歴史的には加賀前田家2代当主・前田利長(加賀藩初代藩主)が造った高岡城を中心に栄えた城下町だが、今はその面影はかすれて、酷暑のせいか町は閑散としていた(7月末時点)。
なぜ来たかったか、というと、金沢の影に隠れているが、いい和菓子屋さんが今も暖簾を提げていると見立てたからです。つまり隠れた和菓子メッカ。
炎天下、山町筋(重要伝統的建造物群保存地区)まで路面電車を使わずあんブラ(笑)。
目的は天保9年(1838年)創業の「御菓子司 大野屋」。
ここの目玉が小さな球形の逸品「とこなつ」(ハワイの常夏ではありませんぞ)。
備中白小豆をベースにした上質のあんこ菓子で、表面を覆う和三盆があんココロを引き寄せる。白いオーラの気配。
歴史的建造物の一角に和と洋のいい店構えが見え、そこが「大野屋」だった。
★ゲットしたキラ星
とこなつ(12個入り)1242円
笹水餅(3個入り)519円
田毎(たごと)131円
※すべて税込み価格です。
【センターは?】
笹水餅(ささみずもち):笹でくるんだ求肥餅とこし餡の絶妙
「とこなつ」をゲットする前に冷蔵ケースに納まったユニークな水菓子が目に入った。
あんこセンサーがときめいた。
みずみずしい笹が見え、その中に白玉のような餅が見え、よく見ると大納言小豆が数粒表面に張り付いていた。凝ってる。
これってかぐや姫では? (角度によってはパンダに見えなくもない?)
「こし餡入り」の説明。
季節限定のユニークな生菓子で「今だけの季節限定です」と女性スタッフ。
賞味期限が短いので、冷蔵保存して、翌日早朝に味わうことにした。
〈実食タイム〉
葛饅頭のようだが、白さが際立っている。
素材を見ると、砂糖・小豆のほかに澱粉や卵殻粉、餅粉、葛粉の文字が見え、この絹のような白さがそうした合わせ技から来ているようだ。
食感は求肥餅のようでもあり、白玉のようでもある。
つるりとしたもちもち感は白玉の歯触りに近いと感じた。
中のこし餡(自家製)のなめらかさと上質な舌触り。
笹の香りがほんのりと広がった。
蜜煮した大納言小豆が3粒ほど。
それらのマリアージュが上質な、こし餡のそよ風とともに冷たい美味となって・・・「おっ、来た来た」とつぶやきたくなった。
塩気の利き方も絶妙。
大野屋のオリジナル生菓子かもしれない。
【サイドは?】
とこなつ:備中白小豆×水飴×餅粉の珠玉
店のスタッフに「これって常夏って意味ですか? ハワイなどの・・・」と失礼なことを言ってしまった。
スタッフが笑ってくれたので助かったが、「とこなつ」のネーミングは「万葉集」の歌人・大伴家持の和歌から取ったものだそう(高岡と深い縁がある)。
ごらんの通り直径3センチほどの球形の餅菓子の一種で、大野屋では明治時代からつくって売っているそう。
歴史のある珠玉菓子だった。
凝縮したもっちり食感。
希少な備中白小豆をベースにした上質な餅菓子で、思ったよりも歯ごたえがあり、それが餅粉と水飴の力で独特の食感を生んでいる。
表面には高級な和三盆がかかっていて、このままでも十分に美味いが、この時期は冷蔵庫に入れて少し冷やしても美味。
甘めだが、噛んだ瞬間広がってくる風味と密度が心地よい。
茶席にも合いそうだが、エアコンを利かせた部屋で熱めのドリップコーヒーとともに楽しんでも面白いと思う。
余韻も上品。
●あんヒストリー
創業は天保9年(1838年)。もともとは醸造業だったようだが、この年に和菓子屋に転換したようだ。現在9代目。加賀文化圏の一角とも言えそうだ。上生菓子から干菓子、さらにはシュークリームなど洋菓子も製造している。伝統と進化を併せ持つ富山の名店の一つ。
田毎(たごと):棚田に映る月?伝統焼き菓子
田毎とは田んぼとか棚田の意味。
生地が土の色(茶色)で、小麦粉をベースに卵と白砂糖と黒砂糖を加えて練り、中に半生のこし餡を据えている。
サイズは約50ミリほどで、厚みは35ミリほど。
焼き菓子のいい風味が来る。
ほくほくと口の中で崩れる感覚がとともいい。
フツーに美味しい半生焼き菓子。
「御菓子司 大野屋本店」
富山・高岡市木舟町12
最寄り駅 JR高岡駅から歩約15分