これってあんこの新大陸か?
北関東の田園地帯(小山市郊外)に突如出現した、あんこのテーマパーク「AOYAカンパーニュ」に行ってきた。カンパーニュとはフランス語で「田舎」の意味。
隈研吾が設計したモダンな建物に「ほお~」となる。
1階があんこバー(世界初とか)とカフェレストラン。バラエティーに富んだ和洋スイーツ類もきれいに置いてあり、オシャレなスタッフがそれぞれの持ち場で初々しく動いていた。
目を引いたのが「あんこバー」で、えりも小豆のつぶあんや和栗あん、ピスタチオあん、チョコレートあんなど12種類ほどのオリジナルあんこがジェラート屋のように並べられていた。
「ほお~」がまた出かかる。
キリがないので、私が特に気になった2種類の「あんおはぎ」とあんキューブをピックアップしたい。
★ゲットしたキラ星
●あんおはぎ2種
栗あんとさつまいもあん 800円
あんキューブ(つぶあん)200円
※すべて税込みです。
【センターは栗あんおはぎ】
モンブランとおはぎの合体、怪物的創作おはぎ
見た目:まずはその外見に目が釘付け(下の写真㊨)
上から見ると、まさに洋菓子のモンブラン。なんちゅうこっちゃ。
栗あんのペーストと頂上の蜜煮栗(金粉までかかっていた)が和菓子とは思えない。
スケール(デカさ)と重量感。
自宅に戻ってからサイズなどをボディーチェックしたら、重さが177グラムもある。
1個当たり400円になるのでそう安くはない。
驚きはモンブランのすぐ下の世界。
つぶあんのおはぎが丸ごと1個、どっしりと隠れていた。
なんちゅうこっちゃ。
味わい:包丁で切ってみたら、断面がほぼ4層(もち米、つぶあん、2種類の栗あん、蜜栗)になっていた。
栗あんのボリュームが圧倒的。
この栗あんは多分白あんと栗ペーストのマリアージュで、こってりと甘い。
渋皮の点々も見える。オーガニック。
三口めくらいまでは「これはイケる!」だったが、次第に重いため息になってきた(単に個人的な感想です)。怒涛の甘さ。
主役は栗あんでつぶあんは脇役。
金粉の蜜栗のアクセントが意外に光る。
数種類の味わいの変化がおもしろい、と思う。
【セカンドはさつまいもあんおはぎ】
見た目と味わい:栗あんおはぎよりも幾分小さめだが、元が大きいので、やはり重量感がある。
さつまいもあんは白あんと紅あずまを合わせたもので、栗あんほどの衝撃はないと思う。
穏やかで優しい味わい。甘さも控えめ。
すぐ下には同じようにつぶあんのおはぎが丸ごと。
こちらの方がつぶあんをより感じる。
栗あんおはぎが強烈なので、一息ついてから熱いほうじ茶と一緒に食べると、ほっこりとした安心感が広がる感じ。
●あんヒストリー
AOYAカンパーニュが業界の注目を浴びながらオープンしたのは去年(2023年)7月23日。なので、まだ半年にも満たない。とはいえ、小山市の老舗和菓子店「蛸屋総本店」(創業昭和38年=1963年)が母体なので、こうした新しい試みもしっかりとした歴史がある。一説では蛸屋のルーツは伊達藩の和菓子司「赤壁楼」にまでさかのぼるとも言われるが、2017年一時経営破綻、その後外食産業坂東太郎グループの傘下に入る。
【もう一品、あんキューブ】
これは面白い焼き菓子。女性のパティシエがあんこバーの中で焼いていて、ガラス張りなので、その作業を目で楽しむこともできる。
あんこは3種類(こし、粒、白)。サイズは約38ミリのキューブ形。私が食べたのはつぶあんだが、バターカステラの生地と中のつぶあんの塩加減がよく合っていて、いい箸休めになった。
小さめなので何個でも食べられる感じ。
焼き印もクールだと思う。
あんこ好きにとっては田園地帯に出現したあんこのテーマパークのようでもあり、ドライブスルー(国道50号沿い)にも対応しているので、売り方にも新しさを感じる。このチャレンジが今後どうなっていくのか、楽しみでもある。
《小豆のつぶやき》
▼こうした動きはあんこルネッサンスのムーブメントの一つだと思う▼あんこの世界が大きく動き始めている▼SUSHI⇒RAMEN⇒ANKOの時代がくるかも▼とはいえベースは職人の手の和菓子▼伝統と斬新、二極化がさらに進むかもしれない。
「AOYAカンパーニュ」
所在地 栃木・小山市萩島116-1