週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

日本最古🤩怪物級「シベリア」食べる

 

・ベ・・ア。

 

宮崎駿監督「風立ちぬでも注目された明治⇒大正⇒昭和にかけて一世を風靡した、不思議な和洋菓子だが、もともとはパン屋さんが作って売っていたようだ。

 

パン焼き釜の余熱を利用してカステラ生地を焼き、間に羊羹を挟んだ、というのが誕生の定説。とはいえ存在自体が謎に満ちた日本独自のミステリーなお菓子だと思う。

特に大正から昭和は全国的な人気だったようだ。

 

作るのに手間がかかるので、時代がすすむにつれて(昭和から平成にかけて)、いつの間にかどこかへと消えていった。

 

あんこ界のすい星のごとく。

 

だが、そんな空白の時間軸にも負けず、今もひっそりと(?)大正モダニズムの詰まったシベリアをつくり続けている筋金入りのパン屋さんがある。

知る人ぞ知る、横浜の「コティベーカリー」

 

最近でこそ、シベリアをつくる和菓子屋さんが増えているが、ここは大正時代創業の手づくりパン屋さん。

 

セピア色(?)のステキな店構え。胸がときめいた。

ここのシベリアがびっくり、想像を超えるモンスター級だった。

 

現存する最古のシベリアだと思う。

😎「シベリア」の名前の由来にはその形態からシベリア鉄道説など諸説あり、定説がない。3代目は「オーバー説」(ようかんがカステラのオーバーを着ている)を採用している。これは面白い解釈、と納得。

 

★ゲットしたキラ星

 シベリア 1個400円

 つぶしあんパン 220円

 こしあんパン 220円

 甘食(2個セット)400円

  ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

重さ160グラム超、分厚い水ようかんをサンド

 

お姿創業当時の作り方のまま、大正時代のド迫力を感じる。

 

とにかく見ていただきたい。

三角形の断面のサイズは100ミリ×100ミリほど。モンスター級のデカさ。重量は160グラム超。

驚きはあんこ(羊羹)部分。横から見たらこんな感じ。

完ぺきな水ようかんで、線路(シベリア鉄道説)からはみ出そうではみ出ていない。その技術力。

測ったら40~50ミリもある。びっくら。

 

2個ゲットしたが、店主(3代目)の手づくりなので、カステラ部分も羊羹部分の厚みも微妙に違う。

 

そこがまた魅力的で、一目であんこころを持っていかれてしまった。

 

味わい:小麦粉と卵と砂糖だけで焼いているというカステラ生地はふわふわしていて、口に入れた瞬間、新鮮な卵の香りが広がって来る。唾液がどんどん出てくる。

 

水ようかん(自家製)は淡く薄い甘さで寒天が強め、濃いあんこ好きには少し物足りないかもしれない。

だが、食べ進むうちに、カステラ生地の素朴な上質の味わいと合体して、タイムスリップ感に襲われた。

 

遠い大正時代の庶民の味覚に近づいていく気がする。

これは不思議な感覚。

 

かなりのボリュームだが、惹かれるように食べ進む。

 

胃にもやさしい。

 

あっという間にどこか夢のような時間が過ぎていく。

 

●あんストーリー

「コティベーカリー」の創業は大正5年(1916年)。現在3代目。3代目によると、初代(祖父)は「日本堂」で修業して暖簾分け。砂糖や小麦粉の国家統制で大変な苦労があったようだ。「喫茶コティ」として再出発。コティとはフランスの香水のブランドで、先代が店名にしたとか。そして戦後、パン屋を再開。店名もそのまま「コティベーカリー」とした。シベリアもパンづくりも初代から受け継がれたもの。凄い歴史。

 

【サイドは?】

こしあんパン表面の真ん中には塩漬けの桜(写真左)。ほぼ銀座木村屋と同じ形。真ん中で切ったら、あんこの量はシベリアほどの厚みがない。

手の匂いのする素朴な焼き色がたまらない

 

サイズは約90ミリ×90ミリ。厚みは30ミリほど。重さは89グラムほど。

 

だが、一口食べたら、パン生地の香ばしさとしっとり感がピタッと来た。

中のこしあん(自家製)は量は少なめだが、存在感が十分にある。

 

なめらかで舌にじんわりと来た。

 

塩気が文字通りいい塩梅。昭和の上質なあんぱん、と感服した。

 

つぶしあんパン:つぶあん北海道産小豆のいい香りがして、柔らかく炊かれている。酒種で発酵させたような、柔らかなパン生地と合体すると、口の中で次第に融け合う感触がとてもいい。

使用している砂糖はすべて上白糖。昔のままの手づくりなので、焼き色が微妙に違うが、それがどこか懐かしさに通じていて、味わいも深くなる。

 

個人的には東京・巣鴨「喜福堂」のあんぱんに通じるものを感じた。

 

おまけ:昔のままの甘食。店主の手の匂いがする、素朴な味わいがたまらない。こちらも食べながらどんどん唾液が湧いてくる感覚で、大正時代のパン屋さんの実力を思い知らされる。何も足さず、何も引かず。継続していることに敬意を表したい。

《小豆のつぶやき》

▼「音楽通り」の一角にレトロな店を構えている▼レンガの壁がモダンで、中に入ると、シベリアやあんぱんの他に美味そうな食パン類も並べられている▼少量生産のようで、夕方には売り切れてしまうことが多いようだ▼3代目はどこか雰囲気が宮崎駿監督に似ていて、柔和の中に芯の強さを感じた▼一日一個限定「ぶどう食パン」も実に美味そうだったが、資金不足で今回は断念▼機会を見つけてまた訪問したくなった。

 

「コティベーカリー」

所在地 横浜市中区花咲町2-63

最寄り駅 JR桜木町から歩約3分