ひと昔前のこと、京都の畏友から「御目出糖」なる蒸し菓子をいただいた。
ダジャレみたいな菓銘だな、と思いながら「蒸物製」(つまり蒸し菓子)という表記に歴史を感じながらもさほど期待せずに食べたら、これがビックリの味わいだった。
一瞬、お赤飯をイメージするような外見だが、とんでもハップン(死語だよ)、こしあんと米粉(上新粉)+餅粉(上南粉)をそぼろ状にしてから蜜漬けした大納言あずきを散りばめ、蒸し上げた、すごい歴史を持つ一級品だとわかった。

究極のもっちり食感、絶妙なこしあんの入り・・・オーバーではなくひれ伏したくなる美味さだった(汗)。
萬年堂本店(東京・銀座)で買ったものとわかって、わが身の無知を恥じながらその後何度か立ち寄ったりした。
〈ひと口メモ〉創業(京都・寺町で)が元和3年(1617年)。当時の屋号は亀屋和泉。「御目出糖」は当初は「高麗餅」の菓銘でつくられ、明治以降に「御目出糖」となっていったようだ。明治維新で東京遷都となり、亀屋和泉も東京に移転、「亀屋和泉萬年堂」として再スタートを切ったようだ(赤坂虎屋とほぼ同じ流れ)。
前書きが長くなってしまったが、さて、本題へ。
その超老舗の萬年堂、飯田橋にも暖簾分けが存在することを知り、いつか行きたい、と思いながら、時間だけが流れた。

今回、遅ればせながら、ようやく紺地の暖簾をくぐることができた。
モダンで老舗の気配が漂う、いい店構え。
★ゲットしたキラ星
御目出糖 1個280円
ありが糖う 1個280円
三段高麗餅 1個324円
(季節限定3月3日まで)
亀っ子最中 つぶとこしあん
各264円
※すべて税込み価格です。

【センターは?】
三段高麗餅(季節限定):目と舌と食感の三重奏
桃の節句までの季節限定なので、今回はこれをセンターにしてみた。

ひな人形のお供え「菱餅」をイメージした美しい蒸し菓子。
三層仕立てで、下から若草、春の雪、桃の花の色のイメージ。3色はクチナシなどで着色しているようだ。

菱形の一辺は70ミリほど。厚さは約50ミリ。重さは約41グラム。
三層のベースはこしあんではなく白あん(北海道産手亡)。

独特のもっちりした食感と上品な甘さは「ありが糖う」とほとんど同じ。

むしろ淡白な味わいだが、深い余韻がしばらく舌にとどまる。
●あんヒストリー
「いいだばし萬年堂」の創業は平成5年(1993年)。銀座本店は長男(11代目)が引き継ぎ、主に和菓子製造を担当していた次男が飯田橋に暖簾分けした。それぞれ代を継ぎ、こちらは現在2代目。上生菓子のほか「福豆」(うぐいすの半生菓子)など創作菓子にもチャレンジしている。

【セカンドは?】
御目出糖:こしあんと大納言の入り方、蒸し菓子の傑作
萬年堂の本流の蒸し菓子がこれ(写真右、左はありが糖う)。

見た目も味わいもひと昔前に食べて驚かされたものとほとんど同じ。

銀座の本店とは経営も別で、今では接点は少ないようだが、ルーツは同じなので精緻を極めた製法も味わいも私の舌ではほとんど変わりないように思える。
サイズは約50ミリ×40ミリ。重さは約51グラム。

個人的にはこれが一番好きで、こしあん×餅粉+米粉のマリアージュがとにかく素晴らしいとしか言いようがない。

極上のもっちり感。蜜煮した大納言あずきのアクセントが効いている。
私にとっては究極の蒸し菓子で、秘めたあんこ力を一番感じる。賞味期限は冬場で4日ほど。
【サイドは?】
ありが糖う:いいだばし萬年堂のオリジナル
淡いピンク色が上品で、こちらは白あん(北海道産白金時豆)ベース。

断面を見ると、蜜漬けした大納言あずきが誘うように組み込まれている。

もっちりした食感は同じだが、「御目出糖」より淡白な味わい。

テッペンには蜜煮した大きめの白金時豆が一個乗っていて、気品の引力を感じる。
萬年堂のルーツは京都「亀屋和泉」なので、亀はシンボル。
その亀に子を付けて最中にしている。愛らしさも。


種(最中皮)のしっかりとしたサクサク感と香ばしさ、それにぎっしりと詰まった2種類の自家製あんこが濃厚で舌にしっかり来る。


私の好みはこの2種類ではどちらかというとこしあんだが、立ち上がってくるあずきの風味が甲乙つけがたい。
これはうめえ、と京都弁ではなく、つい江戸弁で言葉が漏れてしまった。
「いいだばし萬年堂」
所在地 東京・新宿区揚場町2-19
最寄り駅 飯田橋駅から歩約1~2分