あんこ旅のディープな楽しみ方。
「じゃない方の」隠れた逸品を見つけること。
で、これまでご紹介できなかった隠れた名店をご紹介したい。

今回の舞台は伊香保温泉。温泉まんじゅうで有名だが、人のゆく裏に道あり花の山・・・とちょいとカッコつけてみた。
石段の頂上付近から少し横に入ると、ロープウェイ不如帰駅がある。
視線を少し左手に移すと、昭和レトロな「見晴台温泉街」の入り口が見える。さらに目を動かすと、遠くには山々が広がっている。

ご紹介したい「寿屋(ことぶきや)」はその起点の場所にある。
昭和のノスタルジックなオーラを放つ、一軒家の和菓子屋さん。

無添加手づくりにこだわり、温泉まんじゅうばかりでなく、黒蜜水ようかんや栗羊羹、さらにはオリジナル菓子もつくっている。
渋い暖簾をくぐると、あんこのいい匂いが私を出迎えてくれた。これこれ。
★今回ゲットしたキラ星
黒蜜水ようかん(小)800円
栗ようかん(小)1100円
湯の花饅頭(6個入り)900円
※すべて税込み価格です。
【センターは】
黒蜜水ようかん:春を感じさせる漆黒の美味

冬の寒い時期は販売していないようだが、今年は春先から温かい日々が多かったせいか、早くも店先に並んでいた。
知る人ぞ知る伊香保の隠れた名品「黒蜜水ようかん」。
日持ちしないので早めに食べてくださいね、と感じのいい女将さん。

奥の作業場からは出来上がったばかりの温泉まんじゅうのいい匂いが押し寄せてくる。
ああん、たまらない世界(笑)。
自宅に持ち帰って冷蔵庫に保存、翌日の賞味となった。
🧐実食タイム
小サイズだが箱流し(木目発泡スチロール製)で、サイズは左右120ミリ×天地92ミリほど。重さは箱込みで278グラム。

ふたを取ると、黒光りとともに黒糖の香りが来た。
漆黒の小宇宙、と言えなくもない。
黒蜜のしたたりに吸い込まれそうになる。

包丁でスッと切ってから、ガラスの皿に移し、木匙で口に運ぶ。
プルプル感とともに、キュルンとした舌ざわりで、こしあん✖黒糖✖寒天の絶妙なマリアージュがゆっくりと広がってくる。


黒糖のコクがこしあんを邪魔しない。むしろ引き立てているよう。
甘すぎないので、どんどん食べ進む。
うめえ、が出かかる。

あっという間に箱の中が半分以上消えかかっていた。
福井や日光などでは水ようかんは冬の楽しみでもある。
なので、この時期のこの黒蜜水ようかんも「もう一つの楽しみ方」かもしれない。
【サイドは?】
栗羊羹:蜜煮栗と本練りの本格派

伊香保が温泉まんじゅうだけではないことがこの一品でもわかる。
老舗「清芳亭」の栗羊羹も圧巻だが、この「寿屋」のものも一級品だと思う。

1本のサイズは180ミリ×40ミリ、厚さは約33ミリ。
重さは約331グラム。
栗がボコりボコりと入っていて、本練り羊羹の夜空に浮かぶ満月がいっぱい、って感じ。

期待以上の本格的な練りで、いい小豆の風味が凝縮して、こちらに押し寄せてくる感じかな。
歯触りが上質。

栗がやや固めで、その食感が練りの部分と対照的で、強弱のいいアクセントとなって、味わいに深みをもたらせている、と思う。
素材は小豆(北海道産)、砂糖、栗、寒天だけ。
店主のきれいな手を感じる丁寧なつくり。
😎あんヒストリー
創業は昭和38年(1963年)。現在2代目。素材選びと無添加手づくりへのこだわりが凄い。こしあんまで自家製という店は少なくなってきているが、ここはしっかりと踏襲している。

湯の花まんじゅう:こしあんとつぶあん

こしあんとつぶあんを3個ずつ入れてもらった。
二つのあんこを味わえるのがうれしいね。
サイズはどちらも直径約53ミリほど。

蒸かし立てから翌日の賞味となったが、ふっくら感といい、絶妙な塩気といい、温泉まんじゅうの王道の素朴ないい味わい。
つぶあんは柔らかく炊かれていいて、小豆のいい風味がふわりと広がってくる。

甘すぎない、濃いめのあんこで、皮生地とのバランスもいい。
自家製のこしあんはしっとりとなめらか。

塩気がほんのり。
これが実にいいあんこで、店主のあんこにかける情熱を感じる。
どちらも甲乙つけがたいが、今回は個人的にはこしあんの方にあんココロがよろめいた。

雑味のないいいあんこ。
この店のオリジナル焼き菓子「寿々虎」(珍しい虎豆のあんこ)は売り切れていたようで、今回はゲットできなかった。
とはいえ、この店の店主が無添加手づくりにこだわっていることが見て取れ、伊香保温泉の奥座敷が思った以上に深いことを改めて知ったのだった。
「寿屋」
所在地 群馬・渋川市伊香保町557-7