週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

驚きの和洋あんこ😂足利の隠れ名店

 

古都・足利は歴史遺産の街でもあるが、隠れた和菓子のメッカでもある。

 

地味だが、いい和菓子屋さんが多い。

 

中でも最も驚かされたのが「いせ家本舗」

 

アプローチ:ハズレて元々の気持ちでメーンストリートを少し離れて、「あんブラ」(新しいキラ星探し)を楽しむことにした。

 

すると、いい店構えの和菓子屋さんが視界に入った。

 

「いせ家本舗」の屋号。ひょっとして伊勢屋? それにしては店構えがいぶし銀すぎる。よく知る「伊勢屋」とは少し違う、独特のこだわりの強さも感じる。

 

「創作菓子」の文字も見えた。

 

これが私にとっては驚きの和菓子屋だった。

★ゲットしたキラ星

 あんだんご 1串130円

 豆大福  150円

 こしあん大福140円

 抹茶クリームカステラ140円

 クリームカステラ140円

 大納言かの子160円

 うぐいすかの子160円

 ※価格はすべて税込みです。

 

【センターは?】

抹茶クリームカステラ:抹茶生地のふわり感×こしあんの驚き

 

足利には何度も足を運んでいるが、迂闊にもこの和菓子屋さんの存在を知らなかった。

 

店頭の商品棚をのぞくと、串刺しのあんだんごが目に入った。

さらに豆大福やみたらしなど朝ナマの世界もシンプルに広がっていた。

 

少々違っていたのが「抹茶クリームカステラ」など和洋のコラボ菓子。

「創作菓子」にもチャレンジしているのがわかった。

 

面白そうなので、それらもゲット。

 

◎実食タイム

いわゆる抹茶の蒸しカステラ生地だが、「実は長いもを練りこんでいるんですよ」(店主)とか。高級な薯蕷まんじゅうのカステラ版?

真ん中に大納言甘納豆がちょこんと乗っている。

 

底から見ると、茶巾包みの凝った作り方。

 

手で割ると、中は自家製こしあんで、よく見ると、抹茶あんもさり気なく寄り添っている。

あまりのふんわり感に「おっ」と声が出かかった。

 

長いも効果? 和洋の見事な融合

 

口に入れると、三つのマリアージュが一線を超えている(と表現したくなってしまった)。

絶妙という言葉を忘れるほどのとろけ方。

 

長いも入りの抹茶生地とこしあんがこんなに愛し合うとは・・・想像以上の美味さ。

 

この店主、只者ではない。

 

●あんヒストリー

創業は昭和5年(1930年)。現在3代目。初代はあの塩瀬総本家で修業したが、足利の地では高級すぎて(?)合わなかったようだ。その後、2代目が路線を変え、饅頭や大福、だんごなどを東京下町の「伊勢屋」で学び、それが現在の3代目につながっていく。3代目は梅林堂などでも活躍した和菓子コンサルタントの下で修業。伝統と独創を融合した創作菓子の世界へ。早朝からだんごなど朝生菓子と創作菓子を地道に作り続けている。有名ミュージシャンはじめこの店の隠れファンも多い。

 

【サイドは?】

あんだんご(串):自家製こしあんがびっしり

 

店頭でまず驚かされたのが串あんだんご

 

午前中に訪問したのに、残り少なくなっていた。

売り切り御免のあんだんご。みたらしも美味そうだったが、あんこ原理主義者としてはこちらを取り上げたい。

 

うるち米のだんごが4玉だが、自家製こしあんの陰に隠れて見えない。

 

あんこの量が半端ではない。すごい景色。

「本日中」が賞味期限なので、夕方に自宅で賞味となった。

 

餅の柔らかさがこしあんに圧倒されて、その絶妙な塩気が口の中で両手を広げてくるよう。

 

素朴と上品の見事な融合。

こしあんは北海道特選小豆×白ザラメ。

 

いい小豆の風味が時間差で来る。

 

こんないい和菓子屋さんの存在を今日まで知らなかったこと、あんこマニアとしては穴があったら入りたい気分。情けないぜよ(汗)。

 

豆大福:買ってから5時間以上たっていたので、少し硬くなりかけていた。

杵つき餅。本物の証明。

 

餅粉のかかり方、赤えんどう豆のふっくら感、たっぷりの自家製つぶあん

すべてが上質で店主のこだわりが半端ではないことがわかる。

 

サイズは60ミリ弱。重さは82グラムほど。

つぶあんの吹き上がる風味と恐るべき塩気の絶妙が掛け算で来る。

 

たまらない。

 

こしあん大福:やや濃いめのこしあんとピュアな餅。

手に持つと、うっすらと中のあんこが見える。

 

杵つき餅のしっかりとした伸びが歯に伝わってくる。

 

自家製こしあんの塩気の絶妙

この店は塩の使い方が素晴らしいと思う。

 

3代目は塩の魔術師、と紹介したくなる。

 

かの子2種:大納言とうぐいす

大納言は小ぶりなかのこだが、テカリ(寒天の膜)が輝いている。

 

中はこしあんで、表面の大納言小豆の風味との合体が1+1=3にもなるよう。

これも塩気が絶妙で、後味もいい。

 

うぐいすは表面のうぐいす豆と中の白あんが見た目も美しい。

うぐいす豆の風味が強めで、それが白あんとのマリアージュを豊かなものにしている。

 

塩気の絶妙もこの店ならではのもの、と思う。

 

伊勢屋を「いせ家本舗」と改題したこと、食べ終えると、その心意気まで伝わってきた。

だんごから上生菓子まで、しかも創作菓子まで、こんな凄腕のいぶし銀が隠れるように足利に存在していたこと、改めて足利あんこ界の奥の深さを知らされた思い。

 

あんこ道も「人のいく裏に道あり花の山」ということか?

 

ホンマ、参りました(汗)。

 

「創作菓子 いせ家本舗」

所在地 栃木・足利市伊勢町1-10-5

最寄り駅 JR両毛線足利駅から歩約5分