あんこ旅の途中で、茨城・桜川市真壁町に立ち寄った。
ここは知る人ぞ知る北関東の小さなあんこタウン。
戦国時代末期に真壁氏⇒浅野長政によって造られた街並みが今も残る、ノスタルジックな城下町でもある。
今はすっかり寂れている・・・かと思ったら、タイムスリップ感と渋い和菓子屋がポイントポイントに暖簾を提げていた。この寂れ方、悪くない。

中でも驚かされたのが「御菓子司 山口屋」。
創業が大正末期の百年和菓子屋さんだが、店内に入って、餅菓子や生菓子のキラ星が並んでいる光景を見て、あんココロがときめいた。

感じのいい女将さんが奥から出てきた。
★ゲットしたキラ星
田舎饅頭(蒸しきんつば)120円
小倉かの子 190円
真壁大福 170円
塩豆の真壁大福180円
※すべて税込み価格です

【センターは?】
真壁大福:搗き餅×自家製つぶあんの質
「人気NO.1」と表記してあったのが、この「真壁大福」だった。

地場のもち米を蒸し上げ、柔らかく搗いた餅の上に餅粉がたっぷりかかっていて、大きさは55ミリほどの丸い大福だが、100年の歴史を感じさせるオーラに包まれているよう。
餅粉のかかり方がいい。本物、の予感。
日持ちしないので、大急ぎで食べることにした。
〈実食タイム〉
サイズは左右55ミリほど。重さは約71グラム。


柔らかい餅を包丁で切ると、中はぎっしりのあんこ。

北海道産小豆をふっくらと炊き上げ⇒上白糖で仕上げた見事なつぶあん。


餅の柔らかさとつぶあんの上質な合体がいい風味とともに口中に広がってくる。
この店に代々伝わる昔ながらの丁寧な素朴が伝わってきた。
女将さんによると、現在4代目。仕事中だったので、お話は聞けなかったが、品ぞろえでその質の高さがわかる。
【サイドは?】
塩豆の真壁大福:中はこしあんの豆大福

塩気の強い赤えんどう豆がほどよい量で、柔らかな餅との合体が上質。

中のあんこは自家製こしあん。なめらかないいあんこ。
重量は少し重い75グラム。


赤えんどう豆の塩気と歯ざわりがとてもいいアクセントになっていて、豆大福好きにはたまらない味わい。
塩気の絶妙が心にまで沁みてくる。
●ひと口メモ
創業は優に100年は超えるそう。現在4代目だが、東京の和菓子屋で修業してから店を継いだという。和菓子屋、特にローカルの和菓子屋さんの苦境はよく聞かれるが、こうした志を感じる和菓子屋さんにはせめて次の世代、その次の世代まで残ってほしい。勝手な妄想かもしれないが、和菓子店一軒⇒図書館一個分の損失、と考えると、個人的には誰とは言わないが、国会議員一人分を和菓子文化のバックアップに回してほしい、とさえ思う。


一見つぶあんを固めたような、あんこ好きにとってはある種夢の形の蒸しきんつばで、「田舎まんじゅう」と表記してあるのが面白い。
東京・北千住「伊勢屋」の「蒸しきんつば(田舎きんつば)」とほとんど同じ生菓子で、私にとっては見ているだけでよだれが出てきそう(失礼)。

あの塩瀬総本家の、徳川家康も食べていた「本饅頭」も同じ仲間だと思う。
半透明の薄い皮を割ると、中は小倉色のつぶあん。

甘さはかなり控えめで、素朴な、何とも言えないピュアなあんこの美味さが来る。
個人的には「田舎」というより、ストレートな「高貴」を感じる。
暑いので冷たいほうじ茶も合うが、個人的にはドリップコーヒーも合うと思う。
小倉かの子:小ぶりだが底まで大納言小豆

ゴルフボール大の小ぶりな鹿の子で、重さは約56グラムほど。
やや明るめの北海道産大納言甘納豆がこしあんのあんこ玉の表面をしっかりと覆っている。

丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。
大納言小豆は柔らかく炊かれていて、中のしっとりとした自家製こしあんとのマリアージュがとてもいい。

吹き上がる風味。
この一品だけでもこの店の4代目の腕がわかる。
正直に言うと、桜川市の古い、地味な蔵の町でこんなにいい和菓子屋さんと遭遇できたこと、あんこ旅の醍醐味とはいえ、町の閑散(たまたまかもしれない)を考えると、ちょっぴり複雑な気分になる。
「御菓子司 山口屋」
所在地 茨城・桜川市真壁町真壁438
