めっきり秋らしくなってきたが、あんこの女神がほほ笑む季節、でもある。
本日はジョージ(吉祥寺)の和菓子屋さんで見つけた「利久豆腐」と「冷やしぜんざい」を取り上げたい。
昔、近くに住んでいたので、よく遊んだ街。
久しぶりにヨドバシ吉祥寺(近鉄百貨店があった場所)の裏手をブラ歩き(あんブラ)していると、オシャレな和菓子屋さんがほほ笑んだ(気がした)。
「菓匠 京右近」の看板。きょううこん・・・京都の流れかな?
塩豆大福、どら焼き、栗むしなどなどの品書き。
おいしそうな生菓子が並んでいたが、胃袋と懐具合の縛りがある。
調べてみたら、創業は平成14年(2002年)。比較的新しい。
女神? 若い、今どきの女性スタッフ(女将さんかな)が応対していた。
店名から店主は京都で修業したのかな、と聞いてみたら「いえ、東京です」と言葉少なめ。店内撮影もやんわりと断られた。
最近では珍しいが、ひと昔前はこういう骨のある(?)店が多かった気がする。
嫌いな反応ではない。逆に期待がふくらんだ。
★ゲットしたキラ星
利久豆腐(ひと箱) 1480円(税込み)
冷やしぜんざい 390円×2個
【センターは?】
丹波大納言の冷やしぜんざい
当初は木箱に納まった「利久豆腐」をセンターに置き、ついでに購入した「冷やしぜんざい」をセカンドかサードにするつもりだったが、前回の「村岡総本舗」と同じ展開になってしまった。目がない?
「丹波大納言小豆」を使用した冷やしぜんざい(無添加)の美味さにあんこハートがときめいた。
丹波大納言をじっくりと煮詰めた、あまりにシンプルな一品だが、器に移してからじっくり観察すると、色といい、艶といい、予想以上に見事なもの。
ひょっとして究極に近い煮あずき、かもしれない。
大納言小豆なので、食感はどうかな、と思いながら口に運ぶと、一粒一粒が形がしっかりしているのに、皮まで柔らかく煮詰められている。
ふくよかな凝縮、とでも表現したくなる。
時間をかけてじっくりと炊いているのがわかる。
甘すぎない、丹波大納言の上質な風味とコク。沁み込むような蜜。
砂糖はまろやかな「ビート(てん菜糖)」を使っているそう。
そのせいか甘すぎない。
ほんのりと塩気も後から追いかけてくる。
余韻も長い。冷たい美味にしばらくは夢心地。
ありそうでなかなかお目にかかれない代物だと思う。
主役より脇役のいぶし銀にこそ目を、と反省しながらつぶやいた。
【セカンドは利久豆腐】
木箱に入った凝った造りで、「利久」という文字を入れるのだから、自信作だと思う。
見た目は水ようかんだが、吉野葛(よしのくず)と寒天を加えていて、何とか包丁を入れて切り分けると、ぷるぷる感がある。
思ったよりもこしあんの存在感が隠れている。儚さ(はかなさ)が特徴かも。
葛の存在感の方がむしろ大きいと思う。
全体的には甘さも薄めだが、黒糖(沖縄産)の風味がやや強め。
よく言えば上品だが、私的にはちょっと物足りないかな。
「豆腐」という表現は面白い。
2年ほど前、会津・猪苗代町の名店「豊玉(ほうぎょく)」で出会った「小豆ほのか豆腐」とよく似ているが、あちらはグラニュー糖で、こちらは黒糖を使用。
賞味期限は2日だが、添加物も使っている。個人的にはここは少々残念。
「冷やしぜんざい」ほどの感動の波は来なかった。
とはいえ、「住みたい街ランキング上位」のジョージで、こういうシャレた、ある種正統派の和菓子屋さんに出会えたこと、これは収穫と言わざるを得ない。
「菓匠 京右近」
最寄り駅 JR吉祥寺駅北口から歩約5分