編集長「北の後は南のあんこ! 今回は九州・福岡からお取り寄せしたよ」
あん子「わかった、編集長の大好きな太宰府天満宮の梅ヶ枝餅でしょ?」
編集長「惜しい! 梅ヶ枝餅ではなくて、松ヶ枝餅(まつがえもち)。外見も中身もそっくり。言われなければ、梅が枝餅だよ」
あん子「梅と松の違いだけ? そんな餅があるなんて知らなかったわ」
編集長「正直に言うと、私も知らなかった。でも、調べてみたら、梅ヶ枝餅より古いんだよ。太宰府天満宮ではなく、もっと古い宮地嶽神社の門前で売られている、まあ地元の人に言わせれば、梅が枝餅のルーツだとか。ちょっとびっくり」
あん子「で、お取り寄せしたのは?」
編集長「門前には8軒ほど店舗があるようだけど、その中でもクール便(冷凍便)に対応している『宮地館(みやじかん)』を選んだ。イニエスタに敬意を表して、楽天から取り寄せてみたよ」
あん子「意味わかんない。イニエスタが戸惑うわよ。で、特徴は?」
編集長「これが凄いんだよ。定番の松ヶ枝餅(白)だけでなく、抹茶餅、ごま餅、よもぎ餅、それにさくら餅の5種類。松ヶ枝餅5レンジャーと呼びたくなる。たぶん宮地館だけだよ。梅ヶ枝餅にはこんな5種類ものバラエティーさはない。古くて斬新と言えなくもない」
あん子「目からあんこってわけね(笑)。どれどれ実食と行ってみましょう」
【本日のセンター】
つぶあんとの相性が松!抹茶餅の絶妙
5種類×2=計10個。冷凍便で届いたものを電子レンジで約40秒ほどチンしてみた。さらにオーブントースターで約7~8分。
表面がこんがりと焼け、門前で買うのとほとんど同じ松ヶ枝餅を試食してみた。
定番の松ヶ枝餅(白)は米粉と餅粉の配合や食感が梅が枝餅と変わらない印象で、中の自家製つぶあんも濃厚素朴な風味で、目隠しテストをしたら、10人中8~9人は「梅が枝餅でしょ?」と答えると思う。
私がこれまで食べた梅ヶ枝餅の中では「小山田茶店」(元祖といわれる)と似た味わい。
特に素朴なあんこ、だと思う。どこか野暮ったさが残る。
つぶつぶ感がはっきりしていて、甘さがやや控えめ。塩気もある。
餅の存在感が私がこれまで食べた梅が枝餅よりあると思う(1~2ミリの違いだが)。
宮地館は創業が1939年(昭和14年)。80年ちょっとの歴史で、現在3代目。
なので、思ったほどの歴史はないが、松ヶ枝餅自体の歴史は少なくとも江戸時代まで遡るようだ(一説には平安時代説もある)。
宗像大社の大社餅もほとんど同じ系統の焼き餅なので、「梅ヶ枝餅文化圏」が福岡の広い範囲で昔から存在していた、と考えるのが近いかもしれない。
タイムマシンでもない限り、元祖がどこかは今のところ不明としかいようがない(笑)。
さて、本題。
5種類の中で個人的にもっとも気に入ったのは、実は抹茶餅だった。
抹茶の清冽な香りが濃厚なつぶあんに絶妙に合っていると思う。
ふっくらと炊かれたつぶあんは塩気もほんのりと来る。
気になって、宮地館に電話取材したら、「抹茶は上質の八女茶(やめちゃ)を使っています」とか。福岡の銘茶。
風味がきれいなはずだよ。
つぶあんのこだわりも添加物ゼロの自家製で、北海道十勝産小豆を使用し、砂糖は上白糖。創業当時からの製法を継承しているとか。
とろみと柔らかなつぶつぶ感。
八女抹茶餅のさわやかなパリパリ感と中のもちもち感が昔ながらのあんこの素朴を引き立てている、そんな感じかな。
【本日のサブ】
・ごま餅
〈寸評〉黒ゴマが表面をびっしりと覆っていて、これがゴマ好きにはたまらない。中のつぶあんは5種類とも同じだが、焼かれた黒ゴマの風味が全体を覆っている。つぶあんがやや甘めに感じた。
・よもぎ餅
〈寸評〉口に入れたとたん、よもぎの香りが広がる。オーブントースターで焼くことでよもぎ餅と中のつぶあんがいい具合に蕩ける。
・さくら餅
〈寸評〉塩漬けした桜の葉は地場産。餅もうっすらとピンク色で、8月下旬だというのに、春の予感を漂わせる。京都は道明寺、東京は小麦粉、福岡・福津は餅粉と米粉。つぶあんとの相性も悪くない。
【本日のお取り寄せ】
今回は楽天市場から注文しました。
5種類10個入り 2600円(送料込み)
「宮地館」