東京・赤羽で昼飲み会議の後、夕暮れ時。
川口駅で途中下車した。
目的は「太郎焼本舗」。
昭和28年(1953年)創業、主に関東周辺に存在する太郎焼きの親分みたいな存在。
一般的には今川焼き、大判焼き、西日本では回転焼きとも称される、小麦粉ベースの皮とたっぷりのあんこが勝負のシンプルな焼き菓子。
私はたい焼きも大好きだが、こちらの方にシンパシーを感じる。
発祥は江戸時代中期に神田今川橋付近で売られていたというのが定説だが、諸説ある。
たい焼きよりも歴史的に古い(たい焼きは明治以降)。
ここでは今川焼とは言わず、太郎焼きと称している。
個人的にはUFO型の今川焼、と呼びたくなる。
JR川口駅の真下がホームグラウンド。
酷暑の夕暮れが真っ赤に伸び始める。
彼方からあんこのUFOが出現しそう(外したかな?)。
そんなシチュエーションを重ね合わせたくなる。
★ゲットしたキラ星
太郎焼き(従来の甘さ) 170円
新太郎焼き(甘さ控えめ) 170円
冷やししるこ 280円
※すべて税込み価格
【センターは?】
自家製つぶあんが濃淡2種類、その圧倒
甘さが二段階、2種類のつぶあんというのは珍しい。
・従来の甘さ
川口名物と銘打つだけあって、焼き印は川口市の市章(川をイメージ).
大きさは目測で60ミリ×60ミリほど。厚さは30~35ミリはありそう。
今川焼きは焼きたてが何といっても一番おいしいと思う。
なので、今回は駅のターミナルで味わうことにした。
こういう食べ方もクールではないか?
以前、京都「神馬堂」の焼き餅を同じ食べ方で食べたが、冷めてから食べるのとひと味違うのが面白い。
職人さんが目の前で焼くのを見ながら、幾分涼しい場所を選んで食べる。
味わい:薄い皮のもちもち感と濃厚なあんこ
やや濃いめのきつね色。手で二つに割ると、艶やかなつぶあんがあふれ出そうで、口に運ぶと、確かに甘め。テカリがすごい。それらが柔らかな小豆を押し出すように迫って来る。いいね。
小豆は北海道産、砂糖はグラニュー糖を使用しているとか。
もちもち皮にほんのり焦げ目があり、それが濃厚なあんこを強調している。
塩気もある。
フツーに食べたら、秋口から冬にかけて、心までほっこり来そう。
だが、残暑がきついので、汗を意識しながらの賞味がやや重くなる。
これはこれであり、の楽しみ方だと雑踏の中の試食を楽しんだ。
・甘さ控えめ
こちらは「新太郎焼き」と表記してあり、甘さが3割ほど抑えてある。
表面の焼き色もどこか薄め。
味わい:手で二つに割ると、同じようにつぶあんがこぼれ落ちそうなほど詰まっている。
従来の太郎焼きよりもあんこが淡い。よりオーガニック感。
だが、口に入れると、こちらの方が北海道産小豆の自然な風味が広がった。
塩分も少ない気がする。
小豆の柔らかくてきれいな風味がここちよい。
何よりもあんこの美味さがドドと迫って来る。
濃厚(太郎焼き㊦)と淡麗(新太郎焼き㊤)。
私の好みは小豆の風味をより感じる新太郎焼き。
【サイドは冷やししるこ】
重さはプラスチック製の器込みで247グラムほど。
蓋を取ると、白玉が4個。ドロリとしたつぶあんの海に浮かんでいる。
あんこ自慢の店だけにつぶあんは濃厚で、塩気もある。
冷蔵庫で冷やしておいたので、スプーンで掬ってから舌にのせると、甘味処の冷やしぜんざいに負けない美味さ。風味。
素朴なつぶあん。
白玉は少しだけ固くなっていたが、冷たさがその固さを和らげる。
結構なボリュームなので、フツーに考えれば、夕食前のデザートとしてはきついかもしれない。
だが、あんこ好きなら、これが無上の口悦となる。愛の変換(笑)。
酷暑のなかの太郎焼き2種類と冷やししるこのクロスプレー。
路上のあんこ、たまらん。
《小豆のつぶやき》
▼今川焼きの中でも「御座候」(本社・姫路市)や「博多屋」(東京・町屋)はあんこの美味さが私の好み▼私にとってはコスパも含めて東西の両横綱、と言いたくなる▼「太郎焼き」は番付風に言うと東の大関格▼もちろん個人的なランク付けだが、たい焼きの人気に比べて今川焼の人気は低い▼なので「およげ! たいやきくん」からもうすぐ半世紀、次はあんこUFO「空飛べ! 今川焼きくん」と言いたくなる。▼宇宙人もあんこ好き。想像するだけで楽しくなる。
「太郎焼き本舗」
所在地 埼玉・川口市栄町3-7-1駅ビルキャスティ1F&3F
最寄り駅 JR川口駅すぐ