和スイーツ界の頂点に位置するのが京都であることに異論はない。
いい店が多すぎる。
今回ご紹介するのは、北野天満宮前の「粟餅所 澤屋(あわもちどころ さわや)」。
創業は江戸時代前期の天和2年(1682年)だが、もっと以前から粟餅は北野名物だったようだ。
ひょっとして和菓子好きの太閤秀吉が食べていたかもしれない。千利休も茶席に出していたかもしれない。
そんな空想を抱きたくなる逸品が、この超老舗の粟餅である。
三百数十年間、粟餅ひと筋。目立たない一軒家にいい暖簾が下がる。
引き戸を引いた途端、タイムスリップした気分になる。
ご高齢の12代目と女将さん、そのご子息13代目が注文と同時に、木桶から見事な手さばきで粟餅を取り出し、こしあんで丸める。きな粉をかける。
店内で食べたのが「白梅」(こしあん3個、きな粉2本)。舌代は600円。お茶をサービスに付けてくれるのがうれしい。
今でも毎朝臼(うす)で搗きたて。
柔らかな粟餅がこんなに美味いとは。驚くしかない。
きれいなこしあんと粟餅の風味に癒される。
夕方までしか持たないので、店に来て食べるのがベストの方法だと思う。
かような店は京都でも数少ない。
食べ終わった後、思わずかしわ手を打ちたくなる。
最寄駅 市営バス「北野天満宮」前