滋賀県大津市が発祥の地の「叶匠壽庵」(かのうしょうじゅあん)は私にとって、驚きの和菓子屋さん。
出会いはふた昔前にさかのぼる。

日本橋三越か日本橋高島屋で「あも」の写真と説明を見て、あんココロが鷲づかみにされた。
「叶匠壽庵」という重々しい、相当な歴史を感じさせる屋号。
希少な「丹波大納言小豆」を使っていること、他の老舗に比べ、その価格がそう高くなかったことなどなど。
フトコロが寒かったが、惹かれるように一棹ゲットした。
これが驚きの美味さだった。
丹波大納言小豆の爆発的な風味と中の求肥餅の合体が私の想像を超えていた。
以来、思い出すたびにその味わいを楽しんできた。
だが、調べていくと、老舗デパートに出店する中では歴史が思ったよりも浅く、何よりも出発点が和菓子屋ではないことなど、意外性だらけだった。
で、今回。

新宿伊勢丹をあんブラ中に、「あもや」という新展開のブランドと出会ってしまった。

あもやだって?
女性スタッフに聞くと、「あもの専門店で、3年ほど前にオープンしたんですよ」とか。

「あも」の別バージョンが数種類並べられていた。浦島太郎の気分(笑)。
どれにしようか、財布と相談しながら、しばし悩んだが、これまで食べてない2タイプを1棹ずつ選んだ。
★ゲットしたキラ星
あも(こしあん㊨)1296円
あも(栗㊧) 1404円
※どちらも税込み価格です。

【センターは?】
あも(栗):小豆羊羹✖求肥餅✖栗の準完全体

丹波大納言小豆のベーシックなあもに栗のかけらをプラスしたもの。
しばらく見ないうちに、「あも」の進化(?)に驚かされた。
「栗」の他に「ゆず」もあったが、今回は諸々の事情でスルーした(笑)。
サイズはパッケージ込みで170ミリ×55ミリ。重さは359グラムほど。
このサイズはほとんど昔のまま。
🧐実食タイム
丹波大納言の小豆羊羹なので、見た目の素朴なぼこぼこ感が素晴らしい。

包丁を入れると、柔らかな小豆の風味がスローモーションで立ち上がってくるよう。

求肥餅が刃にくっつく。
昔とほどんど変わらない、あんココロが揺さぶられる景色。
栗はどこにあるのかな?

よく見ると、求肥餅の周辺に隠れていた。
シロップ漬けの栗。
黄色いオーラが見えた。すごいね。
丹波大納言小豆の柔らかな粒つぶが噛むたびにいい風味を巻き起こしてくる。そんな感じ。

冬なので求肥餅がしっかりしていて、そこに栗がフェイントをかけてくる。
ベースの丹波大納言小豆の風味を邪魔せず、プラスアルファの栗の食感が悪くない。

昔の方がもっと甘かった記憶があるが、時代に合わせて(?)、甘さがほどよくまとめられている。
砂糖はグラニュー糖を使用しているのではないかな。
なので、素朴と上品が絶妙に混じりあっている。
●あんヒストリー
「叶匠壽庵」の創業は昭和33年(1958年)。大津市の職員だった初代が切り開いた和菓子屋で、百年以上の老舗がひしめく京都エリアでは珍しい経歴と言える。丹波大納言小豆に注目し、「あも」を開発したのは2代目のようだ。あもの大ヒットで本社工場を広大な「寿長生の郷」に移し、今や全国展開の勢い。「あも」とは京都の宮中で女官たちが使っていた「餅」のこと。着眼点がクールだと思う。
【サイドは?】

かなり出遅れてしまったが、こしあんのあもを食べるのは今回が初めて。
丹波大納言小豆のこしあん羊羹の中に求肥餅、というスタイルがこのあもの中で実現していることがうれしい。

包丁で切るとすっと入っていく。
つぶあんほどの素朴なあずき感はない分、やさしい、すっきりとした味わい。

和三盆糖も少し加えているようだ。
全体の甘さはむしろ控えめ。
なめらかな舌ざわりで、口どけもいい。
素朴と上品、どちらを取るか、あんこ好きにとってはこれは案外難問だと思う。
「叶匠壽庵 長等総本店」
所在地 滋賀・大津市長等2-4-2
