週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

あの村岡総本舗の「シベリア」に驚く

 

本日はとびきりレアなお取り寄せ

 

小城羊羹(おぎようかん=佐賀・小城市)の老舗和菓子屋「村岡総本舗」のシュールなカシューナッツ羊羹」を食べてみたくなって、通販を開いたら、「カシューナッツ羊羹セットA」(カシューナッツ羊羹1本+シベリア2個)が目に入った。

価格も手ごろだったので、すぐに注文した。

 

村岡総本舗は私のひいきの羊羹屋さんで、特に表面が糖化した切り羊羹(紅練り)には目がない。どこでもドアがあれば、小城市まで行きたいが、悲しいかな身内にドラえもんはいないので、もっぱら日本橋高島屋地下で調達している。

 

数日後に手元に届いて、包装を解くと、長い紙箱とどこか大正モダンな小箱(2個)が現れた。

 

長箱はカシューナッツ羊羹、小箱はシベリア。

 

どんな味わいかな。

 

この段階ではセンターは「カシューナッツ羊羹」とほぼ決めていた。

 

★本日のキラ星

 カシューナッツ羊羹 

 シベリア

 Aセット 税込み2162円(送料は別途)

 

【センターはシベリア】

5層の凝った造りと天上の味わい

 

センターにどちらを置くか、カシューナッツ羊羹のはずが、両方を味わってから、迷いが出た。あちら立てればこちら立たず。

 

オーバーに言うと、大谷翔平かジャッジかに近い(笑)。

 

最終的には感動の大きさから「シベリア」を置くことにした。

 

●外観と味は?

昔の牛乳石鹸のような、昭和レトロなデザインの紙箱が2個。

ひと箱を開けてみると、長方形のシベリアが二切れ、きちんと収まっている。

後で調べたら、シベリアには3種類あり、定番の三角形、丸型、そしてこの小箱型があるようだが、これはその小箱型だった。

 

ドリップコーヒーを用意してから、軽い気持ちでひと口。

ん? 舌が驚いた。

 

まずカステラ生地が長崎カステラの名店とほとんど同じ、しっとりとした絶妙な食感で、バターと新鮮な卵の香りが口の中で猛スピードで広がった。

 

さらにサンドされた練り羊羹部分(切り羊羹)の美味さ。厚さが一番厚いところで2センチ前後はあるか。分厚い。

私の知っている、表面が糖化した切り羊羹よりも柔らかい。

 

いい小豆(北海道産)の風味が来た。

 

予想越え。あまりの美味さに言葉がすぐには出てこない。

 

餡ビリーバブルって感じ🤩。

 

●5層の凝り方

はじめは気が付かなかったが、よく見ると、このシベリアはカステラ生地を含めて5層になっていて、中央の練り羊羹つぶあんの層がサンドしていた。

 

境目がわからないほど。技術力。

これはすごい。

 

引かれるように食べ進むと、私がこれまで食べたシベリアの中でもこれは別格だな、と感心させられた(もちろん個人的な好みです)。

 

全体的にはやや甘めだが、蜜の気配が潜むカステラ生地と2層のあんこと切り羊羹が舌の上でよどみなく絡み合って、とろけ合う。

練り羊羹の美味さはわかっているが、自家製つぶあんの美味さにほお~が出かかる。

 

小豆の皮まで柔らかく炊かれていて、甘すぎない。

 

くちどけの良さ。あんこの幸せホルモンにしばし包まれる・・・。

 

●シベリアの不思議

本店に問い合わせてみたら、発売は2年半以上前とか。

 

5層にするアイデアは村岡総本舗独自のものだった。

 

創業が明治32年(1899年)。現在4代目。

 

シベリアは不思議な和洋菓子で、明治末から大正にかけて、日本のどこかで誕生しているが、詳しくはわからない。ネーミングも含めて諸説あるほど。当時は超人気商品だったようだ。

 

宮崎駿監督「風立ちぬ」の中にも登場していて、一部に根強いファンもいる。

 

普通のシベリアは3層だが、これは5層。

 

しかも自家製あんこのボリュームと質の高さ。

餡づくりの砂糖は「白ざらを使ってます」とか。

 

私的にはシベリアはB級の和洋菓子(このポジションも大好きです)だったが、このシベリアに出会って、見方が少し変わった。

 

せめて発売直後に食べておくべきだった、と少々後悔。

 

遠かったシベリアがぐっと近くなった。

 

【セカンドはカシューナッツ羊羹】

1本のサイズは長さが約188ミリ、幅50ミリ、厚さ23~25ミリ。

 

驚かされるのはカシューナッツがそのまま丸ごとぼこぼこと入っていて、それが練り羊羹とちゃんとコラボしていること。大胆。

表面がうっすらと糖化していて、カシューナッツがアートにさえ見える。

創作羊羹のジャンルは和菓子の新しい大陸で、全国の老舗和菓子屋さんが様々なチャレンジをしているが、これも従来の発想を超える代物だと思う。

 

カシューナッツのカリっとした歯ごたえと独特の風味。

 

それが昔ながらの伝統製法の練り羊羹と不思議に融合している。

カシューナッツ効果か、全体的に甘さが控えめ。

 

なので、コーヒーにも合うし、お酒にも合いそうだ。

 

特にウイスキーなど蒸留酒とのマッチングを試してみたくなる。

 

伝統を守りながら、新しさに大胆に細心にチャレンジをしている。

 

江戸時代から長崎街道(シュガーロード)」(長崎・出島から江戸へ物流のルート)の中継点だった小城市

 

進取の気性はそのあたりから遺伝子として存在しているのかもしれない。

 

そこに和と洋の融合の土壌を見ることもできる。

 

「村岡総本舗本店」

所在地 佐賀・小城市小城町861

※下の写真(本店)は4年前に訪れたときのものです。