久しぶりに東京・目白にひらりと舞い降りた(実際は電車でトボ降り=笑)。
「志むら」でかき氷を食べる前に、時間があったので目白通りをあんブラ。
一人娘が学生時代すぐ近くに住んでいた頃、このクールな通りを歩くのが楽しみだった。今回は・・・。
目的のひとつ、素通りしてしまいそうなほどシンプルな店構えの「和生菓子 高砂家」に入る。

入り口のガラス戸に「味自慢 どら焼」の小豆色の吊り提げ旗。
胸がピコピコざわめく(いい意味で、です)。
ここは知る人ぞ知る、朝生菓子の名店で、コアなファンが多く、必要以上につくらないため、午前中に売り切れになることも多い。

なので、午前10時過ぎに入店。
どら焼きと串団子を買うつもりが、どちらも「きょうはちょっと。もう少し時間がかかります」。
ありゃ。

木枠のガラスケースを見ると、見事なおはぎとよもぎの柏餅、それに美しい道明寺が飛び切りの流し目を送ってきた・・・そんな気分さえした。品数は多くはない。
「今日のあんこはつぶあんだけですが」
ややご高齢の女将さん(三代目夫人だった)の短い言葉にこの店がやはりただの店ではないことを思い出した。
その日の天候や小豆の状態などを見極めながらつくるあんこを炊いている?
そんなある種の誠実な天才肌の和菓子屋さんでもある。

見事な朝ナマの餅菓子がそれぞれいぶし銀のオーラを放っている。
目が吸い込まれそうになる。
★ゲットしたキラ星
北海道おはぎ 180円
よもぎかしわ餅260円
道明寺 240円
※すべて税込み。かしわ餅は期間限定です。

【センターは?】
道明寺:自家製つぶあんの甘い衝撃

この美しさとあんこ力の掛け算には驚かされた。
桜の道明寺は桜の時期だけというイメージがあるが、「ずっとつくってますよ」という女将さんの意外なお言葉にすご~く得した気分になった。餡ラッキー。
ごらんの通りの見事な容姿。

桜の花びらの生きてるような美しさ、塩漬け桜葉の存在感。
サイズも大きめで、左右55=56ミリほど。重さを量ったら約70グラムだった。

〈実食タイム〉
野暮を承知で真ん中から切ったら、見事な、濃い藤紫色の自家製つぶあんが現れた。


半殺し(半搗き)の道明寺の透明感とのほとんど完璧な合体。
選りすぐりの北海道産小豆をじっくりと炊いた、あんこへのこだわりの強さが立ってくるような。
艶やかな、そうはなかなかお目にかかれない素肌美女・・・と表現したくなる。
甘さをほどよく抑えた、雑味のない、柔らかなつぶあん力。そのボリューム感。

桜葉の塩気と花びらのほのかな香りが追いかけてくる。
ワンランク上の、道明寺が確かに目白に息づいていることを実感。
京都の遺伝子も感じる、東京の隠れた和菓子文化を思い知らされてしまった。
●あんヒストリー
創業は昭和9年(1934年)。現在3代目と4代目(息子さん)。北海道産小豆を使った自家製のあんこのこだわり方がすごい。小豆の選別、渋抜きの加減、煮詰め方、その絶妙な匙加減が味わうとよくわかる。みたらし団子も人気だが、今回はゲットできなかった。
【サイドは?】
よもぎかしわ餅:季節限定の素朴な上質に舌巻く

これもつぶあんのふくよかな美味さが中心にあって、柏葉とよもぎ餅のいい風味が両側から主役のあんこを押し立てている。

重さは全体で約68グラム。
季節限定だが、5月末時点でまだつくられていた(5月いっぱいで終了)。
柏葉をはがした瞬間の感動⇒よもぎ餅の上質なもっちり度⇒主役のつぶあんの春風⇒余韻の長さ。

あんこの神様に感謝したくなる、格別の味わいだと思う。
北海道産おはぎ:つぶあんのコクともち米の合体

つぶあんの濃密な美味さをストレートに感じる逸品。
甘すぎず、固すぎず、北海道産小豆の秘めた力を見事に引き出している。

底までしっかりと包んでいて、しかもボリューミー。
重さは約70グラムと申し分ない。

一見フツーのおはぎに見えなくもないが、じっくり見てから味わうと、そのズシリと来る美味さがフツーより半音上がる。奥深いシンプル。
店主の熟練の手まで感じるいいおはぎだなあ、と食べ終えてから数秒間余韻に浸りたくなった。
「高砂家(たかさごや)」
所在地 東京・新宿区下落合3-20-2
最寄り駅 JR目白駅から歩約5~6分
