緊急事態宣言から今日で8日目。考え方を変えて、自粛=引きこもり生活をそれなりに楽しむことにした。
その一つ。
ズバリ、あんこに浸る。
あんこの女神(勝手にそう呼んでいる)杏ちゃんの動画を見て、心が洗われる。加川良の「教訓1 命を捨てないように」を選んで生ギターで歌うなんて、この子、やっぱり只者ではない。画面左手には絵本を見る3歳の娘さんの後ろ姿。
あんこの天使、かもしれない。
今回は緊急事態特別編。ほっこり気分のまま、きんつば界のほっこりを取り上げることにしよう。
私的には東の横綱が浅草「徳太楼(とくたろう)」なら、西の横綱は大阪の「出入り橋きんつば屋」である。その北浜店。
それがこれ。手のいい匂いのする絶妙きんつば、だと思う。
一皿3個で、360円(税込み)なり。イートインで食べる。
とにかく焼き色がすごい。まだら焼き。皮のもっちり感にホーッ、となる。徳太楼の乳白色のきれいなきんつばとは別の世界。対極とも言える。
透けて見えるたっぷりのあんこ。ドキドキ感。
そのあんこがとてもいい。柔らかく炊かれた北海道産大粒小豆とこしあんをブレンドしたような、絶妙な配合で、控えめな甘さの中に小豆のいい風味が、渦を巻きながら春風となる。
野暮と紙一重の皮と洗練されたあんこ。その対比が見事だと思う。
ほんのりと塩気が奥に控えている。
徳太楼のような寒天の多さは感じない。
味にうるさい大阪で「名代きんつば」を名乗るだけのことはある。
「出入り橋きんつば屋」の創業は昭和5年(1930年)。現在3代目だが、この北浜店はそこから暖簾分け。3代目のお姉さん(妹さんかも)が約3年半前にオープンさせたもの。
面白いことに3代目のお兄さんは暖簾分けで船場「あずき庵」を開いている。
数年前にそこを訪ねたが、本店と同じ作り方で、味わいも美味さも同レベルだった。
熟練の、見事な職人ワザだった。
じっくりと炊いたあんこを一晩冷ましてから、翌日、四角く切り分ける。それを溶いた小麦粉にくぐらせてから、一個一個丁寧に焼いていく。
北浜店も同じ手作業で、見てるのも楽しい。
「塩気がポイントなんですよ」(北浜店女性店主)
ほっこりとしたいい余韻。うれしくなって、帰り際、「きんつば番付、西の横綱ですね」と言ったら、
「あらまあ、そうでっかァ」
パンダ顔(失礼)の女性店主が愛嬌のある目をまん丸くしてから、「また来たってや」と白い歯を見せた。
さすが食の街・大阪!
所在地 大阪市中央区平野町2-2-13
最寄駅 京阪線北浜駅から歩いて約3分