紅葉が一番きれいな時期だというのに、コロナ禍などで以前ほど気楽に京都に行くことができない。くやしいね。
紅葉を見てから死ね、とはいきそうもない(苦笑)。
なので、お取り寄せすることにした。
創業が享和三年(1803年)の京菓匠「鶴屋吉信(つるやよしのぶ)」の季節限定品「紅葉詰合せ」に狙いを定めた。
雑誌やメディアの特集などでも紹介されているので、ご存知の方も多いのではないか。
「秋襲(あきがさね)」が一棹。それに「つばらつばら」が5個(2個だけ栗入り)。
名称が京和菓子の雅な世界で、実際どんなものか、手に取って食べてみるまでわからない。奥ゆかしすぎる。
まずは「秋襲(あきがさね)」。
「夜の梅」のような小豆羊羹と紅葉をモチーフにした錦玉羹(琥珀羹=こはくかん)で二層になっていて、ビジュアル的にも「わっ、きれい」としばし見とれるほど。
重さは330グラムほど。
下の層(約3分の2)が小豆羊羹で、丹波大納言小豆を使っているようだ。
洗練というより素朴な、懐かしさのある小豆羊羹という感じ。
甘すぎず、緩すぎず。大納言の風味も素朴に広がる。
底の部分がうっすらと白く糖化していて、そのじゃりっとした食感が私の好み。
上の層が紅葉の錦玉羹で、赤と黄、橙色の紅葉が琥珀色の透明な寒天の中に閉じ込められている。技術の高さ。
紅葉自体は白あん(備中白小豆か手亡かは不明)に紅麹やクチナシで着色したもの。
京都の和菓子職人の粋も感じる。
以前ご紹介した会津若松の「羊羹ファンタジア」は、多分、この錦玉羹を参考にしてさらに工夫を重ねたものだと思う。
もう一つ、「つばらつばら」は小ぶりなどら焼きに近い。
二つ折りにしていて、米粉を加えたもっちりした皮と中のあんこ(つぶあん)がマッチしている。あんこは甘め。
「つばらつばら」とは、万葉集から取ったネーミングで、「しみじみ」とか「つくづく」の意味。物思いに沈んでいるさまを表しているとか。
ちょっとちょっと、と言いたくなる凝り方。京都らしいと言えば京都らしい(笑)。
今回は京都本店に直接電話で注文したので、特別に季節限定(本店でしか売られていない)の栗入りを2個だけ追加することができた。
この栗入り。あんこはつぶあんではなく、こしあん。大きめの栗のかけら(多分丹波栗)が入っていて、これがいいアクセントになって、美味さをさらに引き立てている。余韻もきれい。
京都に行かなくても、京都の紅葉と晩秋をしみじみと堪能できる。
コロナ禍も悪いことばかりではない。
【今回のお取り寄せ】
紅葉詰合せ(栗入りは料金上乗せ)2400円
送料+代引き手数料 1200円
消費税 312円
合計 3912円