あんこ旅の途中、前橋で面白いあんこ店と出会った。
日曜増刊号はこの店。
出会いは偶然だった。
たまたま趣味的な洋服店に入り、そのときの雑談の中で、店員さんが「最近できたあんこの専門店で、珍しいおはぎやあんこのエクレアなどもあり、とっても美味しいんですよ」と教えてくれた。
半信半疑のまま好奇心で、その店「あんこもん」に足を運んだ。クールな店名。
前橋にはいくつかいい和菓子屋さんがあるが、ここはまだオープンして半年足らずの店だった。テイクアウト専門のよう。
「あんこもん」の白地の暖簾とメニューボードに目が行った。
ネオあんこの世界かな。
お洒落なカフェのような、明るい店構え。
奥がガラス張りで、女性のパティシエが制作中だった。いい光景。
「あんこで街を元気にしたい」
という文字も見えた。
創作おはぎが目玉のようで、数種類のおはぎが「おいで」をした。
☆金星あんこ:つぶあんおはぎ
〈評価〉丸い、小ぶりの手づくりおはぎで、つぶとこしを白い紙箱に入れてもらう。
それぞれ1個250円(税込み)。コスパ的には微妙な設定だと思う。
だが、これが予想を超えた絶妙なあんこで、特につぶあんはほぼ毎日赤鍋でつくっている、というだけあって、その数時間後、自宅に持ち帰って試食したら、星三つの美味さだった。
北海道産えりも小豆×きび糖。もち米は新潟産みやこがね。
砂糖の量をかなり抑えていて、小豆本来の自然な風味を最大限に生かしていることがわかる。
甘すぎない、むしろ甘さが淡い。
あずきももち米も柔らかく、実にふっくらと炊かれている。
「元々が『あんこで街を元気にしたい』と始めたことなんです。あんこ好きが集まって、あれこれ試行錯誤しながら、理想のあんこを追求して、ようやく店を出すまでになったんですよ」(代表の本橋豊さん)
なので、プロの和菓子職人はいない。
あんこ好きによるあんこ好きのための店、ということになる。
★銀星あんこ:こしあんおはぎ
〈評価〉こちらは白ザラメを使用。しっとりとした、品のいいあんこで、富岡市の製餡所にオリジナルのレシピを渡し、つくってもらっているそう。
こしあんづくりはさらにひと手間かかるので、全国的に製餡所に依頼する和菓子屋さんが増えている。
面白いのはもち米に赤米など雑穀米を混ぜ、その素朴な食感と風味がとてもいい。
こしあんはみずみずしく、舌触りがなめらか。
甘さもかなり抑えている。品のよさ。塩気は感じない。
プロの和菓子職人顔負けの美味しさだと思う。
★銅星あんこ:エクレあん
〈評価〉この店のユニークさがわかる逸品。手焼きのエクレアにこしあんとバタークリームをサンド。1個400円と価格設定はやや高めだが、実際に味わうと、エクレアの焼き加減がとてもよく、こしあんと塩味のあるバタークリームがいい混じり方をしていると思う。
素晴らしき素人のあんこ。そのアイデア力。
「あんこで街を元気にしたい」という思いも加味されて、このチャレンジが成功すると確信したくなった。
😎教訓=ちょっと残念だったのは、他の品書き(スパイスおはぎ、チャパタの気まぐれあんバターなど)が売り切れていたこと。少量生産なのかもしれない。なので、味わうのは次回以降となってしまった。
「あんこもん」