週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

超レア🤩あんマーガリン&しそ巻き笹もち

 

かつて二本松藩があった福島・二本松市あんこの隠れメッカである。

 

江戸時代末期から続く、いい和菓子屋が多い。

みちのくあんこ旅できらりと光る「あまい宝石」を見つけた。

 

コンクリートのシンプルな建物に「玉家」のくすんだ金文字。

いい店構え。

 

思わず足が止まった。

 

「玉家玉振堂(たまやぎょくしんどう)」との出会いはたまたまだった。

 

ほぼ4年ぶりに訪れた本町通りの名店「玉嶋屋」や「日夏屋」を覗いた後に、曇空の下、他の店を探しに竹田坂方面(家具屋が多い)にしばらく歩いたときに、私のあんこセンサーがビビと反応した。

 

日除けのれんに「創業嘉永6年」(1853年)と染め抜かれていて、入り口のガラス戸には「くりまんじゅう」「名物 しそ巻き笹もち」の品書きも見えた。

全体的にはくすんだ印象だが、その奥にプロフェッショナルの気配を感じた。

 

現在7代目。6代目の下で伝統と新しさを融合させた和菓子作りに取り組んでいる、ヴィヴィッドな和菓子屋さんだと店内に入ってからわかった。

 

調べてみたら、ルーツは二本松藩主・丹羽家御用達の羊羹屋「玉屋」で、途中休業期などもあり、いくつか暖簾分けもしていることもわかった。

 

ちょっと驚かされたのは古さの中の斬新さ。

 

「あんマーガリン」(拾万石もなか)や見た目も違う「くりまんじゅう」。

代々続く二本松羊羹や栗羊羹に挟まれるように、「ん?」となる個性的な生菓子類が控えめに光っている。いいね。

 

★ゲットしたキラ星

 ・あんマーガリン 税込み145円

 ・しそ巻き笹もち 同120円

 ・くりまんじゅう 同120円

 

【センターは?】

オリジナル「しそ巻き笹もち」の絶妙

 

迷ったが、ありそうで珍しい生の餅菓子「しそ巻き笹もち」を選んだ。

みずみずしい笹にくるまれ、さらに赤紫蘇(あかしそ)でくるんだ道明寺で、中のこしあんとのコラボがとても印象的。

笹の香りと赤紫蘇の香りが二重奏となり、中の道明寺餅を殺していない。

 

それどころか赤紫蘇の酸味と自家製こしあんが見事に調和していると思う。

道明寺の柔らかさ。それに甘さを抑えたこしあん

 

口の中に広がる複雑な味わい。

たまたまいらした7代目によると、「6代目のオリジナルです」とか。

 

一見地味だが、巧みな工夫だと思う。

 

赤紫蘇がやや強いので、そこは好みが分かれるかもしれない。

 

【セカンドは?】

「あんマーガリン」はコッペパンやどら焼きには珍しくないが、最中(もなか)に取り入れたのがユニーク。

あんバターではなくあんマーガリ。どこか正直で手に取りやすい。

 

サクサクとした皮は福島産のもち米を使用、中の小倉餡は北海道産小豆の自家製あんこ。寒天も少し加えているようだ。

砂糖は「上白糖を使ってます」(7代目)。

 

ほどよい甘さの小倉餡とマーガリンが二層になっていて、サクサクの皮と口の中で「いい関係」を作り出している。

マーガリンの塩気が効いている。

 

もなかの新しい世界だと思う。

 

ネーミングも「あんマーガリン」とは、ね。

 

昔、アン・マーグレットという女優がいたが、7代目に言ったら「えっ、知りませんよ」と笑われてしまった。

 

【お・ま・け】

「くりまんじゅう」もよく見ると、かなりの凝り具合。

 

私が知る栗まんじゅうは焼き菓子だが、ここでは「蒸かしたまんじゅうです」。

 

しかもつややかな皮はもっちりしていて、クチナシで黄色に染めている。

中は白あん(大手亡豆)だが、よく見ると、さらに栗あんで包んでいる。

 

二重のあんこ、は驚き。

やさしい、ふっくらとした栗まんじゅう。

 

あんこは甘さが抑えられていて、後味があっさりとしている。

 

いい和菓子屋さん。

 

表面が糖化した江戸からの二本松羊羹の元祖を受け継ぎ、新しいチャレンジもしている。

 

二本松の奥も深い。

 

「玉家玉振堂」

所在地 福島・二本松竹田1-77

最寄り駅 JR二本松駅から歩約20分

 

            

 

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