関西あんこ旅の目的の一つが大阪「出入橋きんつば屋」(でいりばしきんつばや)本店。
約4年前のこと。コロナで緊急事態宣言が出かかったころ、私は大阪で和菓子屋巡りの真っ最中だった。今思うと紙一重のあんこ旅だったと思う。
本店には行けずに北浜店で「噂のきんつば」を賞味した。
あまりの美味さにきんつば界の「西の横綱」と勝手に命名した(東の横綱は東京・浅草「徳太楼」を置いてみた)。
今回、ようやくその本店の暖簾をくぐることができた。
昭和5年(1930年)創業の、いぶし銀の店構え。現在3代目。
ご高齢の女将さんと女性スタッフ、奥に3代目の姿がちらと見えた。
きんつばを熟練のワザで手づくりしている光景にあんこころがときめいた。
いい匂いが充満している。
店内には甘味処スペースもあり、そこで「名代きんつば」を味わうことにした。
★ゲットしたキラ星
ぜんざい 600円
きんつば 350円(3個)
【センターは】
ぜんざい:とろけるつぶ餡と焼き餅の絶妙
寒波の影響でめっきり寒かったので、品書きから「ぜんざい」を選び、「きんつば」(一人前3個)と二刀流で楽しむことにした(あんこ天国の鐘がなる?)
出入橋きんつば屋でぜんざいを賞味するのは初めて(北浜店、あずき庵も含めて)。
テーブルの椅子にリュックをポンと置いたら、女将さんに「リュックに和菓子が入ってまっか? 椅子にポンと置いちゃあきまへんで」とたしなめられてしまった。和菓子に対する深い敬意を感じて、穴があったら入りたくなった。恥ずかしい(汗)。
3~4分待ちできんつばが置かれ、続いてぜんざいがやって来た。
まずはぜんざいを賞味。
年季の入ったお椀の蓋を取ると、湯気とともにつぶ餡の海が現れた。わお。
中央には大きめの焼き餅が1個。焼き色が素晴らしい。
箸休めは塩昆布少々(少々のさじ加減がとてもいい)。
フウフウしながらどろりとしたつぶ餡をひと掬い。口に運ぶ。
北海道産小豆をじっくりと炊いた、絶妙な柔らかさと塩加減がほんわかと来た。
最強タッグと言いたくなるあきれるほどの美味さ。
あずきのいい風味がが口いっぱいに広がる。
焼き餅がパリパリから次第に柔らかくなってきて、つぶ餡を引き連れて伸びやかに口の中に入ってくる。
手が止まらない。
控えめな甘さが小豆本来の美味さを引き立てる。
熱いほうじ茶と塩昆布で興奮を静める。うめえ。
【サイドは】
きんつば:これは東西を超えた頂上の味わい?
焼きたてを食べる。
堂島の一角で、このぜいたくを味わわせていただいた。
ほぼ真四角の小ぶりなきんつばだが、膜のような薄い皮とつぶ餡のマリアージュが私的には極楽と言いたくなる美味さ。
小豆の粒つぶがしっかり見えるのに、歯に引っかからない。
そのとろけるような舌触り。
かなり控えめな甘さ。
塩加減の絶妙。
寒天も使っているはずだが、寒天の気配が隠れている。
好みの問題だが、余韻も含めて、あんこの美味さが究極に近いのはこちらかもしれない(個人的な感想です)。
きんつば山脈の頂上で、幸せホルモンに包まれて、女将さんとの会話をしばし楽しむ。
大阪の底力はこのきんつばに詰まっている? そんな気さえした。
「出入橋きんつば屋」本店
所在地 大阪市北区堂島3-4-10
最寄り駅 地下鉄西梅田駅から歩約5分