週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

驚きのつぶあん🤩幻の田舎饅頭を追う

 

100の言葉よりも実物を見ていただきたい。

この炭酸まんじゅうを初めて見たとき、目が吸い込まれそうになった。

 

一見、フツーの田舎まんじゅうにも見えるが、そうではなかった。

 

最初のアタック:皮生地のもちっとした手触りと重さ。柔らかなつぶあんの予感。私のあんこハートがピコピコときめいた。

手で割ると、見事なつぶあんがぎっしり。青紫色のあんこ!

 

奥に芳醇な小豆色。その折り重なるような美しさにしばし息を吞む。あんこのかぐや姫かいな?

これはすごいな。

 

口に入れたら、実に柔らかな、香り立つようないい小豆の風味がビッグバン的に広がって来た(表現がとても追いつかない)。雑味がない。

 

オーバーだと思うかもしれないが、このレベルのあんこに出会うことはそう多くはない。私にとっては餡ビリーバブルな出会い。

 

事の発端:先月のこと。みなかみ町の温泉旅館に宿泊した際、女将さんから「これ、よかったら食べてみてください。たまたまうちのお客さんが持ってきてくれたもので、土日のみの販売で、すぐに売り切れちゃうらしいんですよ。詳しいことはわかりませんが、すごい人気みたいですよ」

 

私が大のあんこ好きで、暇にまかせてあんこ旅を楽しんでいると夕ご飯の席で話したことで、親切な女将さんが気を利かせてくれたという経由になる。

 

その段階では詳しい店名も所在地もわからない。

 

その数日後、渋川市周辺でつくっているらしいことなど数少ないヒントを追ってシャーロック・ホームズにでもなった気分で、ベールに包まれた幻の饅頭を探した。

 

で、先日。何とかその饅頭屋さんを突き止め、連絡を取り、クルマを飛ばした。

秘境と言いたくなるような場所。心細くなるほど細い山道を走る。「まんじゅう さちあん」の看板を見つけるまで、ちゃんとたどり着けるか不安だった。今が2023年9月であることを忘れそうになるほど。まさかの場所。

 

★ゲットしたキラ星

 炭酸まんじゅう 140円×2個

 金時塩まんじゅう 150円×2個

 おはぎ 140円×2個

 豆大福 140円×2個

 ※炭酸まんじゅう以外は少量生産。すべて税込み価格です

 

【センターは?】

手づくりつぶあん×皮生地のとろけ合い=小天国

 

編集長「多分、全国的には無名だと思うけど、こんなすごい炭酸まんじゅうが群馬・渋川市郊外の秘境みたいな場所で手づくりされていることに驚かされたよ」

 

あん子「ホント信じられない場所だったわね。オーバーに言うと、週刊あんこ史上に残る一つの発見、と言いたくなる(笑)。編集長の半音ズレた興奮がおかしかったわよ(笑)」

編集長「いいものに出会ったときは正直に興奮しなくっちゃ(笑)。田舎まんじゅうの分野では、東京・三ノ輪『おし田』に匹敵するくらいの驚きの美味さだよ。あくまでも個人的に、だけどね(笑)」

syukan-anko.hatenablog.jp

 

あん子「ドンピシャ好みだったわけね。『おし田』のつぶあんも紫色がかったすごいあんこだったわね」

 

編集長「取材交渉の過程はややこしいので省くけど、何度かアポを取って、仕事中に時間を少し取っていただいて、店主の幸子さんにお会いできたことは予想外の収穫だったよ」

サイズは手づくりなので少しずつ微妙に違っているが、以下の通りだった。

・75ミリ×75ミリ。厚みは40ミリほど

・重さ126グラム(もう一個は120グラムだった)

炭酸まんじゅうなので、生地は少し黄色みがかっている。

 

賞味期限が無添加づくりなので、当日中」。なので、ゲットしてから約5時間後の賞味となった。

味わい:まず皮生地の美味さ。ふかふかともっちり感が見事に凝縮していて、噛んだ瞬間、素朴な小麦粉の風味が広がり、口の中でほどけるように溶けていく。

主役の濃い青紫色のつぶあんは渋切りや炊き方が絶妙で、その日の小豆の状態(希少な北海道産しゅまり小豆)や気温などを勘案して、一気に煮上げる。

 

空気に触れれば触れるほどあんこの味が落ちるんですよ」とか。砂糖はグラニュー糖。

 

甘さを抑えて、ほんのりと塩を利かせる。絶妙な塩梅。

仕上げたあんこは一日寝かせる

 

独特のこだわりと熟練の技。

 

その細心さによって、ふっくらとした粒と半透明の呉(小豆の中身)が絶妙に混じり合い、ほとんど爆発的な美味さにつながっていると思う。

 

●あんヒストリー 創業は平成6年(1994年)。試行錯誤しながら、理想のあんこづくりに取り組む。「あんこは赤くなければいけない」という固定観念を破り、「紫色こそ最高のあんこ」という境地に達するまで相当な年月がかかったそう。コアなファンの多さがその美味さを裏付ける。娘さんの夫(つまり義理の息子さん)とともに独自のあんこづくりと饅頭づくりに励んでいる。

 

【サイドは?】

金時塩まんじゅう:塩気が強めで、どろりとした金時豆の柔らかさが際立っている。定番のつぶあんとは別の醍醐味を生んでいる。こちらもめちゃウマ。少量生産なのでゲットできるのは限定的となる。

おはぎ:つぶあんの美味さともち米(新潟産わたぼうし)のマッチングがワンランク上質。つぶあんの豊潤がとてもいい。これも少量生産。

豆大福:こちらも少量生産。やや固めに、それでいてふっくらと炊かれた赤えんどう豆と搗きたての柔らかな餅、主役の見事なつぶあんが絶妙に支え合って、東京の豆大福の名店に負けない味わいを生んでいる。

 

《小豆のつぶやき》

▼もしみなかみ町の旅館で出会わなかったら、と思うと、運命のいたずらに感謝したくなる▼店舗を持たず、直売所中心の売り方(基本的に土日のみ)なので、ゲットしにくいが、ホームページから置いている店を探すことはできる。

 

「さちあん」

所在地 群馬・渋川市赤城町

●ホームページ(公式サイト)は以下の通りです。