週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

猛暑の甘雨😎創作生菓子「清流」

 

今回のあんこ旅は北関東の隠れた和菓子エリア、群馬・沼田市です。

 

北にみなかみ、北東には尾瀬沼が控え、かつては歴史の舞台にもなった小さな城下町。

 

私のあんこセンサーが「絶対に行くべきだよ」と指し示した場所。

ここで出会ったのが「御菓子司 かねもと」

 

中心街の路地裏を歩いていてたまたま出会った店で、老舗だが、モダンな店構え

こういう出会いはとくにうれしい。

 

明るくて清潔な店内には季節の上生菓子や洋菓子もきれいに並べられていた。

中でも、これはこれは、と私の視線を釘付けにしたのが、鹿の子をアレンジした創作生菓子、その名も「清流」(せいりゅう)でした。

 

猛暑が一瞬だけどこかへと消えてしまいそうな、凝った涼やかな小世界。きらり感。

 

お・い・で。

 

まずは目が泳いだ。

 

甘雨の清流?

 

★今回ゲットしたキラ星

清流 280円×2個

小倉かのこ 180円

京かのこ 180円

 ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

ベースは大納言小豆、アートフルな和の宝石箱?

 

利根川上流、片品川など清らかな川に囲まれるような沼田盆地。戦国時代から上杉・真田など有力武将たちの奪い合いの舞台となり、天空の城下町と呼ばれることもある。

 

地味だが、美しい町でもある。

 

さて、この「清流」は楕円形のアルミカップに盆栽のように盛られている。

蜜煮した大納言小豆がたっぷり、それにうぐいす豆、栗、求肥餅などのレイアウトがクールだと思う。

 

青もみじ(練り切り)までさり気なく配置されていて、初夏の渓流をイメージしているようだ。

その下には大地を思わせるこしあんと葛(くず)の層がひそんでいる。

 

凝り具合にちょっと驚かされる。

 

サイズは70ミリ×65ミリほど。全体の重さは105グラム(カップ含む)。

 

●味わいは?

冷蔵庫で冷たくしてからいただく。

 

影のメーンはやはり大納言小豆(北海道産)で、しっかりと粒々感がある。

ほどよい甘さ。

 

寒天の薄い膜がちょっとしたアクセントになっていて、噛むたびに大納言のいい風味が広がる。

 

そこにうぐいす豆の独特の風味が加わると、甘納豆好きにはたまらない。

栗のほっこり、求肥餅の柔らかさ、目と舌が同時にくすぐられる。

 

ほのかに塩気も感じる。

 

個人的にはその下に横たわる地層(こしあんと葛)が気に入った。

しっとりとしたなめらかな食感が合わせ技で官能をくすぐってくるような感覚。

 

こしあんの存在が強めなのも好み。

 

沼田の和菓子文化の実力の一端を垣間見る思い。

 

★あんヒストリー

「かねもと」の創業は大正13年(1924年)。現在4代目(3代目もご健在)。女優の故・夏目雅子(今もファンが多い)と縁戚関係だそうで、ひょっとしてあの美貌は水源に囲まれた沼田の地と関連があるかもしれない。創作生菓子「清流」は3代目の作品とか。3代目女将さんによると、「まだ赤ちゃんですが、5代目もいるんですよ(笑)」。餡ハッピーな話。

 

【サイドは?】

大納言かのこ:サイズは40ミリほどの球形で、艶やかな大納言小豆が寒天の透明な膜に包まれていて、中のこしあんは甘さ控えめでしっとりと舌にささやくよう。フツーに美味しいかのこ。塩気がかすかにある。

京かのこ:手亡豆のかのこで、京都の気品を感じる。しっかりとした粒々感と中の白あんが福々と広がる。甘さは控えめ。

《小豆のつぶやき》

▼じっくりと沼田を歩いたのは今回が初めてだが、おだやかで情緒のある街並みに強く惹かれた▼盆地の城下町ということもあるのか、あるいはたまたまなのか、出会った人はどこかたおやかで、これほどの文化的なテロワール(土壌)があるのに、知名度が低いと思う▼いい和菓子屋さんも多い▼尾瀬沼の入り口、というイメージが強いが、北関東の隠れたあんこシティ、と言いたくなってしまった。

 

「御菓子司 かねもと」

所在地 群馬・沼田市坊新田町1233