東京・三鷹に住んでいた頃、西荻窪はたまに足を運んだ場所。
お金に余裕があるときなど「こけし屋」で食べるフレンチと洋菓子が楽しみだった。

久しぶりに昭和レトロな「仲通り会」アーケード商店街(短いのが面白い)を通り抜けて、私の足がウキウキと向かったのは、これまた昭和レトロな「おもちやさん 越後鶴屋」。

地元でも人気の、田舎の素朴な香りのする小さな店だが、「おもちやさん」のキャッチがどこか懐かしい。
ここがセピア色の餅菓子屋の原点を感じさせる、驚きの和菓子屋さん。

基本的に賞味期限は「本日中」の餅菓子がざっと見たところ十種類以上雑然と並べられていた。それぞれ餅粉がたっぷり。たまらない。
時が止まったままのようで、活気がある。
あんこ三昧の私の目にも「驚き」という他はない。
あまりに素朴な餅菓子の世界。
入り口が狭く、二人ほど入れば外で待つしかない、という店構え。

奥が少し広めの作業所になっていて、数人の職人さんが粉まみれ(そんなイメージ)になって働いているのが見える。これもたまらない。
片っ端から食べたくなったが、胃袋の容量と日持ちを考えて、原点の原点ともいえる大福4種類を選んだ(泣く泣くです😢)
★ゲットしたキラ星
豆大福(こしあん)270円
黒豆大福(こしあん)350円
草大福(つぶあん)270円
きび大福(つぶあん)270円
※いずれも税込み価格です。

🧐実食①:開運豆大福(こしあん)
(ごらんの通り、餅粉がたっぷりかかっていて、自家製赤えんどう豆がポコりポコりと顔を出している。

直径は50ミリほど。重さは79グラム。ほど良い大きさ。

護国寺「群林堂」の豆大福を想起させるが、赤えんどう豆の数は群林堂ほどは多くない。
ある意味ほどよい数と言えるかもしれない。
杵つき餅は新潟産こがね餅米を蒸し上げてしっかり搗いている。

水打ちしていない(無水杵つき餅)ので、餅米だけのピュアさが徹底している。
買ってから7時間ほど経過していたので、実食時は少し固くなりかかっていた。
「当日中」の朝生菓子なので、これは本物の杵つき餅の証明でもある。
中のあんこはぎっしと詰まった自家製こしあん。

淡い藤色に驚かされるが、北海道産大納言小豆をじっくりと炊いて白ざら糖で仕上げているので、雑味が思ったよりもない。
甘さが冷え目でむしろ上品な味わい。

こがね餅✖ほんのり塩気の赤えんどう豆✖やさしいこしあんの三角関係が思ったほど濃くない。

拍子抜けするほどやさしい、穏やかな味わい。
「開運豆大福」と表記してあるためか、食べ終えると何だか運が向いてきそうな気がした。
🧐実食②:黒豆大福(こしあん)
高級な丹波産黒豆を餅に練り込んだ豆大福。

なので見た目は豆大福よりも黒豆の存在感が強い。
こしあんの中にも黒豆がしっかりと入っている。


艶やかでふっくら煮詰められた黒豆の風味が柔らかな餅とともに口に入ると、独特の風味がふわふわと広がる。

黒豆好きな人にはたまらない食感。
中のこしあんは上品でなめらか。
黒豆の個性と淡いこしあんの対比が口の中でいい関係をつくっていると思う。
👟あんヒストリー
創業は1985年(昭和60年)。現在3代目。店名でわかるように、ルーツは新潟・小千谷で、素材の餅米は新潟産こがね餅米を使用。あんこは自家炊きで、北海道産大納言小豆を使用してようだ。仕上げの砂糖は白ざら糖とか。店内から作業を見れるというのも店主のポリシーのようで、これはファンにとってはうれしい。餅菓子屋の原点を見る気がしてくる。店構えも含めて素朴を楽しみたい人にはおすすめ。価格設定をちょい下げてくれたら、もっとうれしいのだが、このご時世そうもいかない(勝手な感想です)。

🧐実食③:草大福(つぶあん)
すべて手づくりなので重さが微妙に違う。これは82グラム。

よもぎ餅は柔らかくて春の風味がふんわりと来る。
やはり餅粉のかかり方がとてもいい。

中はあまりに素朴なつぶあんがぎっしり。
小豆の赤みが濃いあんこで、こしあんの上品に比べると、違いが歴然としている。

期待したほど大納言小豆の風味が立ってこない。
その分、素朴に伸びる草餅との相性が悪くない。
🧐実食④:きび大福(つぶあん)
幾分黄色みがかったきび入りの大福餅がいい感触。

餅がしっかりと伸びやかで、きびの素朴な風味と食感が噛んだ瞬間ふわりと来る。


中のつぶあんは同じく濃く素朴なあんこで、甘さも抑えている。ぎっしり感。
なので、店内に表記してあるように「田舎大福」を愛する人にはこれはつい手を伸ばしたくなる大福たちかもしれない。
「越後鶴屋」
所在地 東京・杉並区松庵3-38-20
最寄り駅 JR中央線西荻窪駅南口から歩約2分
