明けましておめでとうございます。
コロナ禍新年となりましたが、気落ちせず、あんこ片手に牛歩で乗り切っていこうと小さく決意しております。
古来より小豆には魔除け厄除けの意味もあり、疫病退散祈願としても重要な役割を担ってきました。コロナもまた。
伝統と新しさ。この二つがキーワード。
なので、令和3年のトップバッターは京都の老舗和菓子屋「亀屋良長(かめやよしなが)」の、元気の出そうな変わり羊羹。コロナ禍の中で生まれた逸品です。
「亀屋良長」は創業が享和3年(1803年)、現在8代目。
京都の上菓子屋の中でも伝統とチャレンジ精神にあふれた和菓子屋さんで、「どこでもドア」があれば、京都に飛んでいきたいところですが、直接お電話して、お取り寄せで我慢。
まずは季節限定の「干支菓子 笑み福」(1棹 税込み1188円)。
ごらんのとおり、小豆羊羹をベースに、上が寒天ベースの錦玉羹(きんぎょくかん)になっていて、栗、アカデミアナッツ、黒豆、くるみ、クランベリーなどがきらびやかに乗っている。
ビジュアル的にもすごい。
アイデアが斬新で技術の裏付けがきちんと下支え。
めでたい迎春の一品でもある。
羊羹と香ばしいナッツ類(カリッとしたまま)がこんなに合うとは、最初のひと口で驚く。羊羹の甘さは上品でほどよい。
クランベリーの酸味(果実味)が奥の方で小さく異国のメロディーを奏でる・・・そんな感じ。
ミスマッチを超えてると思う。
絶妙な融合に、1+1が3のため息が出かかる。
もう一つのレアな変わり羊羹「そんなバナナ、」(同1188円)は、コロナ禍の去年4月に誕生している。
2百年を超える老舗がバナナ羊羹を作るという発想がすごすぎ。
ホント、そんなバナナ(笑)。ユーモアも感じる。
こちらは手亡豆(白いんげん)にバナナを練り込んだ羊羹がベース。
その上から波照間産黒糖とカカオ豆で作ったカカオ羊羹をドロリとかけている。
見た目は黄色の上にチョコレートのコートを流したよう。
こちらもナッツ類がぽこぽこ乗っている。
口に入れたとたん、バナナの香りが広がる。
ほどよい甘さ。手亡豆とカカオの風味がねっとり。
和菓子なのに洋菓子のようでもある。
これってめっちゃ面白い、京都の進取の気性を感じさせられる。バナナには免疫力があると言われるので、コロナ禍の中のチャレンジとなったようだ。
疫病に苦しめられた歴史を持つ、京都の心意気や良し、とつい脱帽したくなる。
正月特別号なので、おまけにもう一品。季節限定の変わり羊羹「雪あそび」(同1188円)はゆず羊羹がベース。
ゆずの香りがきれい。ゆず羊羹の上にはいちじく、りんご、クランベリー、アカデミアナッツ、カボチャの種などが乗っていて、こちらの融合も意外なほど合う。
亀屋良長の定番は「烏羽玉(うばたま)」だが、基本的に200年以上の作り方を変えていない。黒糖のあんこ玉だが、この伝統を守る姿も敬意を表したくなる。
最後にこれをじっくりと味わって、令和3年を何とか乗り切っていきたい。
【お取り寄せ】
「笑み福」 1188円(税込み)
「そんなバナナ、」 1188円
「雪あそび」 1188円
「烏羽玉」(12個入り)1080円