会津・柳津町(人口3300人ほどの山間の町)にしか存在しない超レアな「あわまんじゅう」、私の大好きな饅頭(まんじゅう)です。
日持ちしないので、現地に行って味わうのが一番、というのも私の好みに合っている。
これまでも何度も食べているが、今回「秋限定 栗あわまんじゅう」の存在を知り、いてもたってもいられなくなった。あんこ馬鹿の悲しいサガ(笑)。
江戸時代後期から山間に隠れるように存在してきた「粟(あわ)まんじゅう」も少しずつ進化している。
つくっているのは、今や柳津で一番の大手「小池菓子舗」。
一体どんな味か?
なので秋の一日、久しぶりにクルマを駆って柳津まで足を延ばした。
まんじゅうを蒸かす蒸気が目に入る。
只見川が眼下に見える、情緒をくすぐる光景。たまらないね。
★ゲットしたキラ星
栗あわまんじゅう 1個190円
あわまんじゅう 1個130円
茶まんじゅう 1個130円
※すべて税込み価格です
【センターは?】
刻み栗と白あんのあわまんじゅう
お姿:淡い緑色の美しさがキュート。粟ともち米に抹茶を加えている。独特の細やかな粒々感がきらめいている。
味わい:包丁で切ってみる。手にくっつくようなもちもちの皮生地は独特の柔らかな粒々感があり、中はしっとりとした手亡の白あん。刻み栗がポツリポツリと練り込まれている。
なので、定番の「あわまんじゅう」(こしあん)よりも全体的にはきれいな味わいだが、ベースが白あんなので、昔から知っている「あわまんじゅう」ほど、あんこ原理派の心の奥までは沁み込んでは来ない(あくまでも個人的に、です)。
だが、抹茶と刻み栗のフェイントは、好きな人には「この儚い(はかない)余韻がたまらないね」となるかもしれない。皮生地の美味さは相変わらず素晴らしい。
かすかな塩気も品がよい。これは薄茶と合いそう。
【サイドは?】
あわまんじゅう:やはりこの定番が私にはピタッと来る(右があわまんじゅう、左は栗あわまんじゅう)。微妙に色が違う。
甘さを抑えた自家製こしあんがしっとりと舌になじんできて、美味。クチナシで少し着色したもちもちの皮生地との柔らかなマッチングがとてもいい。
粟ももち米もこしあんも地場の素材を優先的に使っているようで、それが好感度をさらに上げている。
熱々の蒸かし立ても美味しいが、私は1~3時間くらい経ったものの方が好み。
生地もこしあんもほんのりと温かい、その余韻が私のあんGスポット(グレイトスポット)に響いてくる。
冷たくなってもおいしい(ただしその日中まで)。
あわ独特の風味とえぐみにハマるまんじゅう好きが確実に増えている。
あわまんじゅうの美味さは、考えてみたら、浅草「梅園」の「粟ぜんざい」に近いと思う。こちらも私の大好きな江戸末期⇒東京の極上逸品。病みつきになる美味さだと思う。
柳津町には12年ほど前まではあわまんじゅう店は7軒ほどあったが、残念なことに今や4軒に減っている。3.11がきっかけになった、という声もある。なんという損失。
●あんヒストリー 柳津名物「あわまんじゅう」の歴史は江戸時代後期にまでさかのぼる。平安時代初期、最澄や空海と論争した徳一大師(とくいつ)が開いた「福満虚空圓蔵寺(えんぞうじ)」が江戸時代後期に大火に遭い、当時の喝厳和尚が「二度と災難にアワないように」という願いを込めて、門前の和菓子屋に粟(あわ)を使った饅頭づくりを依頼、それが変遷を経て、現在のこしあん入りになったと言われる。ダジャレみたいな話だが、現在もその話が伝わっているので、おそらく本当なのだろう。
「小池菓子舗」は創業が大正12年(1923年)で、現在5代目。会津若松市内にも支店が2か所ほどある。ちなみにもっとも古いのは「岩井屋」で、明治23年(1890年)創業と言われる。
茶まんじゅう:沖縄産黒糖を使った茶まんじゅうで、こちらの方が好きというファンも多い。塩気のあるしっとりした自家製こしあんが実にうまい。あんこの量も文句がないレベル(下の写真㊨が茶まんじゅう、㊧は栗まんじゅう)。
栗まんじゅう:「小池菓子舗」の栗まんじゅうはほんのり塩気のある白あん。蜜煮した大栗が丸ごと一個入っていて、栗好きにはたまらない味わい。白あんではなくこしあんを使っている店もある。
《小豆のつぶやき》
▼ひと昔前までは会津・柳津まで行かないと味わえなかった「あわまんじゅう」だが、小池菓子舗などでは冷凍便(夏場)で手に入れることも可能になっている▼とはいえ「はせ川」のように地道にこだわりの強い、昔のままの作り方を続けている店もある▼4軒の味わいは少しずつ違うが、それを食べ比べるのも面白いと思う。▼粟(あわ)は希少になっているため、全国的には黍(きび)で代用する店も多いようだ。
「小池菓子舗」本店