直木賞作家・故早乙女貢さんのお墓参りで会津若松に舞い降りた(ドタリ、と)。
もう一つの目的はむろん和菓子屋探し。
と言ってもほとんどの店を食べ歩いている(つもり)。
今回は約6年前に感動した朝搗き餅の豆大福の名店「庄助製菓本舗」を再訪した。

地元では意外に知られていない隠れ名店で、しかも豆大福は「土曜日限定」なので、その土曜に合わせて安ホテルに一泊し、ワクワクしながら早朝に訪問した。
だが、今回はあんこの神様に見放された?
「猛暑もあって、豆大福は秋までお休みです」(店主)
ガクッ。
頭を切り替えて、どら焼きのラインアップと小さなオーラを発している「最中(もなか)」に好奇心が向かった。
安さに驚きながら。
★ゲットしたキラ星
どらやき4種類
大納言 130円
こしあん 130円
ごまあん 130円
かぼちゃ 130円
最中(もなか)2種類
大納言 110円
胡麻(ごま)110円
※すべて税込み価格です。

【センターは?】
最中2種:薄い皮種とあんこの小さな巨人

どら焼きも予想以上の美味さだったが、大納言と胡麻餡(ごまあん)の最中の美味さにちょいとウルウルしてしまった。
どちらも直径5センチほどで小さいが、「庄助」と刻印された種の色が上品ですべすべしていて隙がない。これは発見かも?

割ってみたら、皮の薄さと中のあんこの隙のない見事な詰まり方に「おおっ」となってしまった。
小さな巨人、という言葉が浮かんだ。
🧐実食タイム
〈大納言〉 艶やかな大納言小豆(北海道産)が「ようこそ」と出迎えてくれた(錯覚かも)。

見事に煮詰められた大納言小豆で、しっかりと粒感があるのに中まで柔らかい。

いい甘さといい風味。吹き上がりが素晴らしい。
少し寒天も加えているようで、艶やかさがどこか華やか。

豆大福を逃したことはどこかへと消えていた。
〈胡麻餡(ごまあん)〉 ごまあんの密度とぎっしり感が好感。

インゲン豆にたっぷりの練り黒ごまを加え小豆も加えてつくった胡麻餡の美味さが想像を超えていた。
店主の腕前がかなりのものとわかる。
種の薄さと香ばしさが主役のごまあんの吹き上がる香ばしさの引き立て役に徹していて、口に入れて噛んだ瞬間、風味の爆発が来た。

そのバランスが絶妙という他はない。
「うめえ」という言葉が自然に漏れてしまう。
コスパの素晴らしさ。
●あんヒストリー
創業は明治40年(1907年)。現在4代目。もともとは飴屋で、中心街の神明通りに店を構えていたとか。4代目は愛知県の老舗和菓子店で修業し、実家の跡を継いだそう。伝統の中から新しい試みにも挑戦している。

【サイドは?】
4種のどら焼きのサイズはほぼ円形で直径90×80ミリほど。

微妙なずれがいい感じ。
重さは大納言が約60グラム。

こしあんが58グラム。

ごまあんが60グラム。

かぼちゃあんが57グラムほどだった。

何よりもきつね色に焼かれたどら皮(薄め)の美味さがしっとりとしていて蜜が沁み込んでいるよう。
なので、あんこの美味さが絶妙に引き出されている。
あんこの量は多くはないが、存在感が十分にある。
大納言あんこの豊潤。

こしあんのきめ細やかさ。

ごまあんの爆発力。

かぼちゃあんの穏やかな味わい。

無理筋で好みの順位を付けると、①ごまあん⇒②大納言⇒③かぼちゃあん⇒④こしあんの順になるが、僅差ということに変わりはない。
会津若松は近江出身の戦国武将・蒲生氏郷が造り上げた古い城下町ということもあるのか、茶の湯の文化もあり、いい和菓子屋さんが多い。
朝搗きの豆大福は食べれなかったが、あんこの神様はちゃんと次を用意している。
収穫は案外足元に隠れている。
「庄助製菓本舗」
所在市 会津若松市日新町16-40
