東京・護国寺「群林堂」と言えば、東京三大豆大福(誰が命名したかは不明)の一つに数えられる豆大福の名店だが、炎天下、久しぶりに足を運んだ。
で、ゲットしたのが「大目玉」の豆大福とかのこ、それに季節限定の「くず桜」。
いつも大行列なのに、午前中(10時半)だったせいか、お客は4~5人(ほとんど女性だった)。思わずラッキー、と小躍りしたくなった。
東京三大豆大福の中でも「群林堂が一番好き」という声が意外に多い。残りの二つは泉岳寺「松島屋」、原宿「瑞穂(みずほ)」、ズルい言い方になるかもしれないが、私的にはどれも好きとしか言いようがない(ホントです)。
外見的に一番個性的なのは、この群林堂だと思う。
北海道富良野産赤えんどう豆がぼこぼこ。私が知ってる豆大福の中では圧倒的なぼこぼこ感(30粒はある?)で、たっぷりとかかった餅粉とともに、いつ見ても「参りました」と平伏したくなる。
今回ラッキーだったのは、いつもなら売り切れているこの店の準主役「かのこ」がゲットできたこと。
さらに季節限定の「くず桜」まで。
・ゲットしたキラ星
豆大福 3個(税込み210円×3個)
かのこ 1個(同 220円)
くず桜 1個(同 220円)
【今回のセンターはくず桜】
豆大福はあまりにも有名なので、たまたま出会った「くず桜」をセンターに選んでみた。
中の自家製こしあんが素朴な洗練とでも言いたくなる、ほどよい甘さの、まったりとしたこしあんで、小豆本来の力と旨味を閉じ込めたような、ややざらっとした舌触り。
「小豆は北海道十勝産です。東京はやっぱり北海道産ですよ」(2代目)
餡づくりは十勝産えりも小豆と大納言小豆を使用、砂糖は上白糖で仕上げているようだ。
冷蔵庫で1時間ほど冷やしたので、透明感のある葛餅の柔らかな冷たさが、素朴なこしあんと絶妙な相性を作っている。
葛粉は吉野本葛を使用している(2代目)。こだわりもいぶし銀。
群林堂の創業は大正5年(1916年)。
2代目と3代目(息子さん?)の生菓子職人としての誠実さが伝わってくるよう。
小さくまとまっていない、手の匂いのするくず桜。
桜の葉の香りもほんのり。たまらない。
氷を入れた麦茶でいただく。
蝉の声が聞こえてきそう(実際はムクドリだが)。
まさか群林堂のくず桜を食べれるなんて。
【サイドは豆大福とかのこ】
・豆大福
豆大福をサイドにしてしまったが、いつもながら黒々とした赤えんどう豆の量に圧倒される。
餅の柔らかさがすごい。(多分、朝搗き)
むろん添加物不使用。
賞味期限は「本日中」だが、買ってから約6時間後なのに、すでに表面が硬くなりかかっていた。忘れていた驚き。
「朝ナマ」指数が三大豆大福の中では一番高いかもしれない。
中のあんこは丁寧なつぶしあんで、やや赤みのある濃い小倉色。それがぎっしり。
ひょっとして渋切りをしていないのでは?と思えるような、じっくりと炊いたあまりに素朴なあんこで、いわゆる洗練されたあんこではない。
それが塩気のある硬めの赤えんどう豆の風味と混じり合う。
餅の柔らかな美味さ。
「これってどこか田舎っぽい、けれども江戸時代から続く、大いなる田舎、東京の王道の豆大福かもしれない」と三歩下がって、感嘆したくなってしまった。
・かのこ
このかのこのお姿にも驚かされる。
蜜煮した大納言小豆(北海道十勝産)がびっしり。一般的には表面を透明な寒天の膜が覆っているのだが、それがない。
しかも大きい。豆大福も大きいが、かのこも大きい。
中はこしあんで、くず桜と同じ。
大納言小豆はしっかりとした歯ごたえがあり、中の素朴なこしあんとともに口の中で小爆発するよう(表現がどうかな?)。
塩気もしっかりあり、印象としては鹿の子の大親分って感じ。
群林堂は初代からの味をずっと守り続け、すぐ近くには「講談社」がある。
なので、作家への手土産としても重宝され、松本清張がこの豆大福の大ファンだったようだ。三島由紀夫や吉川英治もファンだったという話も伝わっているが、もっと多くの作家が愛したと思う。
だが、何だか松本清張が一番ピンとくる・・・敬意。
「群林堂」
所在地 東京・文京区音羽2-1-2