西日本あんこ旅で倉敷駅で途中下車。
目的は大原美術館とこのエリアの双子のような歴史的酒饅頭。
大原美術館はさておき。
大手まんぢゅう(大手饅頭伊部屋=㊧)と藤戸まんぢゅう(藤戸饅頭=㊨)。
8年ほど前のこと。四国あんこ旅への途中に立ち寄った岡山駅構内で大手まんぢゅうをゲットし、その美味さに感動し、楽天ソレドコで「47都道府県あんこ菓子」(2022年)を執筆したときに岡山県の逸品として取り上げさせていただいた。
その後、倉敷エリアにもう一つの酒饅頭があることを知り、いつか食べ比べしたいなあ、とあんあん恋焦がれていた。
で今回、その藤戸饅頭本店に行く予定が、残り時間の関係(倉敷駅からかなり離れていて、最寄りの植松駅からも歩いて行ける距離ではなかった。ぐすん)。
本店に電話したら、「倉敷駅でも買えますよ」とのお返事。
これぞ餡ラッキー!😍その「おみやげ街道倉敷」では大手まんぢゅうも売られていて、一挙両得心ウキウキ、即ゲットし、自宅に戻ってから食べ比べを楽しむことにした。
★ゲットした双璧あんこ
大手まんぢゅう
10個入り(箱入り) 972円
藤戸まんぢゅう
5個入り(竹皮包み)500円
※どちらも税込み価格です。
【①アプローチ】
どちらも古い歴史のある松クラスの酒饅頭で、比較することは難しい。こしあんを覆う皮はどちらも膜のように薄く、手数をかけて作った秘伝の甘酒を小麦粉に混ぜ、じっくりと寝かせている。外見上はよく似ている。なので、ここは並列的に迫っていくしかない。あくまでも個人的な感想なので、脱線したらごめんなさい(汗)。
【②ボディーチェック】
🧐大手まんぢゅう:麹の香り弱め、青紫色のこしあん
吹雪皮から透けて見える自家製こしあんが上品な、青紫色に見える。
麹の香りががほんのり。思ったほど強くはない。
サイズは約40ミリ×35ミリほど。重さは約41グラム。
賞味期限は約1週間。
🧐藤戸まんぢゅう:麹の香りやや強め、赤紫色のこしあん
同じような薄い吹雪皮だが、よりしっとりしているよう。透けて見える自家製こしあんは赤紫色度がやや強め。
麹の香りが大手まんぢゅうよりやや強め。手づくり感もより感じる。
サイズは約40ミリ×32ミリほど。重さは約36グラム。
賞味期限は約3日間。
【②味わい】
🧐大手まんぢゅう:こしあんのあまりに上品な美味さ
極端に言うと、ほとんどピュアなあんこ玉を食べているよう。クセが少ない。
控えめな甘さと粒子を感じるこしあんの吹き抜け方が素晴らしい。
こしあんは北海道産小豆×白ザラメ。
きれいな後味で、雑味がない。
1個が大きくないので、すぐに3個は目の前から消えている。
抹茶にも合いそうだが、コーヒーにも合うと思う。
🧐藤戸まんぢゅう:よりあずき感を強く感じるこしあん
素朴度はこちらにより感じる。
「大手まんぢゅう」よりも全国的な知名度は低いかもしれないが、それがより希少度を増しているかもしれない。
こしあんの素朴な透け方としっとり感。
どちらも添加物は使用していず、代々伝わる製法を守り続けている。
こしあんは北海道産小豆×上白糖。
それゆえかあえて言うと、より濃度と素朴度が強め。後味と余韻はすっきりしている。
こちらも3個くらいすぐに消えた。
純米酒にも合いそう。
【③あんヒストリー】
😎大手まんぢゅう:創業は天保8年(1837年)、現在5代目
「大手饅頭伊部屋」は備中岡山城大手門近くに店を出していたことから「大手まんぢゅう」の名前が付けられた。岡山城藩主(池田氏)から御用達を受け、茶会などにも重用されていたようだ。
😎藤戸まんぢゅう:創業は寿永3年(1184年)、現在7代目
ルーツは源平合戦の舞台にもなった藤戸地区(藤戸寺)の境内で饅頭を売っていた饅頭屋のようで、その後、実際に現在の藤戸饅頭本店が誕生したのは江戸時代、万延元年(1860年)。つくっているのはこの藤戸まんぢゅうのみ。店によると、現在「わかっている限り7代目です」とか。
【④食べ終えての印象と評価】
どちらもとてもよく似た、あんこ好きにはたまらない上質な酒饅頭だが、二つ並べてみると、微妙に違いがわかる(㊧が大手まんぢゅう、㊨が藤戸まんぢゅう)。
あえて言うと、大手まんぢゅうのきれいな食感と藤戸まんぢゅうの素朴な食感。
こしあんの美味さはどちらも饅頭ワールドの中でもトップクラスで、しかも内容の密度の割には舌代も高くないと思う。
コスパ的にはどちらも素晴らしいとしか言いようがない。
あえて言うと、ギリギリのところで大手まんぢゅうの上品さにかすかに物足りなさを感じるか、逆に洗練された陶酔を感じるか。
それとも藤戸まんぢゅうの素朴な上質に唸るか、それこそ好み次第ということかな。私の舌では微妙すぎて評価はスルーしておきたい。これは逃げではありませんぞ(汗)。
大手饅頭伊部屋京橋本店
藤戸饅頭本店
所在地 倉敷市藤戸町藤戸48