今年最後の「週刊あんこ」は栃木・那須御用邸御用達の老舗和菓子屋「扇屋総本店(おおぎやそうほんてん)」の「隠元大使(いんげんたいし)」(小棹 税込み580円)です。ネーミングも凝ってる。
白あん(白いんげん豆)の蒸し羊羹で、群馬・嬬恋で穫れた花豆を蜜煮して、そのままドカドカと練り込んでいる。
とにかく見ていただきたい。
白いんげんの色と風味が透けて見えるようで、不思議な美しさ。
センターには大きな花豆の存在感。
そのオーパな断面。
瑪瑙を(めのう)を連想してしまった。
売り出し中の炭酸まんじゅう「うまかんべ」(5個入り 同700円)を買い求め、ふと横を見ると、出会ってしまった。あらまあこれはこれは、と言いたくなるビジュアル。初めて見る色調と光景。
「扇屋総本店」は創業百年の老舗で、那須湯本の名店としても知られる。御用邸饅頭が有名だが、「隠元大使」の珍しさに好奇心をグイと持っていかれた。
食感はういろうのようなもっちり感。白いんげん豆のクセのある風味と控えめな甘さが上品。塩気がほんのりと来る。
コアな小豆あんファンには少し物足りないかもしれないが、これはこれでレアな美味さがあると思う。
おまけに「うまかんべまんじゅう」も書いておきたい。
皮は炭酸まんじゅうで、つややかなもっちり感がとてもいい。
中のあんこはつぶしあん。北海道産えりも小豆を上白糖で炊いているようだ。水飴も加えているようで、素朴なあんこはねっとりとしている。濃いあんこ。
那須御用邸ゆかりの和菓子屋の二品。
コロナに明け暮れた令和2年だが、来年はどうなるか、これだけは神のみぞ知るとしか言いようがない。
あんこの神様にもコロ難退散祈願をして、来年もまた日本のあんこ文化をウオッチし続けたい。
あんこファンのみなさん、よいお年を!
あんこ愛と感謝を込めて。
所在地 栃木・那須町湯本200
※次回の予告。新春1月3日(日)京都「亀屋良長」のめでたい和菓子からスタートいたします。こうご期待ください。