今年の寒さはキツい、とばかり言ってはいられない。
春の予感を求めて、寒風の中に割って入るように、苺(いちご)豆大福の元祖と言われる「大角玉屋本店」(おおすみたまやほんてん)に足を運んだ。

行列苦手のサガなので、これまで避けてきた店。
ここの三代目が1980年(昭和55年頃)、それまでの常識を覆す「いちご豆大福」を世に送り出したのだが、他にも「うちが元祖」という店もあり、「元祖」とか「本家」の争いには足を近づけないことにしてきた。
いちごを丸ごと大福の中に入れるという発想は、当時はありえない組み合わせだった。コロンブスの卵、みたいなものかも。今思うと、ウソみたいだが。
で、今回。

平日だったせいか、行列はなかった。ラッキー、と思うことにした。
それでも店内は活気があり、予想以上の和菓子(生菓子)が並べられていた。
私の目に留まった大福は3種類。

①いちご豆大福(つぶ餡)
②いちご豆大福(こし餡)
③あんバター大福
その他、季節の生菓子「うぐいす餅」や「あずき王子」などにあんココロがピコピコ動いた。
★ゲットしたキラ星
いちご豆大福
つぶ餡380円
こし餡380円
あんバター大福380円
※すべて税込み価格です。

【センターは?】
こし餡:餅×いちご✖こし餡の舌ざわり

「元祖いちご大福」はつぶ餡だが、私が皮一枚で気に入ったのはこし餡のほう。
宮城産みやこがねをふかして搗いた柔らかな餅は淡いピンク色で、餅粉のかかり方もいい。

赤えんどう豆がひょいひょいと顔を出している。いい景色。
サイズは直径約55ミリほど。重さを量ったら105グラム。大きくもなく、小さくもない。ほどよい大きさ。

包丁で切ると、こし餡に包まれた赤みの強いいちごが現れた。

スタッフによると、この時期は「茨城産紅ほっぺを使ってます」とか。
そそられるビジュアル。
賞味期限は「本日中」。大急ぎで編集室に戻らなければ。
🧐実食タイム
食べる前はつぶ餡(元祖)をセンターに置くつもりだったが、二つ目に食べたこし餡のほうがむしろ好みで、こし餡のしっとりとしたなめらかさが私の舌にフィットした。

北海道産小豆のいい風味が口の中に広がる。
餅の柔らかさと伸びがほどよい。
舌ざわりのすっきり感。
紅ほっぺは甘さと酸味が濃厚で、「主役は私よ」とささやくよう。

春の予感が合わせ技でやってくる・・・そんな感じかな。
柔らかな餅とほんのり塩味の赤えんどう豆のバランスもいい。
うめえ~、が出かかる。
「1個380円なり」は下町の和菓子癒さんと比べると、そう安くはない。

だが、今や和菓子店の定番メニューとなったいちご大福のレジェンド店として、その事実だけでもエクスキューズしたくなる。
●🧐あんヒストリー
創業は大正元年(1912年)。現在3代目。昭和60年(1985年)、豆大福(つぶ餡)の中に旬のいちごを入れるという、当時の常識を覆す大福を売り出す。いちごのショートケーキからヒントを得てつくったそう。それが人気を呼び、口コミやメディアなどでも取り上げられ、全国的な人気メニューになっていった。元祖については諸説ある。
【サイドは?)
元祖の味:濃厚なつぶ餡✖いちごの噴出力

こちらが元祖いちご豆大福の嫡男(?)だが、百花繚乱のいちご大福の進化の中ではむしろ地味な印象。
赤えんどう豆はほどよい量で、いいアクセントになっている。

正統派の渋いオーラもある。
つぶ餡は素朴に濃厚で、こし餡ほどのなめらかなすっきり感はない。

小豆一粒一粒が柔らかく煮詰められていてふくよかさも十分にある。
素朴なあんこなので、ディープなファンには鉄板かもしれない。
重さは約104グラム。気持ちこし餡より小さめ。
あんバター大福:バターとつぶ餡のメイクドラマ

サイズはいちご豆大福よりも小さめ。
重さも約79グラム。
真ん中にはいちごではなく、有塩バターがしっかり納まっている。

口に運ぶと、柔らかな餅✖つぶ餡✖バターが三つ巴の闘いを始め、それが次第に境界線を失くし、絡み合い、いちごとは別種のマリアージュとなって、和と洋の新しい世界に踏み込んでいくよう。
有塩バターが中央でズシリと睨みを利かせて、次第にその存在感を押し出してくる。

バターの風味が強めに広がってくる。
なので、ここは好みの別れるところかも。

とはいえ、あんバター好きにはたまらない美味さ。
愛の三角関係(表現がヘンだ?)が理性を狂わすかもしれない(笑)。
この味わい、あるいはクセになるかも、と言っておこうかな。
「大角玉屋(おおすみたまや)」
所在地 東京・新宿区住吉町8-25
