週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

驚きの創作羊羹「りぶれ」か「頂」か

 

編集長「東北に行く予定が緊急事態宣言延長で足止め食らっちゃったよ。地方から見れば首都圏はコロナ密集地帯だからね。でも、お取り寄せという手がある(笑)」

 

あん子「もったいぶっちゃって(笑)。山形の『乃し梅本舗 佐藤屋』の不思議系羊羹でしょ? 情報が遅すぎるわよ」

 

編集長「バレたか。以前、会津若松の老舗「長門屋」の『羊羹ファンタジア』を取り上げたけど、あまりに斬新で、驚いた。今回もうわさには聞いていたけど、江戸文政年間創業の老舗が伝統を守りつつ、とんでもない羊羹を作っていたんだね。みちのく老舗の底力を感じさせられるよ」

 

あん子「京都好きの編集長も驚いた(笑)。羊羹というより洋羹って感じね。洋の字が違う、和洋折衷の傑作かもね。和菓子だけの発想を超えてる」

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編集長8代目が面白い職人さんで、ちょっとびっくりさせることが好きらしいよ。洋酒入りの黒糖羊羹とはちみつ漬けのレモンを閉じ込めた錦玉羹(きんぎょくかん)を2層仕立てにするとはね。その名も『りぶれ』スペイン語で自由という意味だよ」

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あん子「7年くらい前に日本橋三越『全国銘菓展』でデビューしたんでしょ? メディアでもちょっとした注目を集めて、東北に佐藤屋あり、ってなったのよね」

 

編集長「よく勉強したね(笑)。でも私が気に入ったのはそれよりも『頂(いただき)』の方だよ。白あんをベースにした淡いブルーと道明寺粉の白がきれい。淡白で上品な創作ようかんなんだよ。こっちをセンターにしたい」

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あん子「また対決にしたいんでしょ? 大人の濃密すぎる味vs淡白できれいな味。創作ようかん対決ってわけね」

 

【本日のセンター】

〈青コーナー〉

新選組か山形カラーか?空色の創作ようかん

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1本税込み1000円。宅配便で届いた翌日に開けてみたら、きれいな紙箱から美しい2層羊羹が現れた。おおって感じ。

 

青というより空色。それに白い雲を表す白。山形の山々をイメージしているようだ。

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1本のサイズは約150ミリ×35ミリ×35ミリ。重量は約230グラム。

 

8代目が熱烈なモンテディオ山形のサポーターで、そのチームカラー青のイメージもあるとか。遊び心がおもろ

 

北海道産白いんげんをベースに青く着色している。

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包丁で切ると、その美しさは目でも楽しむ和菓子の伝統を受け継いでいるのがわかる。

 

食感は白練り羊羹そのもので、むしろ淡白な味わい。

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ほのかに柚子(ゆず)の香りもする。

 

上段の白は地場の道明寺粉を蒸し上げたもので、雑味のない餅粉の香りが空色の羊羹とよく合っている。

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余韻がきれいでなぜか心まで洗われるよう。

 

職人のレベルの高さがわかる一品。

 

ちなみに見出しの新選組うんぬんは正しくはない。色と模様が少し似ていただけ。ついちょっと遊んでしまった。

 

〈赤コーナー〉

山形というよりアルゼンチン? あまりに官能的な創作ようかん

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「りぶれ」は1本税込み1200円。今回のお取り寄せはこの「りぶれ」と「頂」、それに「いしずえ」(3個入り 同1000円)の3品。

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どう見ても主役は「りぶれ」で、一番大きい。

 

サイズは約163ミリ×80ミリ×35ミリ。重量は約500グラム。

 

何も知らなければ驚きはこれが一番だと思う。

 

凝った紙箱を紐解くと、中から真っ黒い黒糖羊羹が現れた。

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説明書を読んで、上下をひっくり返してみると、これがびっくり。

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琥珀色(こはくいろ)の錦玉羹(寒天と砂糖を煮詰めたもの)になっていて、蜜漬けのレモン(輪切り)が閉じ込められていた。

 

やっぱりすごいね。まさに琥珀だよ。

 

黒糖とラム酒、それにレモンの濃厚な香りが鼻腔にズカズカ侵入してくる。

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創作ようかんだが、山形というよりもアルゼンチンタンゴの濃密な、ある種官能的な夜の世界が脳裏に浮かんだ。

 

これは好き嫌いがあるかもしれない。

 

滲み出ている蜜が手にべたべたするのが少々やっかい。

 

だが、切り分けて口に運ぶと、その大人の濃密さがたまらない。

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黒糖とラム酒、レモンの酸味と苦み。

 

抹茶やコーヒーにも合いそうだが、白ワインやウイスキーにも合いそうだ。

 

8代目の「和菓子をちょっと自由に」というキャッチフレーズがなるほどと思えてくる。

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8代目は京都の老舗和菓子屋で5年間ほど修業している。

 

それも職人修業よりも配達(営業)で京都の和菓子文化を血肉化していったようだ。

 

実家に戻り、そこから凄腕の職人さんに囲まれ、切磋琢磨し、今では和菓子職人としての腕はもちろん、イデアマンとしても注目を浴びる存在になっている。

 

「佐藤屋」は洋菓子にも力を注ぎ、垣根を超えた新しい和スイーツづくりにも取り組んでいるようだ。

 

とはいえ、山形の伝統菓子「のし梅」や基本の饅頭類も守り続けている。そこが素晴らしい。

 

創作ようかんも含めて、コスパもとてもいい。京都もいいが東北もあなどれないと思わせられる。

 

〈おまけ〉 「いしずえ」(3個入り 同1000円)。黒糖羊羹の上に蜜漬けしたいちじくを乗せたもの。驚きはないが、日本茶やコーヒーに合うと思う。

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・本日のお取り寄せ

直接電話で注文しました。

りぶれ   税込み 1200円

頂(いただき)   1000円

いしずえ      1000円

合計        3200円

        (送料は別途)

 

「乃し梅本舗 佐藤屋本店」

所在地 山形・山形市十日町3-10-36

 

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