今回お届けしたいのは、京都の「おまん屋さん」の朝生菓子です。

京都の和菓子を大雑把に分けると、歴史的に上層の上菓子屋(公家やお寺など上流階級が主な客筋)と下町のおまん屋さんという図式になると思います。
粋を極めた菓子司がつくる上生菓子は高価だが、やはり目と舌がキュンと刺激されて、素晴らしい。例えば「嘯月(しょうげつ)」や「亀末廣」など(ほんの一例です)。
一方のおまん屋さん(主に饅頭屋と餅屋)。京都っ子が親しみを込めてこう呼ぶ。
舌代も手ごろで、何よりも庶民に近く、毎日食べても飽きない、それゆえに口の肥えたイケずな京都っ子にも愛されている。
大行列店「出町ふたば」や「今西軒」などこちらのグループに入ると思う。
さて、上菓子屋さんに敬意を表しつつも、どちらかというと「おまん屋さん」にシンパシーを感じる私にとって、星の数ほどあるおまん屋さんの中で、レトロな穴場「出町桝形商店街」にある「おた福」へと足が向かった。

売り切れが早いので、酷暑のなか何とか午前中にたどり着いた。
すぐ近くには私も好きな大行列店「出町ふたば」がある。
店が大きくないので、大行列ではないが、地元のおばはんたちが次々とやってきてはお赤飯を買ったり、みたらしや豆大福を買ったり。見るからに美味そうな朝生菓子の多さ。

店の応対も世間話が入ったり、笑い声がまじったり。敷居の低さが心地よい。
😍ゲットしたキラ星
豆大福 180円×2個
くずまんじゅう160円
よもぎ大福 150円
よもぎだんご150円
おはぎ(つぶ餡・きな粉)
各150円
※すべて税込み価格です。

【センターは?】
くずまんじゅう:鹿児島産本葛×こし餡の絶妙

どれをセンターにしてもいいが、季節限定の「くずまんじゅう」にあんココロがときめいた。引き込まれる。

塩漬け桜葉に包まれた半透明のくずまんじゅうで、うっすらと見えるこし餡(自家製)の誘惑に理性が吹っ飛びそうになった。そのあんこのボリューム。これは危ない、あぶない(笑)。
「本日中に召し上がってくださいね」(女性スタッフ)
その言葉にトーゼンのごとく宿泊先で食べることにした。
冷蔵庫で少し冷やしてから。わくわく。
京都の熱く、甘い夜。
〈実食タイム〉
塩漬け桜葉の香りとむるん、と表現したくなる独特のもっちり食感。


葛生地のピュアな風味がまず口の中に広がる。
続いてなめらかなこし餡。
絶妙な舌触りとともに北海道産小豆のいい風味がグイと広がってくるのがわかった。

ほどよい甘さとほのかな塩気。
個人的には並の高級店のものと感動においてそう変わらない気がした(舌が追い付かない)。
コスパの良さ。

後日、吉野葛を使っているかもと推理して電話で聞いてみたら、「うちは昔から鹿児島の本葛を使ってます」と返ってきた。
ほお~が出かかる。鹿児島は本葛の名産地の一つ。
京都のおまん屋さんの底力、すご。
【サイドは?】
豆大福:売り切れ寸前にゲット、小さな巨人

すぐ近くの大行列店の豆餅よりも小ぶりで、中のあんこはつぶ餡がぎっしり。

たっぷりの餅粉と柔らかな、あまりに柔らかな餅。
赤えんどう豆はやや固め。

「うちの自信作です」(店のスタッフ)
出町ふたばの名代豆餅とは比較できないが、塩気のほんのりが私のあんココロにグイと来た。
2個、あっという間にペロリ。
😎あんヒストリー
創業は1933年(昭和8年)。現在3代目。庶民的なアーケード商店街の入り口近くでお赤飯や餅、朝生菓子を売り続けている。敷居の低さはまさに京都のおまん屋さんの系譜。素材へのこだわりも表には出さないが、しっかりと秘められている。「ぬれ甘納豆」などもつくっている。これもいいレベル。

よもぎ大福:杵つき餅の柔らかさとつぶ餡の量

よもぎの風味が伸びやかな餅、それに甘めで柔らかなつぶ餡を包み込むようにやってくる。つぶ餡のボリュームは申し分ない。

そのバランスがとてもいい。塩気もほどよい。

だんごと表記しているが、見た目はきな粉がなければ大福と変わらない。
だが、うるち米(上新粉)の餅なので、よもぎ大福とは少し食感が違う。
柔らかで伸びもあるが、歯触りがすっきりしている。

きな粉の風味とぎっしり詰まった濃いつぶ餡がいい具合に押し寄せてくる。
よもぎ大福とよもぎだんご、この二つを食べれば京都の穴場的なおまん屋さんを10分の1くらいかじった気持ちになると思うが・・・。
おはぎ:つぶ餡ときな粉の2種類の攻撃

大きさはほどよいサイズで(約55ミリ×55ミリ)で、「できれば今日中に食べてくださいね」とのこと。朝生の鉄則。
むろんのこと、飲み会を終えてから、その日の夜にホテルで実食。
ボリューミーなつぶ餡はいい小倉色で、柔らかく炊かれている。


中の半殺しはほどよいもっちり感で、いい糯米を使っているのがわかる。
きな粉は中がつぶ餡。定番の形。


質量ともにどっしりとしたおはぎで、あんこは甘め。
どちらかというときな粉の方が今回は好みで、この2種類を食べれば、京都のおまん屋さんをさらにかじった気分になる、と思うのですが、ほんの表面をちょっとだけ撫でただけかもしれない。
「おた福」
最寄り駅 出町柳駅から歩約5分
