この2つの饅頭だけでこの店の実力がほの見える。いい職人のいる店だと思う。

 

【本日のサブ】

麩まんじゅう(1個 同160円)

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 〈寸評〉青のりの麩まんじゅうで中はなめらかなこしあん。笹に包まれた見た目は上生菓子の麩まんじゅうだが、口に入れると、麩皮の塩気の強さに「へえー」となる。こしあんは上質。塩気が好みの別れるところ。私は江戸崎まんじゅうほどの感動はなかった。塩の強さはこの地が水運の町だったことが関係しているのかもしれない。

 

吹雪まんじゅう(1個 同105円)

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〈寸評〉中の粒あんのボリュームが凄い。ほんのりと塩気。つぶあん好きにはたまらない。重量は55グラム。

 

利休(1個 同105円)

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〈寸評〉黒糖を使った茶まんじゅう。重量は52グラム。中はこしあん。お茶菓子にいい。

 

「青木菓子店」

所在地 茨城・稲敷市江戸崎甲3125-1

最寄り駅 JR常磐線土浦駅からバス(約1時間)。

 

 

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