東京・浅草には古くていい和菓子屋さんが実に多い。
オーバーツーリズムも否定しないが、外国人観光客があまりいない、本来の浅草を感じたい。
その一つが「塩埜(しおの)」。
浅草寺の御用達として、添加物を使用しない、明治から続く伝統を守り続けている、数少ない和菓子屋さんの一つ。
浅草駅から馬道通りを北に向かってしばらく歩くと、瀟洒な店構えが見えてくる。

金文字の渋い屋号、水引暖簾、季節限定の「栗蒸しようかん」のノボリが私のあんココロをくすぐる。
どこか浅草の伝統とモダンを感じさせる、明るい店内。
★ゲットしたキラ星
栗むし羊羹 1360円
大納言かのこ 270円
焼き菓子3種類
くるみ饅頭 184円
栗饅頭 184円
里の香 184円
※税込み価格です。

【センターは?】
大納言かのこ:中に求肥のていねいな逸品

上生菓子もきれいに並んでいて、その中で堂々と美しい大納言かのこをピックアップしてみた。

賞味期限が「できれば本日中に」」ということだったので、これだけ早めに食べることにした。
やや大きめのサイズで、明るめの大納言小豆(北海道産)が透明な薄い寒天の膜につつまれて、キラキラといいオーラを放っている。



菓子楊枝で切ると、見るからになめらかなこしあんと求肥餅が現れた。
凝った造り。
大納言小豆はやや固めでしっかりと煮詰められている。

ゆるりと口に運ぶと、外側の大納言小豆と上質な自家製こしあん、それに柔らかな求肥餅が三重の波となって広がってきた。
甘さが上品で、むしろ淡い。野暮ではなく粋なかのこ。
硬軟三つの食感が絶妙で、店主の腕前がかなりのものと実感できる。
野暮で素朴なかのこも好きだが、この気品もたまらない。
【サイドは?】
栗むし羊羹:竹皮包みの季節限定品

王道の栗蒸し羊羹で、見事な竹皮を取ると、本体が現れた。

やや明るめの美女の妖艶なお姿に心がざわめく(この比喩、外したかな?)
蜜煮栗(国産栗を使用)がボコりボコりと浮かんでいる。
慌ててはいけない。

竹皮の香りを吸い込みながら、気持ちを落ち着かせて、包丁を入れる。
食感は小麦粉と葛粉の入り方がいいバランスで、ややねっとりとしていて、蜜煮栗のふくよかさにマッチしている。


こしあんの存在感が十分に入り込んでいて、「素朴で上質な」味わいをつくっている。
塩気のほどよさ。
小股の切れ上がった、粋を感じさせる栗蒸しだと思う(どういう意味だ?)。
焼き菓子3種類:くるみ饅頭の食感の素晴らしさ

くるみ饅頭 小ぶりだが、上に乗ったくるみのカリッとした歯触りと生地✖こしあんのマリアージュがとてもいい。

見た目の卵黄のテカリもあん欲をそそる。

塩気が絶妙で、これぞ焼き菓子の珠玉と表現したくなった。
栗饅頭 これも小ぶりだが、卵黄のテカリと小麦粉ベースの生地、それに中の白餡(手亡豆)と蜜煮栗がいいバランスで噛んだ瞬間にいい風味が押し寄せてくる。

栗がほどよいアクセントになっていて、舌の上の秋を感じっさせる。

個人的にはコーヒーとの相性がいいと思う。
里の香 バターとミルクの香りが白餡と絶妙にマッチングうしている。

塩気(バターの塩気)がこの半生焼き菓子をモダンにしている。

口どけも素晴らしい。
小さいので何個でも食べられそう。
●あんヒストリー
創業は明治43年(1910年)。現在4代目。長年にわたって金龍山浅草寺をはじめ三社浅草神社、待乳山本龍院の御用達もしている。素材選びから製法まで代々手づくりの良さを受け継いでいる。

「塩埜」
所在地 東京・台東区浅草3-28-9