週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

三度目の正直😎小倉屋「豆大福&大福」

 

水戸に東京三大豆大福に負けない大福専門店がある、という噂を聞き付けたのは約3年前の冬。

 

品書きは豆大福と大福だけ、というコアな、ある意味では強気の大福屋さん。

 

午前中に売り切れてしまう、という情報も耳に届いている。

 

予約しないとゲットできないとも。

青春18きっぷを使い、のんびりと電車で行こうと、前々日に電話したが、なかなかつながらない。

 

ようやくつながったと思ったら、店主らしきお方が、「不便な場所なので、電車じゃちょっと無理ですよ」と素っ気ない。

 

二度目はつい3か月前ほど。満を持して1週間前に予約しようと電話したら、「当日朝か前日にお電話ください」とこれまた素っ気ない。

 

で、三度目の正直。みちのくあんこ旅の帰りにようやく立ち寄ることができた。今回はクルマ。言われた通り前日に予約を入れておいた。

 

幻の豆大福を求めて三千里、の気分。

これで味がもう一つだったら、なんだかなあ、と阿藤快さんの口調でつぶやいてやるぞ、とちょっぴり複雑な気分になったのも事実ではある。

 

とはいえハードルが高いほど挑戦したくなる。あんこ狂のサガ(笑)。

 

店はシンプルな一軒家で、白地の暖簾に「豆大福」の墨文字。端に小さく「小倉屋」と小豆色で表記してある。

東京の御三家、護国寺群林堂」や泉岳寺「松島屋」、原宿「瑞穂」ほどの渋い店構えではない。

 

歴史が浅いのかも。

 

そんなことより問題は2種類の味わい。

 

・ゲットしたキラ星

 豆大福 150円(税込み)×2個

 大福もち 150円(同)×2個

 合計 600円也

 

【センターは?】

豆大福のレベルは予想以上だった

 

午前10時半に到着。先客は3組ほど。入り口に「お一人ずつお入りください」と書いてある。

三度目の正直で何とかゲット。ウルウル。

 

「本日中にお召し上がりください」

 

と女性スタッフ。朝ナマの王道でもある。

ガラス窓から見えるのは作り立ての豆大福と大福もちの行列。いい光景。

 

奥が見えないが、どうやら店主がフル回転で作業しているようだ。

 

で、その約5時間後、自宅に戻ってから、包みを解き、ついにご対面となった。

迷ったが、ここはやはり豆大福をセンターに置くことにした。

 

●形状は?

手に持つと指の跡が付くほど餅の柔らかさがすごい。

 

早朝から搗(つ)いているのがわかる。

 

赤えんどう豆がぼこぼこ。

たっぷりの餅粉のかかり具合が店主の手を感じさせる。

 

東京三大豆大福の中では泉岳寺 松島屋」に近い印象。

 

素朴な洗練、と表現したくなる。

 

手に持つとずしりと来る。

直径約60ミリ×厚み(頂上部)35ミリほど、重さは93グラム。

●味わいは?

店のスタッフによると、あんこはどちらもつぶあんのみ。こしあんはないそう。

たっぷりのつぶあんはみずみずしく、ふくよか。

ほんのり塩気があり、小豆の皮が歯にかすかに感じるほど、絶妙に炊かれている。

 

スタッフによると、小豆は北海道産、砂糖は店主が作業中だったので、聞けずじまいだったが、適度な濃厚さから上白糖ではないか。

 

艶と透明感のある、雑味のないあんこ。甘さもほどよい。

赤えんどう豆は大き目でふっくらと炊かれている。

 

塩気もあり、この赤えんどう豆はかなりのレベルだと思う。

 

柔らかすぎるほどの餅と三位一体の味わいにしばし酔いしれる。

群林堂のような、ある種の野暮ったさはない(もっとも群林堂はそこが魅力でもある)。

 

むしろ万人向けの「これはおいしいのう」と思わず言葉が漏れる、妙な例えだが、豆大福界のMISIAのような味わいだと思う。

確かに東京三大豆大福にそれほど負けていない、と思う。

 

コスパもいい。

 

創業はそう古くはなく「20年くらいです」とか。

 

女性スタッフによると、店主のルーツはひたちなか市の和菓子屋さん(ご実家)で、面白いことに、弟さんは「おはぎ専門店」を営んでいるそう。

 

兄は大福、弟はおはぎ。

 

折を見て、そのおはぎ屋も行きたくなった。

 

【セカンドは?】

これはおのずと「大福もち」になる。

大きさは同じだが、重さが89グラムほど。ほんの少し軽い。

餅の柔らかさは豆大福よりもむしろしっかりしていて(それでもかなり柔らかい)、中のあんこは同じつぶあん

 

ピュアな大福餅で、あるいはこちらの方が好みというファンも多いかもしれない。

いずれにせよ、どんどん唾液が出てくる、上質の豆大福と大福もちで、あっという間に3個ぺろりと胃袋に消えていった。

 

クセがない分、和菓子が苦手な人でも食べやすいと思う。

 

食べ終えてから、これは豆大福界の助さん格さんだと合点した。

 

水戸のご老公はいずこへ?

 

「小倉屋」

所在地 茨城・水戸市笠原町101-5

最寄り駅 JR水戸駅だが、距離があるので、クルマがお勧め。