作家には大の和菓子好きが多いが、ミステリーの大家・江戸川乱歩もその一人。
その彼が愛した和菓子屋さん、と言えばここになる。
池袋三原堂。

特にここの「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」がご贔屓で、店にはモノクロ写真とともにそのことが記されていて、来るたびにほのぼのとミステリアスな気分になる。

あんこにミステリーはよく似合う?
今回ゲットしたのはその薯蕷饅頭を中心にこの期間限定の不思議な桜餅、黒糖どら焼きなどをテーブルに乗せることにした。
明智小五郎になった気分(?)で味わうことにしよう。
★ゲットしたキラ星
薯蕷饅頭 260円×2個
桜餅 300円
黒讃(どら焼き)320円
蔵のどら焼 320円
大最中 350円
※すべて税込み価格です

【センターは】
薯蕷饅頭:大和芋を練り込んだ皮とこしあんの絶妙
淡雪を丁寧に丸めたような皮生地にまず目が吸い込まれる。

大きさは約40ミリ×40ミリほど。
底を見ると、うっすらとあんこが透けて見える。

これはたまらない、ね。
上生菓子なので本来は黒文字を入れるのが作法だが、朝が苦手で、生涯46回も引っ越しをしたと言われる乱歩がゆったりと黒文字を入れる姿は想像しにくい。
なので、私は手で割ってみた。

きれいな自家製こしあんが現れた。
実食タイム 上新粉(米粉)と大和芋の新鮮な香りと舌ざわりがまず来る。
添加物などは使っていない。

続いて、甘さ抑えめのこしあんの上質なしっとり感がゆっくりと押し寄せてくる。
舌の上のマリアージュがワンランク上質。

塩気はほとんど感じない。京都に通底する上生菓子の味わい。
乱歩が創作に疲れた時などこの薯蕷饅頭をパクリと食べて頭脳をいやした、と考えると、ミステリー感が近くなる気がする(そんなはずはない?)。
【サイドは?】
淡い桜色の薄い生地、塩漬け桜葉がシンプルで美しい。

驚きは中のあんこ。

十勝産小豆をじっくりと炊いた、しっとりとした上質のこしあんだが、小粒な白いんげん豆(蜜煮したもの)が点々と入っている。

桜餅はずいぶん食べているが、こうした掛け算は初めて。
これがいい効果を生んでいて、桜葉の香りと塩気、こしあんの王道の味わいにちょっとしたフェイントを仕掛けてくる。
思わず「うめえ」、と言葉が漏れる。
●あんヒストリー
池袋三原堂の創業は昭和12年(1937年)。人形町水天宮前の三原堂本店で修業した初代が暖簾分け。現在3代目(2代目もご健在)。神田三原堂、本郷三原堂も同じ暖簾分け。それぞれ独自の道を歩んでいるが、塩せんべいや大最中などは共通している。三原堂の屋号はしっかり守られている。
黒讃(くろさん):黒糖と和三盆のどら焼き
どら焼きは三原堂の売りの一つだが、これは波照間産黒糖+高級な和三盆を使っている。

虎模様のしっとりとしたどら皮。
中のつぶあんは柔らかく炊かれていて、そのテカリとふわりと吹き上がる小豆の風味にハッとなる。

豊潤で濃い味わい。
和三盆が穏やかに包み込むよう。

全体の蜜感にやられてしまった。
乱歩が薯蕷饅頭以外にこれを食べたか、気になる。
蔵のどら焼:蔵の焼き印のフツーに美味いどら焼き
黒讃ほどの濃いしっとり感はないが、定番の味わいだと思う。


あっさり系のどら焼き好きにはおすすめ。
あんこの美味さも老舗のもの。
三原堂のどら焼きの実力がわかる一品。
大最中:ボリュームとあんこの塩加減がクール

サイズは約87ミリ×87ミリ。円形。重さは68グラムほど。
「大」が付く最中の美味さがひと噛みでわかる。

しっかりした種(皮)のサクサク感と香ばしさ。
何よりも中の柔らかなつぶあん(十勝産)のボリュームと濃厚がすごい。

甘めで塩が効いている。

それがひと噛み後、ふた噛み⇒三噛みとどんどん先に行く。
気が付くと、大一個ぺろりと消えていた。
口の中にいいあんこの余韻がしばらく残る。
大最中は他の三原堂にもあるので、明治時代創業(水天宮本店)からの守るべき伝承の味わいということかもしれない。
池袋三原堂
所在地 東京・豊島区西池袋1-20-4
最寄り駅 池袋駅西口から歩約1分
