週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

会津の上菓子😋よもぎ餅と小法師

 

【今週のセンター】

季節限定よもぎの「葵餅(あおいもち)」

東北の城下町・会津若松の老舗和菓子店「上菓子司 會津葵(あいづあおい)」で見つけたのがよもぎの「葵餅(あおいもち)」

よもぎの季節限定なので、新緑の季節に会津のあんこ旅を決行したのがラッキーだったかもしれない。

 

本物の竹皮包みを解くと、よもぎ餅と表面にかかったきな粉の香りが鼻腔をくすぐる。

いい匂いの三重奏って感じかな。

 

ひと包み(6個入り)税込850円。

 

よもぎ入りの求肥餅で、菓子ようじでいただくと、中に蜜煮した大納言小豆が1~2粒入っていて、柔らかな食感とともに小豆のふくよかな風味が小さく広がってきた。たまんない×3。

大納言小豆は北海道産だが、全体的にかなり凝ったつくり。

 

ちなみに通年商品の「葵餅」は黒糖と会津産くるみ入り。

 

もち粉をベースにした食感はどこか信玄餅のように感じたが、「材料も作り方も違います」(店主)。

 

店は会津鶴ヶ城の北出丸入り口にあり、蔵造りの重厚な店構え。

 

「上菓子司 會津葵」の文字に入った長暖簾が会津のプライドを感じさせる。

当主は代々二字屋治郎左衛門(現在10代目)を名乗り、祖先は足利尊氏までさかのぼるという。

 

二字屋の屋号は足利尊氏の家紋(丸に二)から来ているのではないか。

 

江戸時代は會津藩御用の茶問屋で、和菓子屋に転じてからは現在の店主で2代目になるようだ。

 

この店の売れ筋は「かすてあん」で、自家製のこしあんをカステラ種で包んで焼き上げたもの。

 

その意味では進取の気性に富んだ創作和菓子にも意欲的に取り組んでいると思う。

 

よもぎの葵餅は甘すぎないのが個人的にはいい。

 

添加物は使用していないので、賞味期限は約3日間と短い。

暑かったので、冷蔵庫で30分ほど冷やしてから食べたら、ホットな舌によもぎときな粉と大納言小豆がとろけ合って、美味さが少し増した気がした。

 

お茶もいいが、個人的にはコーヒーが合うと思う。

 

【裏センターは石衣の小法師】

こちらもこの店のオリジナル。会津起き上がり小法師をあんこ菓子にしたもの。

凝った八角形の紙箱に、小法師を形どったこしあんと白あんの石衣(いしごろも)が計15個、一つひとつていねいに和紙に包まれて納まっている。

中央付近に本物の赤い起き上がり小法師が1体にっこり微笑んでいる。思わず「かわいいね」と言葉が出かかる。

 

こしあんは北海道産小豆、白あんは北海道産白いんげんを炊いて、小麦粉やでんぷんも加えて固めに仕上げている。

白あんには卵の黄身も加えているようだ。

 

表面はすり蜜でコーティングしてあり、食感はどこか京都の松露(しょうろ)を思わせるが、松露よりも素朴で固め。どこか野暮ったい。

 

店主によると、「関東は石衣、関西は松露ですが、石衣の方が硬いです」とか。

 

京都の洗練されたはんなりではなく、会津の頑固な硬さを連想させる。

形の凝り具合。会津駄菓子のような素朴な味わい。

 

小豆と白いんげんの風味が「私もここにいるよ」と遠慮がちにつぶやいているよう。

起き上がり小法師の起源は悲運の戦国武将・蒲生氏郷までたどり着く(諸説ある)。

 

転んでも何度でも起き上がる(ダルマと同じ)。

 

会津の上菓子屋のあんこ菓子、地味だが、どこかシンパシーを覚えてしまった。

 

「會津葵本店」所在地

福島・会津若松市追手まちー18

最寄り駅 JR会津若松駅からバス「鶴ヶ城北口」下車