遅まきながら明けましておめでとうございます。
週刊あんこ、ねん挫でもしない限り、今年もぴょんぴょんウサギ跳びしたいなと祈願しております。
なので、小豆色の「あんこころ」でどうぞよろしくお付き合いください。
さて令和5年、スタートはあの秋葉原でそこだけ別世界を維持しながら、いい和菓子をつくり続けている「和洋菓子 松屋」のキラ星を取り上げようと思います。
驚くことに創業が江戸時代中期、明和6年(1769年)という、古さにおいては首都圏でも有数の和菓子屋さんです。現在7代目(8代目も修業中)。
●あんポイント 「松屋」のルーツは伊勢で、初代が日本橋本石町で和菓子屋を始めたとか。ひょっとして屋台売りだったかもしれない(当時の日本橋は屋台売りや立ち売りも多かった)。明治27年に現在の場所に移っているようだ。
最中やどら焼きが有名だが、伝統と新しさが同居した和菓子にもチャレンジするなど面白い立ち位置にいるビビッドな店だと思う。
★ゲットしたキラ星たち
アマビエどら焼き 1個270円(税込み)
珈琲どら焼き 同270円
栗娘 248円(税別)
栗まんじゅう 248円(同)
松最中 248円(同)
【センターは?】
珈琲どら焼きの味わいにかしわ手を打ちたくなった
中には牛丼屋と間違える人もあるかもしれないが、この「和洋菓子 松屋」のいぶし銀度数(こういう数値もある?)は並ではない。
かつて洋菓子も作っていたので、看板には「和洋菓子」をそのまま残している。
周りがどんどん変化していく中で、入り口の「創業200年」の文字が目に止まる。
正確には創業250年以上になるが、古くからの看板を変えようともしない。この頑固さにも脱帽したくなる。
店内に一歩足を踏み入れると、そこはタイムスリップしたような、別世界を見ることになる。
木製の菓子型や時計その他がきちんと大事にされている。
歴史を感じさせる和菓子のショーケースに目が行く。
フトコロと胃袋の空き容量の関係で上記の5種類をゲットした。
自宅に持ち帰って賞味タイムとなった。
●珈琲どら焼き
すべてがしっかり作られていて、和菓子職人としての高いレベルを感じさせられたが、中でも「珈琲どら焼き」(写真左)の意外性にあんこハートが鷲づかみされてしまった。
手焼きのどら皮にはコーヒーのいい風味がしっとりと馴染んでいて、中のつぶあんはふっくらと炊かれていて、口に入れた瞬間、いい小豆のそよ風(北海道産)がゆるゆると広がった。
ほんのりと塩気も伴走する。
正直に告白すると、邪道系のコーヒーどら焼きにはさほど期待していなかった。
その分、意外な美味さ・・・これは絶妙なマリアージュとしか表現しようがない。
私的には「アキバのあんこ神」としてかしわ手を打ちたくなった。
●アマビエどら焼き
神田神社で疫病退散の祈祷済み、と表記してあり、これはコロナ禍のことを指しているようだ。思いがこもったどら焼き。
中身はつぶあんのどら焼きだが、やはりどら皮のしっとりとした舌触りがいい。新鮮な卵と蜂蜜の風味がストレートに来る。
中のつぶあんは北海道産×上白糖。
炊き方がプロフェッショナルで、小豆の柔らかな皮と中身(呉=ご)のバランスがとてもいい。添加物などは使用していない。
あんこのボリュームもほどよい。
ちなみに「アマビエ」とは熊本地方に伝わる疫病封じの妖怪。パッケージのイラストがかわいい。
【サイドは?】
●栗娘
蜜煮した栗が丸ごと一個、顔をのぞかせながら、小麦粉の皮と白あん(北海道産手亡豆)に包まれている。
焼き色と一緒になって「こっちにおいで」とささやいているようで、惹かれるように口に運ぶと、やや固めの栗とたっぷりの白あんが、絶妙な舌触りで迫って来る。
ほっこりとした味わい。
私的には栗まんじゅうよりも気に入った。
●栗まんじゅう
こちらは定番の形。栗は刻まれていて、白あんと融合している。フツーに美味しい円熟した栗まんじゅうだが、1個丸ごとの栗娘の若さには負けそう(あくまでも個人的な感想です)。
●松最中
昔からの「松屋」の看板商品。サクサクとして崩れない皮とこってりしたつぶあんが実にうまい。この味を守り続けていることに敬意を表したい。
「和洋菓子 松屋」