週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

究極の水ようかん⁉「三ツ山vs吉田屋」

 

水ようかんのおいしい季節なので、久しぶりに水ようかんのメッカ東照大権現が眠る日光へ。

 

約2年前に「綿半」と「鬼平の食べ比べを決行したが、コロナ禍はまだ治まっていない。

 

syukan-anko.hatenablog.jp

 

今回は2年ぶり第2弾と意気込んだが、果たしてどうなるか、家康大権現でもご存じあるめえ(などと軽口をたたいてみる)。

胃袋と予算の関係で今回も2軒(日光でも有数の名店)をピックアップした。

 

三ツ山羊羹本舗vs吉田屋、と対決形式も悪くはないが、むしろ食べ比べてみてどっちが私の好みに近いか、こっそり判定しようと思った。

冷蔵庫で約1時間ほど冷やしてから試食することに。たまらない時間。下の写真右が三ツ山羊羹本舗、左が吉田屋のもの。

今回この2店を選んだことに大きな理由はない。位置的に店舗がほぼ向かい合っている、というのが理由の一つだが、この2店の食感がズバリ私の好みということもある。いずれがアヤメかカキツバタって感覚が近い。

 

・パッケージ

 三ツ山羊羹本舗:明るい藤色のしゃれた包みとデザイン。折詰ふうが庶民的。

 吉田屋:深緑色の重厚な包み。紙箱は厚手で、いかにも老舗を感じさせる。

・価格(5本入り)

 三ツ山羊羹本舗:800円(税込み)

 吉田屋:820円(同)

・水ようかん本体

 三ツ山羊羹本舗:箱を開けると、透明なビニールで覆われた滴るような水ようかんが現れる。色がくっきりとした濃い小豆色で、一目でレベルの高さを感じさせられる。

 吉田屋:両方並べないとその微妙な違いはわかりにくい。色はむしろ藤色に近く、微妙に大きい(実際、重さを量ったらこちらの方がほんの少し重かった)。

・創業年

 三ツ山羊羹本舗:明治後期。現在3代目だが、4代目も修業中。

 吉田屋:明治初期。現在5代目。

 

【今回のセンター】

三ツ山の水羊羹のこしあん力vs吉田屋の寒天力

本体を二つ並べると、ほんの少しの違いがわかるだろうか?アップにしてみた。 右が三ツ山、左が吉田屋。三ツ山の方が微妙に小豆色が明るく濃厚に出ている。

容姿はどちらも同じくらい好み(としか言いようがない)。

 

だが、食べてみると、その違い(どちらが上とか下とかではない)が少し見えてくる。

 

三ツ山:みずみずしさの奥からこしあん(小豆)のいい風味がゆっくりと立ちあがってくる。雑味がない。3代目のお話。「ようかんは何といっても小豆です。国産のその時々のいいものを使ってます。塩は使ってないんですよ。これは私の方針です」とか。小豆の美味さを引き立てることに注力している。砂糖は上白糖。寒天は長野産。

吉田屋すっきり系のみずみずしさで、三ツ山に比べると、小豆の存在は気持ち薄め。舌の上ですっと溶ける感覚はどちらも同じだが、余韻が違う。こしあん力と寒天力の違いとも言えるかな。小豆は北海道産、砂糖は上白糖、塩を少し加えている。寒天は長野産。

・好みはどっち?

水ようかんとしてはコスパも含めてどちらも素晴らしく、最初のアタックはどちらもメチャみずみずしい。日光の湧水を感じさせる。こしあんと寒天のバランスが絶妙で、甘さが実にほどよい。

その上で。これはあくまでも個人的な好みの問題だが、私的には三ツ山の秘めたこしあんにあんこセンサーがピピと動いた。雑味のない、いい小豆が口の中で融け合い、ささやき合い、じわりと広がってくる感じ。

「小豆の美味さをいかに引き出すかが何よりも大事」との3代目の言葉が印象に残った。今も現役の羊羹職人でもいらっしゃる(息子さんが4代目)。

 

・結論は出るか?

コクのある水ようかん好きなら三ツ山。スッキリ系がお好きなら吉田屋。無理やり分類すると、こんな感じになる。私は気持ち三ツ山推しだが、これはあくまでも好みの問題でもある。

 

蛇足:日光の水羊羹のコスパは改めてすごいと思う。店によって少しずつ味わいが違うが、5本入りで800円前後。レベルの高さを考えると、これだけ無添加の水ようかんを作っている店が門前のメーンストリートに集まっているのは多分、全国的にも珍しい。7~8軒ほど。私の大好きな「羊羹の町」佐賀・小城市もこと水ようかんに関しては日光に届かないのでは? リーズナブルで美味い、は無敵だと思う。

 

「三ツ山羊羹本舗」

所在地 栃木・日光市鉢石町914

「吉田屋」

所在地 栃木・日光市鉢石町903

※どちらも東武日光駅(JR日光駅)から歩約20分