あんドーナツはどこか懐かしい響きがある。
神奈川のB級グルメ大会「フードバトル」で2年連続金メダルを取り、「殿堂入り」したというあんドーナツを食べることになった。
殿堂入りとはどんなもんかいな。
砂糖をあきれるほどまぶした、まんまるいお姿は、昭和の匂いがプンプンする。
知る人ぞ知る工場のパン屋さん「オギノパン」の工場直営店(相模原市緑区)に立ち寄り、7~8人の行列に並んでゲットして、天使のいる娘夫婦の家で賞味となった。
「丹沢あんぱん」(9~12種類)で知られるが、あんドーナツは揚げたてが一番美味いというポリシーで、売り場と少し離れたところで、そこだけ昭和な一角で、2人の白衣のスタッフが、いい匂いとともに、忙しそうに揚げてから、すばやく砂糖をまぶしていた。
こしあん入りの「あんドーナツ」とコッペ型のあげパン、カレードーナツの3種類だけ。
その他に目玉商品の「丹沢あんぱん」も5種類だけゲット、こちらは自宅に戻ってから、牛乳とコーヒーを用意して、じっくりと食べることにした。
あんぱんに牛乳は欠かせない。
〈今回のラインアップ〉
・あんドーナツ(税込み 150円)
・あげぱん(同 120円)
・丹沢あんぱん(つぶあん)
・丹沢あんぱん(こしあん)
・丹沢あんぱん(栗あん)
・丹沢あんぱん(みるくあん)
・丹沢あんぱん(ピスタチオあん)
【本日のセンターは?】
「B級殿堂入り」揚げたてあんドーナツ
オギノパンは出発点が給食用のパン製造業(創業は1960年)で、町の小さなパン屋さんとは趣が少々異なる。
素材や捏ね方、寝かせ方、焼き方など、工場を見学して少しわかったが、コッペがベルトコンベア式で次々に流れてくる光景は、ある種感動的だが、個人商店のものとは違う。
それでも素材にこだわり、手作業を取り入れようとしているのがわかる。
あんドーナツはその最たるものかもしれない。
揚げてから30分ほどしてからの賞味となった。
ごらんの通り、昔ながらの正統派のあんドーナツ。
砂糖がたっぷりまぶしてあり、油の匂いが、鼻腔をくすぐる。
なでなでしたくなる、いい揚げ色。
手で二つに割ろうとすると、柔らかなパン生地が、抵抗するようにぎりぎりまで伸びる。まだ温かい。
こしあんがたっぷり詰まっていた。
こしあんはなめらかで、甘さが抑えられている。
口に入れて、噛んだ瞬間、小麦粉(北海道産)の香りと工場のパン屋さんのこしあんとは思えないふくよかな味わい。
ザラザラとこぼれ落ちる砂糖。
「おっ、うまいじゃん」言葉が素直に漏れてくる。
食べ終えても昭和の甘い断末魔の余韻がしばらく舌の上に残る(甘い断末魔って何だ?)。
グダグダ書いてしまったが、「セピア色の殿堂」ってところかな。
※シンプルなあげぱんもイケたが、あんなしなので、スペースの関係で省略します。
【サブは丹沢あんぱん5種】
小ぶりのあんぱん。1個税込み150円。つぶあん(右端)の重さは約60グラムほど。大きめの饅頭サイズ。ゲットしてから20時間近くたってからの賞味となったので、ブリオッシュ生地が少しパサついていた。
なので、個人的にはつぶあんもこしあんも期待したほどの感動はなかった。
あんこ自体はボリュームはすごいが、それなりの味わい。
中でもこれはイケる、と感じたのは栗あん、みるくあん、ピスタチオあん。
気に入った順に並べると、
①ピスタチオあん
なぜか皮(生地)のパサつきが少なく、白あんとブレンドしたピスタチオの風味がさわやか。すっきりとしたやや緑色がかったあんこがしっとりしていて絶妙に感じた。ピスタチオのつぶつぶ感が効いている。あんこのボリュームもかなりある。
②みるくあん
白あんと練乳クリームをブレンド。これも皮のパサつきが少なくて、みるくあんもふくよか。表面頂上にはチーズがほんのり。芸が細かい。
③栗あん
今が旬の季節限定のあんこかもしれない。白あんと栗の相性がバッチリ。
④つぶあん
北海道十勝産小豆が甘さ控えめにまとめられている。パン生地が少しパサついているのは残念。和菓子のような感覚のあんぱんだと思う。
⑤こしあん
こしあんはなめらかだが、やはりパン生地がパサつき気味。惜しいなあ。
〈追記〉
霧吹きでさっと水分を付けて、レンジで15~20秒ほど温めたら、ブリオッシュ生地のパサつきがなくなり、味わいが1ランク上がった。工場で買ったとき「レンジで10秒温めるとさらに美味しくなります」と言われたが、個人的な感想では10秒では少し足りない気がした。
【本社工場直売店の所在地】
神奈川・相模原市緑区長竹2841