新型コロナウイルスに負けてはいられない。
と書き出したが、このブログの趣旨はあんこ、である。
あんこが地球を救う、ことだってあるかもしれない。
で、今回は老舗のあんパンって何だ?ということを少し考えてみたい。
あの銀座木村屋があの渋谷スクランブルスクエアに出したアンテナショップ「キムラミルク」へ立ち寄り、あんパンの最前線を味わってみようと思い立った。
買ったのはパン生地(酒種50%入り)にマッシュポテトを練り込んだ「つぶあんぱん」(税込み 201円)と「こしあんぱん」(同)。この店だけのあんぱん、でもある。へそには木村屋のシンボル、桜の塩漬け。
で、賞味後。あくまでも個人的な感想だが、がっかりかりかり。期待値が大きすぎたのかもしれないが、パン生地にもっちり感がなく、むしろパサパサ気味(たまたまなのか?)。
中のあんこは銀座木村屋共通のもの。なぜか感動が来ない。
明治7年(1874年)にあんぱんを発明した、敬愛する木村家、一体どうしちゃったんだ?
せめてこの店だけの手作りあんこを作れないものか。コスパ的にも「?」だった。他にもユニークな、ある種の実験的なあんパンが並んでいたので、結論を急がず、別の機会にまた訪ねてみたい。
次に訪れたのが、三軒茶屋の有名店「濱田家(はまだや)三軒茶屋本店」。「小麦と酵母」の文字が染め抜かれた紺地の日よけ暖簾が渋い。
オープンしたのは2000年(平成12年)11月と、銀座木村屋に比べると、歴史がはるかに浅い。
ここで買ったのが、人気2位の「くるみあん」(税込み210円)、「あんぱん」(同170円)、冬季限定「冬の3色あんぱん」(珈琲、玉露、こしあん 同240円)。(ちなみに人気1位の「豆パン」はあんぱんではないので今回は外した)。
パン生地がそれぞれ違っていて、「小麦と酵母」を看板にしているだけのことはある。小麦の香ばしさともっちり感が十分にある。
個人的な感想ではパンの美味さが、木村屋より上だと思う。パン生地の小麦粉はカナダ産を使用しているようだ。
最も気に入ったのは「くるみあん」。ハード系に近いパン生地にくるみが練り込んであり、その密度と食感、口の中に広がる風味がとてもいい。
中のあんこはきれいなつぶあんで、あんこ好きとしてはもう少し量が欲しいが、いいあんこの風味が舌の奥から立ち上がってくる。控えめな甘さと塩気も悪くない。
残念ながらあんこは自家製ではなく、製餡所から取り寄せているようだ。
「冬の3色あんぱん」はコーヒーあんが特に気に入った。インパクトは薄いが、こしあんとコーヒーの相性は悪くない。
濱田家本店は古さと新しさ、和と洋をうまく組み合わせていると思う。総菜パンの新しい世界を模索していて、それが成功しているように見える。
一方、銀座木村屋の「キムラミルク」は迷路にハマっているのではないか。残念だが、表面だけの新しさと感じてしまった。心にずんと来ない。あんパンと牛乳の組み合わせは古くて新しいが、ここはミルクにも一工夫欲しい気がする。
あんパンを発明した、初代のコペルニクス的な精神が、140年以上経つと、少しずつズレが生じてくるのかな(ズレてるのはお前の方だ、の声あり)。
暖簾を維持するのは難しい、とは思う。なので、あんパン好きとしては、もう少し、この「あんパン進化」の行方を見ていきたい。
これからこれから。
所在地 東京・世田谷区三軒茶屋2-17-11グレイス三軒茶屋102