ようやく東京・馬喰町の超老舗「御菓子舗 亀屋大和」(かめややまと)にどたりと着地した(気分はふわりと、ですが)。
歩き疲れて何千里の気分。
文政7年(1824年)刊の「江戸買い物独案内」(当時のグルメガイドブック)にも「京御菓子所 亀屋大和掾」と掲載されている凄い歴史の和菓子屋さんで、ルーツが京都だったと思われる。
店名の最後の「掾(じょう)」とは御所に和菓子を納める際の官位を表し、例えば「虎屋」は「近江大掾」という官位を下賜されている。
と、のっけから固い出だしになってしまったが、この亀屋大和を書くうえではこの歴史を書かないわけにはいかない(肩に力が入りすぎだ)。
令和8年の現在はむしろひっそりと、しかも凛として、ノスタルジックな店構え。

くぐり抜けた歴史を感じる木枠のガラス戸には金箔文字で「御菓子舗 亀屋大和」と印されている。

現在10代目(9代目もご健在)。
引き戸を横滑りさせて内に入ると、人気の焼き団子や朝生の草餅、最中、どら焼きなどがきちんと並べられていた。

つい目が吸い込まれる。
★ゲットしたキラ星
万年最中 220円
鹿の子2種大納言&うぐいす
それぞれ250円
どら焼き 260円
梅どら 280円
※すべて税別価格です。

【センターは】
万年最中:種もあんこもザ・プロフェッショナル

かつては上生菓子もつくっていたようだが、現在はむしろ町の和菓子屋さんに近いラインナップで常連客にも愛されている。
焼き団子のファンが多いが、どれも高いレベルで、一品一品にスキが無い。
私が特に唸らされたのが「万年最中」(まんねんもなか)。

店頭で応対してくれた気さくな女将さんによると、「ずっと昔から代々つくっている」とか。
江戸時代からタイムスリップしてきた?
きれいなきつね色でいい香ばしさが鼻腔に来た。
手に持つとすべすべ感が違う。
満月の形でサイズは直径が68ミリ。重さは47グラム。

🧐実食タイム
繊細でいてしっかりとした種(皮)を包丁で切ってから両手で割ると、香ばしさがさらに来た。

中のつぶあんは小倉色のいいテカリで、半透明の上質な練り方が見て取れた。
珍しい、寒天を使用していない、代々の製法が生きている。

歯を立てると、種のきれいな香ばしさが来て、そのすぐ後から主役のつぶあんが上質なねっとり感で、小豆のピュアな精が噴出してくるよう。


うめえ~、がつい漏れる。
やや甘めだが、私がこれまで食べた最中の中でもこれはトップクラスの味わい。
亀屋大和の屋号がこの一品に詰まっている、と言いたくなる。
手抜きが一ミリも見えない。
掛け値なしにすごい最中だと思う。
👉あんヒストリー
関東大震災や東京大空襲などの被災で古文書や資料は焼失してしまった。残る外部の資料などで創業は江戸時代前期から中期のようだ。あるいはもっと遡るかもしれない。亀屋大和という掾の官位から創業は京都ではないか。江戸でも御用菓子司だったと思われる。3代ほど前までは本所に本店があり、そこから現在の馬喰町(東日本橋)に移転。「小さくなっちゃって」と女将さんは謙遜するが、餡づくりのベースはしっかりと受け継がれている。
【サイドは?】
鹿の子(うぐいす):うぐいす豆とこしあんの春風

大納言とうぐいす、2種類の鹿の子の上質な美味さ。
特に気に入ったのがうぐいす。

うぐいす豆はふっくらと柔らかく煮詰められていて、うぐいす独特の風味が口中に広がるのがすぐに実感できる。
中はこしあん(自家製)。しっとりとなめらかなこしあんで、10代目と9代目の腕の冴えがわかる。


ちょっと驚かされたのが、こしあんの中にやや固めの小さな求肥餅(?)が入っていたこと。
なので味わいを外側⇒内側⇒核と三度ほど楽しめる。
どら焼き&梅どら:つぶあんと蜜煮梅の合体

定番のどら焼きの直径が約83ミリ。重さは71グラムとほどよい大きさ。
自然な焼き色で、新鮮な卵の香りがしっかりと手焼きされたどら皮から立ち上がってくる。
中はつぶあんで、この炊き方、煮詰め方がとてもいい。

小豆の皮まで柔らかい。
甘すぎない、絶妙な甘さ。いい余韻が残る。

地味だが、スキのない造りで、一級品のどら焼きだと思う。
梅どらの凝った味わいも特筆もの。

つぶあんは同じだが、ちょいと失礼して、めくってみると、蜜煮した梅が種を取って、つぶした形で乗っている。

この蜜煮梅の酸味が上質なつぶあんとどら皮と口内で合体し、愛し合い、プラスアルファの豊かな風味を醸し出している。

これは「ほお~」が二、三度漏れてくる美味さ。
かしわ手をつい打ちたくなった。
「御菓子舗 亀屋大和」
所在地 東京・千代田区東神田1-14-10
最寄り駅 JR総武線馬喰町駅から歩約5分
